2025年10月20日にテレビ朝日にて放送された「Qさま!!」の【歴史のプロが選ぶ!一度は見てみたい!日本のスゴい国宝ランキングBEST10】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
10位 東大寺の大仏様
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
10位は奈良県東大寺にある大仏様。
『銅造盧舎那仏坐像(どうぞう・るしゃなぶつざぞう)』の名称で、1958年に国宝に指定されています。
じつは大仏様は二度焼失しており、現在の大仏様は三代目(奈良時代創建時→鎌倉復興時→江戸復興時)になります。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
聖武天皇の発願により天平17年(745年)から準備が開始され、7年後の天平勝宝4年(752年)に開眼供養会が行われました。
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国を挙げての一大プロジェクトで、当時およそ500万人といわれた総人口の約半数、およそ260万人にも及ぶ人が関わったといわれています。
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大仏の主な材料である銅は、山口県の長登銅山(日本最古の銅山)から産出されたものが使われました。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
使われた銅は約500トンといわれています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
奈良時代、長登銅山は国直轄の銅山で産出量も多かったといいます。
当時は船などを使って、遠く奈良まで運んだと考えられています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
東大寺の正門、南大門。
じつはここにも国宝があります。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
国宝『金剛力士像』は鎌倉時代初期に運慶・快慶らによって製作されました。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
その造形は素晴らしく、足の血管までも表現されており、力がみなぎっている様子が表されている。
9位 風神雷神図屏風
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
9位は俵屋宗達が描いた、国宝《風神雷神図屏風》です。
『風神雷神図』は俵屋宗達の他に琳派の様々な絵師に描かれています。
- 俵屋宗達→国宝《風神雷神図屏風》、京都・建仁寺蔵
- 尾形光琳→重文《風神雷神図屏風》、東京国立博物館蔵
- 酒井抱一→《風神雷神図屏風》、出光美術館蔵
- 鈴木其一→《風神雷神図襖》、東京富士美術館蔵
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《風神雷神図屏風》は、北野天満宮所蔵の《北野天満絵巻 承久本》に描かれている雷神から影響を受けたといわれています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
もともとこの作品は京都の建仁寺に伝わっていましたが、現在は京都国立博物館で寄託されています。
現在、建仁寺には高精細の複製品が展示されています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
2008年に北海道・洞爺湖で開催された主要国首脳会議(G8サミット)では、この《風神雷神図屏風》の複製品が展示されていました。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
日本の代表的な作品であり、また日本が最も宝にしている作品として、洞爺湖サミットの会場に華を添えました。
8位 洛中洛外図屏風(上杉本)
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
続いての国宝作品は、『洛中洛外図屏風(上杉本)』です。
「洛中洛外図」とは、京都の町とそこに暮らす人々の様子を描いたものです。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
作者は安土桃山時代絵師・狩野永徳です。
『洛中洛外図屏風』は狩野永徳が描いたの他にも複数あり、
中でも岩佐又兵衛が描いた『洛中洛外図屏風(舟木本)』が有名です。
国宝に指定されている『洛中洛外図屏風』は、狩野永徳が描いた上杉本と、岩佐又兵衛の舟木本の2作で、この他に重要文化財に指定されているものが5件あります。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
『洛中洛外図屏風(上杉本)』には清水寺や鹿苑寺金閣も描かれており、美術品としてだけではなく、歴史的な資料としても重要な側面を持っています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
この『洛中洛外図屏風(上杉本)』は、当時の室町幕府将軍・足利義輝が狩野永徳に依頼したともいわれています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
その背景にあるのは1467年の「応仁の乱」です。
この洛中洛外図屏風が描かれたのは応仁の乱の後で、当時の京の都は焼け野原の状態でした。
そこで時の将軍が、京都の復興をアピールするために描かせたとも考えられているのです。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
新しく家を建てる様子も描かれています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
当時の京都の庶民の暮らしや遊びも描かれており、こちらでは綱引きをする人々が描かれています。
綱引きはその昔は貴族の遊びだったのですが、それが室町時代に入り、庶民の遊びとして親しまれていきました。
7位 鳥獣人物戯画
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
7位は『鳥獣人物戯画』です。
平安〜鎌倉(12世紀〜13世紀)に描かれたといわれていますが、誰が何の目的で描いたかは分かっていません。
ユーモアと躍動感に溢れた傑作で、日本の漫画・アニメのルーツともいわれています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
ウサギ・カエル・サルといった動物が擬人化され描かれています。
ちなみに鳥獣人物戯画は全部で4巻あり(甲・乙・丙・丁)、擬人化された動物が登場するのは、甲巻のみです。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
ウサギとカエルが相撲を取るシーンがよく知られています。
それ以外にも走り高跳びをしている場面もあります。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
『鳥獣人物戯画』は京都の高山寺に伝わっていました。
現在高山寺では高精細の複製画が常設展示されています。
6位 源氏物語絵巻
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
6位の国宝は愛知・徳川美術館が所蔵する『源氏物語絵巻』です。
7位の『鳥獣人物戯画』と一緒に日本四大絵巻に数えられています。
・源氏物語絵巻
・伴大納言絵巻
・信貴山縁起絵巻
・鳥獣人物戯画
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
平安時代に紫式部によって書かれた『源氏物語』。
じつはその原本は今は存在しません。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
国宝『源氏物語絵巻』は平安時代後期に描かれた、源氏物語関連・現存最古のものなのです。
作者については諸説ありますが、最も有力とされているのが平安時代後期の貴族であり、絵師の藤原隆能(ふじわら の たかよし、生没年不詳)です。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
国宝『源氏物語絵巻』を所蔵する徳川美術館では、2025年に10年に一度の特別公開が行われます。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
平安貴族の暮らし振りをみることができる『源氏物語絵巻』。
こちらの場面では囲碁に興じている貴族の男性が描かれています。
5位 松本城(長野県)
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
5位は”漆黒の城”として知られる長野県の松本城。
1952年に国宝に指定されています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
2025年現在、国宝に指定されている城は全部で5つで、これらを総称して『国宝5城』と呼ばれています。
- 姫路城(兵庫県)
- 彦根城(滋賀県)
- 犬山城(愛知県)
- 松本城(長野県)
- 松江城(島根県)
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松本城の特徴はなんといっても素晴らしい黒塗りの外観です。
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天守から望む北アルプスの絶景も見事です。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
松本城の周辺には豊富な地下水があり、それを使った3つお堀を作ることで、防御力の高い城としました。
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毎年冬から春にかけてはプロジェクションマッピングも行われています。
4位 金印(漢委奴国王)
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
第4位は1954年に国宝指定された『金印(漢委奴国王)』です。
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約2000年前、弥生時代に作られた美術工芸品です。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
サイズは10円玉ほどで非常に小さく、金の純度が95%あり、今日でも光り輝いています。
また上部にある模様は、蛇がとぐろを巻いている形になっています。

手のひらサイズくらいあると思っていたのでびっくりです!
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
現在、金印は福岡市博物館で常設展示されています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
こちらでは実際に触ることのできるレプリカもあります。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
じつは金印はどこか由緒ある所に伝わったものではありません。
江戸時代の1784年に福岡県志賀島の農民がたまたま見つけたものでした。
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「たまたま発見」つながりで言うと、かの有名な『ミロのヴィーナス』もたまたま発見されたものです。
1820年、ギリシャのミロス島で農民がたまたま発見しました。
ですのでミロのヴィーナス』もまた作者は分かっていません。
3位 阿修羅像
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
3位の国宝は興福寺所蔵の『阿修羅像』です。
奈良時代・734年に作られた仏像で、日本の仏像の最高傑作の一つともいわれます。
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3面あるそのお顔は全て異なる表情をしています。
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一説には3面のお顔はそれぞれ悲しみ・祈り・怒りが表されている、つまり人間の感情が表されている、ともいわれています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
阿修羅像は高さが153.4センチもあるのに対して、重さは約15キロと非常に軽量です。
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その軽さの秘密はこの阿修羅像の製法にあります。
漆と麻布を何層にも重ねる技法、「脱活乾漆」技法で作られています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
CTスキャンの画像で見ると、『阿修羅像』の内部は骨組みだけになっているのが分かります。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
ちなみに興福寺は何度も火災に遭っていますが、この『阿修羅像』はその危機を今日まで乗り越えてきました。
その理由として、軽量であったためにすぐに運び出すことができたからだともいわれています。
2位 正倉院
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
第2位は奈良・東大寺に隣接する正倉院です。
「正倉」というのは大事なものを納める倉のことを指します。
そして「正倉院」はその「正倉」がある一画のことを指す言葉です。
今日私たちが「正倉院」と呼んでいる建物の正式な呼び方は「正倉院正倉」となります。
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伝わる宝物の数は約9000点。
ちなみに現在はこちらの正倉院の中に宝物は納められておらず、昭和期に作られた新収蔵庫の方に移されています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
国宝に指定されているのは正倉院の建物のみで、宝物自体は国宝に指定されていません。
宝物は宮内庁の管理のため、その対象になっていないのです。

国宝にはなっていませんが、国宝級であることは間違いないですね!
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
奈良時代に作られた建物がそのまま残っており、1300年間変わらない姿を保っているのも奇跡的なことです。
1254年には、正倉院向かって右側の北倉に落雷がありました。
しかし東大寺の僧侶が迅速に消火にあたり、幸いにも燃え広がらずに済むという出来事がありました。
倉内には今なお黒く焦げた痕が残ってるといいます。

この時消火にあたってくれた人は名前ものこっていないそうで…
でもこの方がいなかったら全部燃えていたかもしれないんですよね
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
奈良国立博物館では毎年秋に正倉院展が開かれており、今年で77回目を迎えます。
ここからはその第77回正倉院展で見ることができる正倉院宝物について取り上げていきます。
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まずこちらの『黄熟香(蘭奢待)』。
蘭奢待の名で呼ばれることのほうが多いですが、正式な名称は『黄熟香』になります。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
歴代の偉人たちも欲した香木で、足利義政・織田信長、そして明治天皇が切り取った跡が残っています。
今日、正倉院宝物を一般の人でも見ることはできるようになった背景には、ある偉人の影響がありました。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
それが「舞姫」などの著作で知られる小説家・森鴎外です。
森鴎外は東京・京都・奈良の国立博物館の総長を務めていました。

そういえば東京国立博物館の平成館に行く途中に、森鴎外の写真がありますね!
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
森鴎外は当時、身分の高い人しか見ることができなかった正倉院宝物を民間の研究者にも開放しました。
その結果、古文書の調査や研究が進んだといわれています。
1位 姫路城(兵庫県)
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
栄えある第1位は兵庫県の姫路城です。
姫路城は完成してから一度も大きな戦の舞台になりませんでした。
天守や櫓は江戸時代初期に建てられたもので、今でも当時姿を見ることができます。
そもそも姫路城の始まりは、1346年に鎌倉時代後期から南北朝時代の武将で守護大名の赤松貞範による築城といわれています(※諸説あり)。
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太平洋戦争時は空襲の標的にならないよう、黒い網で覆われていました。
人々が今日まで大切に守ったおかげで、建設当時のままの姿を今に残しています。
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
大天守の高さは約31.5メートルで、現存天守では一番の高さを誇ります。
“木造建築の最高傑作”と呼ばれています。
国宝〇×クイズ
画像出展元: テレビ番組「Qさま!!」より
- 国宝は修理する場合、国への届け出が必要である→〇
- 国宝は法律上、後に指定を取り消すことができる→〇
- 外国人が作った国宝も存在する→〇
- 国宝は売買することができない→×(つまりできる!)
今回の記事はここまでになります。
































































