2017年2月25日にテレビ東京にて放送された「美の巨人たち」の【フェルメール『手紙を書く女』】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
今回は後編になります。前編はこちら☚からご覧いただけます♪
黄色いガウン
画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より
《手紙を書く女》に登場する黄色いガウンはフェルメール作品に頻繁に登場します。
けれども着ている人物はみ皆、それぞれ別の作品で別のモデルです。
その中で《手紙を書く女》の女性だけがこちらを見ているのです。
黄色いガウンの持ち主
じつはフェルメールが亡くなった後に作られた財産目録には”毛皮付きの黄色いガウン”の記載が残されています。
そう、このガウンはフェルメール家にあったものなのです。
という事は、このガウンはフェルメールの妻のカタリーナのものであった可能性が高いのです。
なので一説には、《手紙を書く女》に描かれている女性はその妻ではないかと言われています。
画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より
他の黄色いガウンを着た女性たちは、フェルメールにとってあくまでも仕草を描くためのモデルだったのだろうと推察されます。
モデルが妻だとするもう一つの理由
その秘密は壁に掛けられている絵(画中画)にありました。
非常に見えにくいですが、ここには”ヴィオラ・ダ・ガンバ”という楽器が描かれています。
ヴィオラ・ダ・ガンバはチェロのような形をした弦楽器です。
フェルメール晩年の作、《ヴァージナル前に座る若い女性》にもこのヴィオラ・ダ・ガンバが描かれています。
楽器というのはこの当時”愛の象徴”的存在でした。
楽器の画中画が作品の中に描かれているという事は、やはりモデルの女性は愛する妻・・・
なのかもしれません。
フェルメールの技法
フェルメールは様々な技法を用いています。ここではその中から2つご紹介していきます。
①ポワンティエ
《牛乳を注ぐ女》のテーブルの上のパンにはポワンティエという技法が用いられています。
これは白や明るい色の点描を配置することで、その絵具が生み出す質感により、より本物っぽさを出す技法です。
②ウェット・イン・ウェット
《デルフトの眺望》に用いられているのはウェット・イン・ウェットという技法です。
これは絵具が乾く前に別の絵具を塗り重ねる技法です。
そうする事で細かな凹凸が生まれて、光が複雑に反射します。
ワシントン・ナショナル・ギャラリー以外で見られる アメリカにあるフェルメール作品
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
ニューヨークにあるメトロポリタン美術館には、5点のフェルメール作品が収蔵されています。
- 《眠る女》
- 《少女》
- 《天秤を持つ女》
- 《リュート調弦する女》
- 《信仰の寓意》
フリック・コレクション(ニューヨーク)
メトロポリタン美術館から少し南に下った所にあるフリック・コレクションには3点収蔵されています。
ちなみにこちらの3点は全てまだ日本に来た事はありません。
- 《兵士と笑う女》
- 《中断された音楽の稽古》
- 《婦人と召使い》
《婦人と召使い》以降の手紙
《婦人と召使い》1666-67年
ヨハネス・フェルメール
フリック・コレクション蔵
フリック・コレクションの中の一枚、《婦人と召使い》は”手紙がモチーフである点”、そして”黄色いガウン”と《手紙を書く女》との共通点が見られます。
手紙をモチーフに描いた作品は全部で6作品あり、この《婦人と召使い》は4作目にあたります。
画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より
今回の一枚、《手紙を書く女》は3作目にあたりますが、4作目以降は登場人物が二人になっています。
二人の人物を描くことで、手紙を巡って揺れる人々の心の動きや、そのやり取りに関心が移っていったのでしょう。
日本で見られるフェルメール
最後に日本で見る事のできる(日本の美術館にある)フェルメール作品をご紹介します。
《聖プラクセディス(Saint Praxedis)》1655年
ヨハネス・フェルメールに帰属
個人蔵(国立西洋美術館、寄託)
この作品は元々はアメリカにありましたが、2014年に競売に掛けられ11億円で落札されました。
その後個人所有者から、上野の国立西洋西洋美術館に寄託されることとなったのです。
作者が「フェルメールに帰属」となっているのは、未だその真贋が定まっていないからです。
フェルメールの墓
画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より
オランダの南部に位置するデルフト。
ここはかつて”小さな真珠”といわれた美しい街です。
その中心、マルクト広場の近くで生まれたフェルメールは43年間、半径僅か500メートルの中で生涯を過ごしました。
彼は今もそこの旧教会に眠っています。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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