2020年4月19日にwowowで放送された「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」の【#8 シーレ/豊田市美術館】の回をまとめました。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」はこの回で最終回でした。
今回は豊田市美術館所蔵のエゴン・シーレの作品をご紹介します。
豊田市美術館
愛知県豊田市は、古くからお茶の栽培が行われてきた緑豊かな土地です。
昔ながらの街並みと、自動車産業を中心とした工業都市が共存しています。
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」より
豊田市美術館は高台に立っており、なかなかその姿を見せてくれないようになっています。
そうする事で、日常を離れてアートの世界へと誘うようになっているのです。
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」より
美術館内部に入ると最初は天井が低く抑えられていますが、奥の階段の方に進むと一気に視界が拓けてくる造りになっています。
そういった空間体験を含めて、豊田市美術館の見どころだと原田マハ氏は述べています。
豊田市美術館は、国内外の近現代アートを中心に作品を所蔵している美術館です。
またエゴン・シーレの油彩作品を日本で唯一所蔵している美術館になります。
建物の設計は日本の建築家である谷口吉生(たにぐち よしお)氏が手掛けました。
谷口氏は東京国立博物館の法隆寺宝物館や銀座の商業施設・GINZA SIXの設計なども手掛けています。
この美術館の魅力は、展示作品だけではなく美術館の建物そのものにもあるのです。
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」より
キューブが連なったようなフォルムが、非常にお洒落でモダンな作りとなっています。
その前に広がる水のきらめきが更に建物を魅力的なものにしています。
それでは次に、今回の作品を見てみましょう。
《カール・グリュンヴァルトの肖像》
《カール・グリュンヴァルトの肖像》1917年
エゴン・シーレ
豊田市美術館蔵
縦140センチ、横幅110センチの大画面に、男性がやや上からの視点により描かれています。
がっちりと組み合わさった両手と、落ち着いた表情の中にあるはっきりとした視線が印象的な作品です。
着ている白いシャツも白一色ではなく、綺麗な所と汚れた所が描かれています。
男性は椅子に座っていますが、その椅子も背景の深い青に溶け込んでおりはっきりとは見えません。
それにより、男性が存在が浮かび上がるように見えます。
のたうち回るようなシーレの独特なタッチが更に作品に迫力を与えています。
確かにこれがさらっとしたタッチで描かれていたら、
ここまでのパワーみたいなものは感じないでしょうね。
モデルのカール・グリュンヴァルトについて
シーレは第一次世界大戦の時に召集され、オーストリア=ハンガリー帝国軍に従軍します。
この作品のモデル、カール・グリュンヴァルトは従軍中のシーレの上官だった人物です。
さらにその後はパトロンとなり、シーレの制作作業も支えました。
それまでの「肖像画」というのは実物よりも2割ほど”盛って”描かれるのが普通でした。
もちろんビジュアルを良くするという狙いですが、その他にモデルの社会的地位や家柄の良さなども表現する必要があったのです。
しかしシーレは従来の肖像画が目指した表立った美しさではなく、グリュンヴァルトという人間の本質、内面を引き出してキャンバスに表現しようとしました。
《カール・グリュンヴァルトの肖像》はそれまでの肖像画の概念を覆す歴史的な作品と言えるでしょう。
画家:エゴン・シーレ
エゴン・シーレ(Egon Schiele、1890-1918)は、若干28歳で夭折した天才画家です。
クリムトと同じく19世紀末のから20世紀初頭にかけて、ウィーンを舞台に活躍しました。
短い画家人生の中で残した作品数はおよそ2500点にのぼります。
シーレが生まれた1890年という年は、あのゴッホがフランスのオーヴェル=シュル=オワーズという村で拳銃自殺をした年でした。
その年に生まれたシーレは当時はそんなことは知る由もありませんでしたが、成長しゴッホの作品を見た時に何か”運命的なもの”を感じたといいます。
確かに言われてみると、ゴッホとシーレは似たようなイメージがあるかも。才能があるのに、どこか不器用な所とか。
二人とも”ひまわり”を描いていますし。
パート1は一旦ここまでです。
続くパート2はシーレの生涯とクリムトとの出会いについてまとめていきます。
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