2020年6月14日にNHKで放送された「日曜美術館」の【蔵出し!日本絵画傑作15選 二の巻】の回をまとめました。
今回の記事はパート5になります。
前回のパート4はこちら☚からご覧いただけます。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
今回は長谷川等伯の国宝《松林図屏風》と岩佐又兵衛の国宝《洛中洛外図屏風》についてまとめていきます。
国宝《松林図屏風》長谷川等伯
前回の記事でご紹介した《唐獅子図屏風》。
その作者である狩野永徳とライバルの関係にあったのが長谷川等伯です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
「蔵出し!傑作選」の9作目はその長谷川等伯が描いた、国宝《松林図屏風》です。
六曲一双の屏風で、東京国立博物館が所蔵しています。
日本水墨画の最高傑作とも言われるこの作品。
等伯は晩年、自らを「雪舟の五代目」と名乗りました。
墨とその濃淡だけで、もやに包まれた松林が表現されています。
等伯の故郷である能登(今の石川県)の松林だと言われています
漫画家のおかざき真理さんは等伯の魅力は、胸がキュッとなるような少しさみしい感じがある所だといいます。
それが心地よく、見ている者はシンパシーを感じるのだそう。
漫画で言うと、少女漫画は共感性で読者の心を掴むのに対して、少年漫画は読むと元気になって夢中になるものだといいます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
おかざき真理さんの見解では、狩野派が少年漫画のようなエネルギーで、等伯が少女漫画の共感性だといいます。
これは面白い見解ですね。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
また、作家の安部龍太郎さんによると《松林図屏風》はこの世とあの世をつなぐ絵だといいます。
遠くに描いてある雪山が涅槃の世界であり、松はそこに向かっている死者なのだと。
つまり、これは「聖者の行進」だというのが安部さんの見解です。
だからこの絵の前に立つと、絵の中に連れていかれる、引き込まれる感じがあるのだとも述べています。
masaya’s eye
私もこの作品を毎年、お正月に東京国立博物館で鑑賞しています。
もしかすると新年最初に見る美術は、毎年《松林図屏風》かもしれません。
《松林図屏風》は不思議なもので毎回見るたびに、作品の印象や見え方、感じ方が変わるのです。
自分のその時の気持ちや心の在り様がこの作品を見た時に直に反映されるのだと思います。
見る人によっては穏やかに見える作品であり、別の人にとっては激しさを感じる作品でもあるといいます。
しかし人だけでなく、心の状態が変わるだけでも見え方が変わる作品だと私は思います。
そのような作品は《松林図屏風》以外、私には思い浮かびません。
国宝《洛中洛外図屏風》岩佐又兵衛
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
「蔵出し!傑作選」の10作目は岩佐又兵衛(いわさまたべえ)の国宝《洛中洛外図屏風》です。
『洛中洛外図』は京都の市街(洛中)と郊外(洛外)の景観を描いたもので、様々な絵師がこの主題を描きました。
岩佐又兵衛の作は元々滋賀県の舟木家に伝来したので、他の作と区別する為『舟木本』という呼ばれ方もします。
時は江戸時代初期。
戦国の世が終わり平和になった京の町が描かれています。
そこには今も伝わる祇園祭など京都の風物詩も描かれています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
画面にびっしりと描かれた人や建物。
人の数はなんと2700人以上描かれていると言われています。
それを数えた人もすごいですけど(笑)
表情や仕草は一人一人描き分けられています。
これだけの人を描いているのに手を抜いた所が見つかりません。
人と人のやり取りも感じられるような描写力です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
まずは右上の箇所を見てみましょう。
ここでは豊臣秀吉のお墓がある豊国廟(ほうこくびょう)が描かれています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
桜の木の下ではお花見をする人々の姿が見えます。
空のお重がありますので、きっと食べ終わってゆっくりしている所なのでしょう。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
門前の両脇にはお茶売りの姿が。
もしかするとライバル店同士、しのぎを削っているのかもしれません。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
藍色で描かれているのは京都を流れる鴨川です。
そこにかかる五条大橋の光景が描かれています。
人々がノリノリで橋の上を行っています。
手に桜の枝を持っている事から、彼らが花見帰りの人だと分かります。
花見で上機嫌になって浮かれているのでしょう。
長い争いの時代を終え、心の底から物事を楽しめる、平和な時代を迎えた人々の喜びがあるのかもしれません。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
次は京都御所の近くの場面です。
ここには一条戻橋という橋があり、あの世とこの世の境と言われる事から占いの一大スポットになっていました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
占いをしてもらう女性の姿が見えます。
ちょっと表情が怖いですが…😅
京都のありとあらゆる名所が描き込まれ、当時の風俗がたいへんよく分かるようになっています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらは扇を売っているお店です。
職人の仕草から扇の柄まで確認できます。
《洛中洛外図屏風》は描かれている人々の会話までも聞こえてきそうな、活気みなぎる群像劇なのです。
今回は以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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