【ぶら美】死ぬまでに見たい日本絵画10選!①【美術番組まとめ】

ぶらぶら美術・博物館

2020年7月7日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#351 ぶらぶらプロデュース!夢の特別展③~死ぬまでに見たい日本絵画10選!山下裕二x仏画の最高峰から琳派、若冲、隠し玉まで~】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

今回は明治学院大学教授山下裕二先生の解説で放送された「死ぬまでに見たい日本絵画10選」、こちらをまとめていきます。

古くは九州にある6世紀に描かれた《チブサン古墳壁画》から現代まで、1500年の歴史の中から選ばれた10作品です。
(*《チブサン古墳壁画》は10作品には入っていません)

国宝《普賢菩薩像》


国宝《普賢菩薩像》
平安時代、12世紀
東京国立博物館蔵

戦後の国宝指定の第一号になった《普賢菩薩像》、日本美術史の中でたいへん重要な作品です。

普賢菩薩』とは法華経では女性を救う仏様です。
ですので平安貴族の中でも特に女性からの信仰を集めた仏様なのです。

全体の色合いが非常に上品で、白が際立つように表されています。
仏画の場合は輪郭線を朱色で描く事が多いですが、この《普賢菩薩像》では輪郭線を墨で描く事で肌の白色を強調する効果を生み出しているのです。

平安時代でも特に12世紀が平安仏画の最も素晴らしい作品が生まれた頃ですが、現存する中でもこちらの《普賢菩薩像》が最高峰といえます。
この後鎌倉・室町と時代は進んでいきますが、次第にこの作品のような上品さは失われていきます
(山下先生曰く「悪く言えばギトギトした感じになっていく」との事)

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

目の部分は少しつりあがっており、唇も小さく、たいへん素敵なお顔をされています。


これだけ素晴らしく、国宝第一号になっている作品ですが、明治時代には廃仏毀釈の影響で海外に流出する危機がありました。

そこで旧帝室博物館今の東京国立博物館)の山辺某さんが(やまべなにがし*名前が残っていないので”なにがし”で呼ばれている)当時の値段で約10円(今でいうと150万円)で購入しました。

国宝が150万円で買えちゃったの⁉安すぎる( ゚Д゚)

もしも今この作品がオークションに出たならば、何十億円はくだらないと山下先生はいいます。
しかしこれだけのクオリティのものが市場に出回る事自体、もうないといいます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

明治の頃は廃仏毀釈もあり、仏画全般の価値は認められていなかったといいます。
お寺の五重の塔でさえ、薪として売られる所だったのです。

そう考えますと、山辺某さんはたいへん素晴らしい事をした人物といえます。

国宝《伴大納言絵巻》


国宝《伴大納言絵巻》上巻より部分
平安時代、12世紀
出光美術館蔵

こちらの《伴大納言絵巻》は東京・丸の内にある出光美術館が所蔵しており、何年かおきに一般公開されています。
全3巻(上・中・下巻)から構成され、1巻の長さは8メートル以上に及びます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらの場面は866年に起きた応天門の変という政治事件(冤罪事件)を描いた部分です。

大納言という役職にいたの伴善男(とものよしお)応天門に火をつけます
そしてライバルである左大臣の源信(みなもとのまこと)犯人に仕立て上げて、失脚させようとした事件です。

しかし企みをばれて伴善男伊豆国へ島流しの刑に処されます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

画面左端に黒い煙が出ていますが、これが応天門からのぼった炎の煙を表しています。
(右側の赤い門が応天門ではありません)
この場面ではその火事を聞きつけて群衆が押しかけている場面を描いているのです。

伴大納言絵巻》が描かれたのは諸説ありますが12世紀、1177年と言われています。
一方、応天門の変が起きたのは866年なので、事件からおよそ300年後に描かれた事になるのです。

現代の私たちで言う”時代劇”のような感覚なのですね!

絵巻は現代ですと広げた状態で美術館等で展示されますが、元々は一人の人が肩の幅で巻きながら見るものでした。
このような読み方から絵巻は「アニメの元祖」とも言われています。

日本四大絵巻

伴大納言絵巻》は日本四大絵巻に数えられます。

日本四大絵巻』は以下の4つの絵巻の事で、全て国宝に指定されています。

  • 鳥獣人物戯画
  • 源氏物語絵巻
  • 伴大納言絵巻
  • 信貴山縁起絵巻(しぎさんえんぎえまき)

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この四大絵巻の中でも《源氏物語絵巻》だけがタイプが異なるのです。
すなわち「人物が定型化」して描かれたのが《源氏物語絵巻》であり、「人物を描き分け」したのが、《伴大納言絵巻》と《信貴山縁起絵巻》になるのです。

そして《鳥獣人物戯画》はまた少し違い、そのどちらでもないと言えます。
しかしかなり腕の立つ人物が描いたことには変わりありません。

描かれている人々

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

有名な《源氏物語絵巻》の場合は、皆同じ引目鉤鼻(ひきめかぎばな)で描かれており、表情も一緒です。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この《伴大納言絵巻》には全体で450人ほどの人物が描かれていますが、一人一人の仕草や顔の表情が描き分けられているのが特徴です。
今にも動き出しそうで生き生きとしています。

しかも筆さばきも早いので、非常に絵心のある人が描いているのが分かります。
作者は常盤光長(ときわ みつなが、生没年不詳)という平安時代後期に活躍した宮廷絵師と言われています。

今回の記事は以上になります。
続くパート2では、雪舟の《天橋立図》と長谷川等伯の《松林図屏風》についてまとめていきます。
こちら☚からご覧いただけます。

コメント

  1. […] 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。 […]

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