2024年11月10日にテレビ東京にて放送された「新美の巨人たち」の【モネ「睡蓮の庭」×田辺誠一】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
変化する視点の謎
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
東京・上野にある国立西洋美術館。
ここで2024年11月現在、モネの展覧会が開催されています。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
パリのマルモッタン・モネ美術館所蔵のコレクションを中心に、日本初公開の《睡蓮》を含む、国内外の珠玉のモネ作品60点以上が展示されています。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
この《睡蓮》は1897年に、モネが最初に描いた「睡蓮」の一つと推定される一枚です。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
描きたい対象は池に浮かぶ睡蓮の花と葉であることが伺えます。
そこには日の光を感じさせるような、うっすら赤い色がのせられています。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
さきほどの《睡蓮》から6年後の作品です。
睡蓮の花は小さく、奥に追いやられ、画面半分を池の水面が占めています。
モネの視点が変化していることが分かります。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
この絵ではもう主役はもう睡蓮ではありません。
水面に映る世界です。
この作品では水面に映る柳と、空の青空が印象的です。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
モネの作品の変化について、国立西洋美術館の研究員の山枡あおいさんは次のように語ります。
「モネの関心が水面の描写に映っていることがよく分かると思います。睡蓮の花というのは脇役にすぎない。主役は池の水面とそこに映る世界、というふうに語ったと伝えられています」
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
モネは86歳でこの世を去るまで「睡蓮」を描き続けましたが、年月が経つにつれ、その視点は目まぐるしく変化していきました。
モネの目は世界をどのように捉えていたのでしょう?
生涯描き続けた庭
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
フランス、パリ。
モネが生きた19世紀後半、画壇を席捲していたのはルネサンス様式を引き継いだ絵画でした。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
モネが描いた《印象・日の出》(展覧会の出展作品ではありません)。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
この作品は同時代の、同じ志の画家たちグループを象徴する作品となり、やがて彼らは”印象派”と呼ばれ、絵画の新しい時代を切り開く存在になりました。
そんな中モネは、他の印象派の画家が試みなかった独自の手法に辿り着きます。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
モネは同じモチーフを繰り返し、何枚も描いていったのです。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
しかし、ただ同じように描いたわけではありません。
時間を変え、季節を変え、対象が変化していく様子をキャンバスに捉えたのです。
それにより光や大気のうつろう効果というものが主題として立ち現れていったのです。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
モネは「光をいかにして捉えるか」ということを追求していましたが、その過程で生み出されたのが「連作」の手法だったのです。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
フランス・ノルマンディー地方にある村、ジヴェルニー。
43歳のとき、モネはこの地に移り住みます。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
モネの心を引き付けたもの、それはこの地の風景の美しさでした。
やがてモネは自らの手で造園を始めるのです。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
セーヌ川支流の水をひき、池を造り、草花を植え、そこに睡蓮を浮かべました。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
庭には日本風の太鼓橋も架けられました。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
モネにとって庭造りは、キャンバスを彩るのと同じ喜びだったといいます。
亡くなるまで約30年間、モネは睡蓮の庭を描き続けました。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
モネは睡蓮の作品を300点以上描いたといわれています。
うつろう光と大気
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
じつはここ日本に”モネの庭を体感できる場所”があるのです。
場所は高知県の山あいに広がる北川村。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
北川村「モネの庭」マルモッタン。
ジヴェルニーの庭園が再現されています。
ジヴェルニーの本家公認のこの施設は、2000年に開園しました。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
空が映るほどの美しい池には睡蓮が咲き誇っています。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
北川村役場の担当者が「モネの庭を作りたい!」という熱い思いで、現地の担当者と交渉し、この庭を造ることが認められました。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
まさにここは「モネが見ていた風景を再現した場所」なのです。
睡蓮の池は時間と共にその表情を変えていきます。
モネはそのすべてを捉えようとして、何十年に渡り、来る日来る日も絵筆を走らせたのです。
モネの言葉です。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
今回の記事はここまでになります。
パート2へと続きます。