2025年9月2日にテレビ東京で放送された「開運!なんでも鑑定団」の【名画鑑定大会/ボヘミアングラス】についてまとめました。
番組内容に沿って、それでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
*画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より
名画鑑定大会
/
ボヘミアングラス20点
第23回 名画鑑定大会
鴨居玲の絵
依頼品は鴨居玲の絵の絵である。
鴨居は人間の内面に深く迫り、心の闇や弱さをえぐり出すように表現し、”戦後の奇才”と称された。
50年程前、神戸に住んでいた依頼人の父が手に入れたものだという。
父と鴨居とは時折り食事をするほどの関係だったらしく、鴨居が絵の勉強のためスペインに行くことになった際、父が約50万円の餞別を渡したとのこと。
その餞別のお礼として受け取ったものだと聞いている。
本人評価額は父が渡した餞別と同じ50万円。

300万円!大幅アップ!
「本物で間違いありません」
「”ガッシュ”と呼ばれる不透明水彩が用いられているんですが、タイトルが『踊り子』で制作されたのが1965年、鴨居が37歳の頃の作品」
「この頃ちょうど鴨居はブラジルに滞在していて、数ヶ月間アトリエを構えて、現地の文化とか人物を題材にしたものを数多く残している。まさにその一枚ですね」
「人物を描くことに命をかけてきた鴨居らしい、情熱的な作品だと思います。ぜひ大切にしてください」
マルク・シャガールの油絵
依頼品はマルク・シャガールの油絵である。
シャガールはロシアに生まれ、主にフランスで活躍。
華麗な色使いで幻想的な世界を描き、”色彩の魔術師”と呼ばれた。
この絵は依頼人がフリーマーケットで1000円で購入したものだという。
ウェディング姿の男女や、動物などのモチーフを宙に浮いたように表現する画風ははいかにもシャガールだという。
見たところ印刷ではなく、ちゃんと油絵の具で描かれているので、当初は模写だと思っていた。
しかし絵の裏にシャガールの母国語であるロシア語で何やらそれらしきことが記されている。
さらに図録やネットで調べてもこの絵と同じ図柄のものは見つからなかったため、これはオリジナルの一枚、すなわち本物ではないかと思うようになった。
本人評価額は堂々の1億円!
1000円が1億円になれば10万倍で、番組史上最高の掘り出し物となるが果たして…

5万円!偽物ともいえない微妙な金額ですが…
「ストジェントワという無名の画家がシャガールの絵を模写した複製画なんですね」
「裏にはっきり書いてあります」
「この作品はソビエト連邦が崩壊したその翌年、1992年に描かれています。ソビエト連邦時代、芸術家というのは国家からの仕事に従事することで収入を得ているわけなんです」
「その体制が崩壊すると彼らは有名な絵画を模写して、西側諸国のバイヤーや観光客に売ることによって生計を立てるようになるんですよ。この作品というのはその典型的なもの」
「もしシャガールの本物に値段をつけるとすれば、5億円はしますね!」
山下清の水彩画
山下清の水彩画である。
山下は言わずと知れた”放浪の天才画家”である。
貼り絵で有名だが、ペン画や水彩画も数多く残している。
依頼品は60年ほど前、依頼人の父が絵の展示販売会で購入したもの。
レンガ造りの塔で、そのてっぺんにはスウェーデンの国旗が掲げられている。
依頼人はこの絵をあまりいい絵と思っておらず、人物も棒人間のようだという。
本人評価額は当てずっぽうで100万円!

これはすごい!
「本物、加えて名品ですね」
「しかもこれ山下のなかでは珍しい20号という大作ですし、本当によく描けてる」
「1961年に山下は40日間くらいヨーロッパ各地をまわってたんですよ。そのときに見た情景を描いた1枚」
「描かれているのは、スウェーデンのストックホルムにあるスカンセン野外博物館。その敷地の中に建っているブレダブリックタワーですね」
「非常に重厚感ある歴史的な建物が、山下が描くとおとぎ話の、一場面であるかのようなとても愛らしく可愛らしい感じになる」
「レンガのチョンチョンチョンとしたすごく細やかで丁寧な描写」
「それから窓のブルーとか」
「木々の葉っぱの水彩絵の具の特性を生かした伸びやかな色使いというのはすごく山下らしい。ぜひ大切にしていただければと思います」
アンディ・ウォーホルのシルクスクリーン
アンディ・ウォーホルのシルクスクリーン。
ウォーホルは、アメリカの大量消費社会の光と影に向き合い続けた”ポップアートの巨匠”である。
本人評価額を控えめに買った時と同じ40万円。

すごい!300万円!
「本物です。これはですね『Ladies and Gentleman』というポートレートシリーズの中の1枚で、1975年に作られました」
「シリーズ各125部ずつ刷られています。ウォーホル自らが撮影したポラロイド写真というのが元になっています」
「モデルはですねニューヨークのナイトクラブに集う黒人や、ラテン系のトランス女性、それから女装パフォーマー」
「モデルたちっていうのは、当時の社会のなかではなかなか語られることなかった存在なんですけれども、ウォーホルはその姿を華やかで大胆な色彩で彩った」
「社会的な常識や価値観にですね、一石を投じるようなウォーホルの後期の代表作です」
今井俊満の油絵
さいごは今井俊満の油絵である。
今井は24歳でフランスに渡り、
そこで出会った抽象表現、アンフォルメルを日本に広め、戦後の美術界に新しい風を吹き込んだ。
依頼人の父がネットオークションで29万5千円で落札したものだという。
裏にドイツ語で「永遠の愛」という意味のタイトルが描かれている。
左上に太陽と、真ん中にウェディング姿っぽい女性と男性が描かれている。
左下にはよく見ないと分からない小さな月がみえる。
本人評価額は期待を込めて150万円。

100万円!ダウンするも大健闘!
「本物です。制作されたのが1951年、23歳の頃の作品。フランスにわたって学ぶ前の、本当に貴重な初期の頃の作品なんですね」
「極端に大きな太陽と月のサイズの対比のアンバランスさというのもすごく面白い。真っ黒な背景に対して太陽の力強い原色なが黄色の色の対比っていうのも、のちの抽象表現に移り変わってゆく画家の個性」
「その片鱗っていうのも見て取れる。この時代の作品は数が少ないんで大切にしてください」
今回の記事はここまでになります。