【日曜美術館】日本絵画傑作15選パート6【美術番組まとめ】

日曜美術館

2020年6月21日にNHKで放送された「日曜美術館」の【蔵出し!日本絵画傑作15選 三の巻】の回をまとめました。
今回の記事はパート6になります。
前回のパート5はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

このパート6からは江戸時代の美術作品についてまとめていきます。
約300年続いた太平の世は、自由で豊かな芸術文化を花開かせました。

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国宝《風神雷神図屛風》俵屋宗達


国宝《風神雷神図屏風》17世紀前半
俵屋宗達
建仁寺蔵(京都府京都市)

「蔵出し!傑作選」の11作目は俵屋宗達が描いた国宝風神雷神図屏風》です。
俵屋宗達(?~1640年頃)は江戸時代初期に京の都で活躍した画家です。
残っている資料が少なく生まれた年も詳細には分かっていません。
(一説には1570年代と言われています)

二曲一双の屏風の上で風神雷神の二人の神様が躍動感たっぷりに描かれています。


右側に描かれているのが、風神です。
手には風袋(かざぶくろ)と呼ばれる風が入っている袋持っています。
その足取りは軽く、わき上がるような雲に乗って天をかけています。


一方、左側に描かれているのが雷神です。
その姿は筋骨隆々で全身に力がみなぎっています。
太鼓を背負い、雷鳴を轟かせています。

風を司る風神と、雷を司る雷神
この《風神雷神図屏風》では二人の神様がユーモラスな表情で描かれています。
しかし元々、嵐や雷は古来の人々にとって、そして現在でも恐れの対象でした。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

こちらは鎌倉時代に描かれた《松崎天神縁起絵巻》に登場する雷神です。
宗達はこの雷神を手本に《風神雷神図屏風》の雷神を描いたと言われています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

確かに同じポーズをしていますね。

しかし《松崎天神縁起絵巻》の方の雷神は全身が真っ赤で睨みつけるような表情で、宗達の描いた雷神の迫力とは異なります。


宗達はなぜ自然の荒ぶる神である”風神”と”雷神”を「笑顔」に描いたのでしょうか

漫画家の黒鉄ヒロシ氏は番組内で次のような見解を述べています

古代から人々は自然の驚異に脅かされることがあり、その代表的なものが雷・雨・風・台風でした。
この絵では「恐怖の対象」として自然をただ怖がるのではなく、取り込んでいこうとしたのです。

自然に姿や形を与えて、名付ける事によって身近な存在となります。
さらに風神雷神の顔をかわいくする事で、より親しみやすくしたのです。

そうする事で「自然を受け入れて、共に生きていこう」というメッセージ込めたのです。

受け継がれる《風神雷神図屏風》

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

風神雷神図』の画題は後に、尾形光琳酒井抱一など宗達に憧れた絵師によって模写され、受け継がれていきます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

その流れは現代まで続いており、今でも風神雷神はファッションやデザインに取り入れられ、多くの人に愛されています。

国宝《紅白梅図屏風》尾形光琳


国宝《紅白梅図屏風》
尾形光琳
江戸時代(18世紀)
MOA美術館蔵
撮影:masaya(2018年2月)

「蔵出し!傑作選」の12作目は国宝《紅白梅図屏風》です。
先の《風神雷神図屏風》を描いた俵屋宗達から多大な影響を受けた尾形光琳が描きました。

屏風の右側には若い紅梅が描かれています。
一方の左側には白梅が老木の姿で描かれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

なんだか人の足元みたいですね。

紅梅の幹は黒と緑の絶妙なにじみを使って、苔むす質感を見事に表現しています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

咲き誇る紅梅もたいへん美しく描かれています。

両サイドの梅の樹は写実的に描かれているのに対して、中央にはデザイン化された川の流れが独特の存在感を放っています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

この川の文様だけを抜き出すと、その高いデザイン性がより具体的に分かります。
グラフィックデザイナーの佐藤卓氏によると、この文様は1960年代に流行ったサイケ調のグラフィックに近いものがあると言います。

どこかファンキーな感じで、グルグルと目が回るような激しい流れが描かれています。

この水の流れの魅力を際立たせているのが、左右の梅だといいます。
中央の川の水は平面的でパターン化された表現に対して、梅の樹は細かい所まで緻密に描かれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

この苔の表現のように、細かい部分がある事で大胆なものが魅力的に見えるのです。
絵画として描く力と、図を作っていくデザイン力を光琳は巧みに使い分けているのです。

2つの異なる要素が絶妙なハーモニーを作り出す日本美術の傑作です。

今回の記事はここまでになります。
続くパート7では円山応挙の《雪松図屏風》からまとめていきます。
こちら☚からご覧頂けます。

コメント

  1. […] 2020年6月21日にNHKで放送された「日曜美術館」の【蔵出し!日本絵画傑作15選 三の巻】の回をまとめました。 今回の記事はパート7になります。 前回のパート6はこちら☚からご覧いただけます。 […]

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