【ロンドン展⑮】ゴッホ《ひまわり》【ぶらぶら美術・博物館】

ぶらぶら美術・博物館

2020年4月7日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#343 世界初!奇跡の大規模展「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」後編〜古典から印象派の誕生へ、ゴッホ「ひまわり」日本初公開!〜】の回をまとめました。
今回の記事はパート15、ラストです。
前回までのロンドン・ナショナル・ギャラリー展の特集記事一覧は、こちら☚からご覧ください。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

*開幕日及び会期が変更となっております(2020年6月9日現在)
詳細は展覧会公式HPをご確認ください。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展公式HP:リンク

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《ひまわり》ゴッホ


《ひまわり》1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵

ロンドン・ナショナル・ギャラリーには名だたる西洋画の巨匠たちの作品が数多く収蔵されています。
その中でも一番人気なのがゴッホの《ひまわり》なのです。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーのミュージアムショップの袋もこの《ひまわり》の絵がプリントされているそうです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ゴッホは南仏のアルルで、花瓶に生けたひまわりの絵を全部で7枚描いています。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーの《ひまわり》は4枚目のものです。
(*上の画像はロンドン版を除く6枚です)


《黄色い家》1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ
ゴッホ美術館蔵
*「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の出展作品ではありません

ゴッホはアルルで”黄色い家”と呼ばれるアパート借りて、そこに芸術家たちのコミュニティを作ろうします。
彼は”黄色い家”の壁を、同じ黄色のひまわりの絵で壁を飾ろうとしたのです。
ゴッホは沢山の画家に声をかけるものの、来たのは結果的にゴーギャンただ一人でした。

『ひまわり』をモチーフに選んだ理由は、常に太陽の方に向かって伸びる花の姿を、理想を追い求める芸術家の姿に重ねたからとも言われています。

ではここで、ロンドン・ナショナル・ギャラリー以外の《ひまわり》を一度見てみましょう。
(全て今回の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」には出展されておりません)

1枚目:個人蔵の《ひまわり》


《ひまわり》1888年8月
個人蔵(アメリカ)

こちらの《ひまわり》は現在個人所有になっており、一般公開されていません

花瓶の中に入ったひまわりの本数は3本です。
後に描かれた6枚に比べると、写実的に描かれているという特徴があります。

2枚目:焼失してしまった《ひまわり》


《ひまわり》1888年8月
神戸大空襲で焼失(1945年8月6日)

こちらの2枚目は《ひまわり》は、白樺美術館を設立するために大阪の実業家の山本顧弥太(やまもと こやた)が1920年に購入します。

その後美術館設立の話が無くなったため、兵庫県芦屋市の山本顧弥太の自宅に飾られていましたが、神戸大空襲で焼失してしまいます。
ゴッホファンの間では「幻の芦屋のひまわり」と呼ばれています。

こちらの画像は戦前の印刷をベースにしているので、実際にこのような色をしていたかどうかは断定できません。

ひまわりの本数は1作目から2本増えて5本になっています。
1枚目の3本の《ひまわり》と似ていますが、この作品では花瓶の外にもひまわりが置かれています。
花瓶に入っていないひまわりが描かれているのは、この2枚目だけなのです。

全体的に色のトーンが暗く、他の6枚と比べても落ち着いた印象が特徴です。

3枚目:ミュンヘンの《ひまわり》


《ひまわり》1888年8月
ミュンヘン、ノイエ・ピナコテーク蔵

薄い青色(エメラルドグリーン)の背景が特徴的です。
花の本数も12本とここで一気に増えています。

弟のテオへ手紙でその出来栄えに満足した内容を送っている事からも、ゴッホ自身相当気に入っていた一枚です。

4枚目:ロンドン・ナショナル・ギャラリーの《ひまわり》

そして4枚目が今回のナショナル・ギャラリーの《ひまわり》です。
そしてここから『ひまわり』の背景が変わっていきます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

1枚目か3枚目まではひまわりの黄色の補色である”青色”を背景にしていましたが、この4枚目から画面全体が黄色一色になっていきます。

こちらの作品は、実物のひまわりを目の前に置いて描いたと考えられます。
薄塗りと厚塗りが使い分けられ、コントラストがよく表現されています。

また輪郭線にブルーが使われているのも、他のひまわりでは見られない特徴です。

花瓶の真ん中(サインの横)には光のハイライトを描いています。
作品の中に影はありませんが、ここで光を表現しているのです。

5枚目:新宿の《ひまわり》


《ひまわり》1888年12月-1889年1月
SOMPO美術館蔵

そして5枚目の『ひまわり』は日本のSOMPO美術館が所蔵する、「新宿のひまわり」と呼ばれる作品です。

この《ひまわり》は1987年に損保ジャパンが購入するまでは、元々はロンドンに住む人が所有していました。
かつてナショナル・ギャラリーでは、この2枚の『ひまわり』が並んで展示された事もあるのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

つまり東京でこの2枚が33年振りに再開している事になるのです。
山田五郎さん曰く、「同じ土地で『ひまわり』が見られる機会はもう二度とないだろう」との事。

こちらの5枚目の『新宿のひまわり』と後で紹介する7枚目の『ひまわり』(ファン・ゴッホ美術館蔵)は、4枚目のロンドン版のセルフコピーになるのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ひまわりの並びや花の数など構図が一致しているのが分かります。

6枚目:フィラデルフィアの《ひまわり》


《ひまわり》1889年1月
アメリカ・ペンシルベニア州、フィラデルフィア美術館蔵

続いて6枚目の『ひまわり』ですが、こちらは3枚目のミュンヘン版のセルフコピーになります

7枚目:アムステルダムの《ひまわり》


《ひまわり》1889年1月
オランダ・アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館蔵

7枚目はゴッホの故郷、オランダのファン・ゴッホ美術館が所蔵する《ひまわり》です。
この作品は損傷をがひどく、これ以上状態を悪化をさせないために館外への貸し出しは一切しないという措置が取られています。

この《ひまわり》を描いた当時、ゴッホは原因不明の発作や幻覚に苦しめられていました。
そして描いた翌月には精神病院に入院しています。

コメント

  1. […] ゴッホの《ひまわり》については別の記事で詳しく解説しています。 よろしければこちらもあわせてご覧ください。 こちら☚から。 […]

  2. […] 別記事にてゴッホの《ひまわり》について詳しくまとめています。 よろしければこちらもチェックしてみて下さい。 リンク:【ロンドン展⑮】ゴッホ《ひまわり》【ぶらぶら美術・博物館】 […]

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