SOMPO美術館・開館記念展④【ルノワール、ゴーギャン、ゴッホ】

ぶらぶら美術・博物館

2020年8月4日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#354 新オープン!SOMPO美術館「開館記念展」〜ゴッホ「ひまわり」と再会!東郷青児ゆかりの美術館 ベスト・コレクション〜】の回をまとめました。

今回の記事はパート4(ラスト)になります。
前回のパート3はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

スポンサーリンク

《浴女》ルノワール

ここからは今回の開館記念展の3階の展示室の作品についてまとめていきます。
ここではヨーロッパやアメリカの風景画、人物画の作品を展示しています。


撮影:masaya(2020年8月)

今回の展覧会ではルノワール作品が2点並んで展示されています。
(両作品とも写真撮影可能です)


《浴女》1892-93年頃
ピエール=オーギュスト・ルノワール
SOMPO美術館蔵

こちらの《浴女》はルノワールが51歳頃に描いた作品です。
この作品に見られる”横向きに座る裸婦”のモチーフは、以降のルノワール作品にもしばしば描かれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ルノワールは印象派展に第1回から第3回、飛んで第7回と計4回参加しています。
第3回の印象派展の後にはサロンへ復帰しています。
1880年代に入るとイタリア旅行でラファエロなどの古典絵画に感化されたのを機に、「古典主義の時代」と呼ばれる作風に変わります。

「古典主義の時代」を経てそこからまた印象派風の作品に戻りますが、この《浴女》はまさにその画家の転換期の頃に描かれたものです。
柔らかいタッチや明るい色彩ルノワールらしい一枚です。

じつはこの作品は同じ印象派の画家のクロード・モネが所有していました。
ルノワールの作品は割とどれでも貰えるような間柄だったモネがこの《浴女》を選ぶという事は、それだけ素晴らしい作品という事でしょう。

《浴女》の保存修復

この《浴女》は最近になって保存修復作業が行われました。
絵の表面に付いていたニスが時間の経過とともに黄ばんできており、今回そのニスが除去されました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

その結果、本来の明るい姿を取り戻すこととなりました。

比べて見ると、画面の明るさが劇的に良くなっているのが分かりますね!

《帽子の娘》ルノワール


《帽子の娘》1910年
ピエール=オーギュスト・ルノワール
SOMPO美術館蔵
撮影:masaya(2020年8月)

こちらは晩年(70近く)の頃に描かれた作品です。
芳醇な色彩と柔らかい筆触が特徴的な、円熟期のルノワールらしい作品です。

こちらを見つめる女性の表情がたいへんよく表されています。
生命力に溢れた作品ではありますが、この当時のルノワール持病のリウマチが悪化し、歩くことも困難な状態にありました。

こちらの作品も《浴女》と同じく、ニスを取り除く作業を予定していましたが、今回の新型コロナウイルスの影響で止む無く作業は延期となったそうです

こんな所にもコロナの影響があるのですね…

《アリスカンの並木路、アルル》ゴーギャン


《アリスカンの並木路、アルル》1888年
ポール・ゴーギャン
SOMPO美術館蔵

この作品はゴーギャンが友人のゴッホに誘われて、南仏のアルルに移住して間もない頃(1888年10月)に描かれた作品です。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

タイトルにあるアリスカンというのは、アルルの南東に位置する古代ローマの遺跡で、世界遺産にも登録されています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この作品でも並木道の横の方にローマ時代の石の棺が描かれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ゴーギャンはこの地にゴッホと一緒に足を運び、この作品を描きました。
ゴッホもアリスカンの風景を描いていますが、描かれた時期や構図などから《アリスカンの並木路、アルル》を描くゴーギャン背中合わせの位置で描いたと考えられています。

この作品は一見するとゴーギャンっぽくない、どちらかというと「ザ・印象派」的な作品に見えます。
ゴーギャンはこの頃既に「クロワゾニスム」と呼ばれるべた塗りのような作風は確立していましたが、この作品では印象派的なタッチで、風に揺れる落ち葉をなどを表現しています。

山田五郎さん曰く「印象派は葉っぱを描くのにはピッタリだったからではないか」との事。

ゴッホの《ひまわり》との関係

じつはこの《アリスカンの並木路、アルル》はゴッホの名画《ひまわり》と深い関係があるのです。

この作品のキャンバスはゴーギャンがアルルにやってきた際に購入したものを使っています。
ジュートと呼ばれる粗い麻の布で、また大きさも20メートル程の大きさだった事から、それをゴッホと均等に分け合っています。


そしてその分け合った同じキャンバスを使って描かれたのがSOMPO美術館が所蔵するゴッホの《ひまわり》なのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

作品に寄って見てみますと、キャンバスの粗い感じが確認できます。

二人の共同生活

そんな二人の共同生活は短く、約2カ月で終わってしまいます
ゴーギャンがアルルに到着したのが10月23日でしたが、2か月後の12月23日にはあの有名な「耳切事件」が起こり、翌日にはゴーギャンはアルルから去っています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

そんなアルルで共に過ごした2人の画家の、同じキャンバスを使って描かれた作品が、かつてゴッホが憧れた日本の美術館にあるというのは感慨深いものを感じます。

《ひまわり》ゴッホ


《ひまわり》1888年12月-1889年1月
フィンセント・ファン・ゴッホ
SOMPO美術館蔵

こちらの《ひまわり》は1987年のオークションで損保ジャパンの前身の安田火災海上が落札しました。
当時の絵画のオークションの最高価格、53億円で購入されました。

53億と聞くとどえらい額のように思いますが(もちろんどえらい額なのですが)、
もし今の時代に《ひまわり》がオークションに出たとするならば100億円は超えると言われています。
それを考えると53億で当時購入することができたのは、今から考えると安かったと言えるでしょう。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらの《ひまわり》は常設展示となっており、美術館に足を運べばいつでも見る事ができます

今回新しく美術館の建物を作るにあたって専用の展示ケースもあわせて作られました。
以前に比べて作品との距離が縮まったのと、展示する高さも少し下がっており、より鑑賞しやすくなっています。

また仕切りのガラスも透明度の高いものが使われており、より鮮明に作品を楽しむことができます。
照明も少し落とされていますが、それでもなお《ひまわり》が光を放っているような明るさと絵の持つ力強さが感じられます。


このSOMPO美術館の《ひまわり》はロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の作の次に描かれた5枚目の《ひまわり》と考えられています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ロンドン版と比べてみますと、構図や色遣いがほぼ同じ事から”セルフコピー”の作品だと思われます。
4枚目のロンドン版を見ながら、5枚目のSOMPO版を描いたのです。

すでに構図が決まっているという事もあり、自由度が高く、ゴッホは色彩や筆のタッチで実験的な試みをこのSOMPO版にしたと考えられています。
絵具の盛り方はロンドン版と比べ、より厚塗りになっています。

ロンドン版を描いた時の「もっとこうした方が良かったな~」といった部分は、このSOMPO版に反映されていると考えられます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ゴッホは《ひまわり》を全部で7枚描きました
その内の2枚目に描かれたものはかつて日本にありましたが、神戸大空襲で焼失してしまったので現存するのは6枚となっています。

別記事にてゴッホの《ひまわり》について詳しくまとめています。
よろしければこちらもチェックしてみて下さい。
リンク:【ロンドン展⑮】ゴッホ《ひまわり》【ぶらぶら美術・博物館】

今回の記事は以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました