【アートステージ】オランダ静物画の世界【美術番組まとめ】

アート・ステージ

2020年4月18日にTOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」の【精緻を極めたオランダ静物画の世界】の回をまとめました。

番組内容に沿ってそれでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

今回取り上げるのは17世紀のオランダの画家たちが描いた”超写実的な静物画”です。

スポンサーリンク

《風景のある静物画》ファン・ベイエレン


《風景のある静物画》1650年代
アブラハム・ファン・ベイエレン
リヒテンシュタイン美術館寄託

銀食器のきらめきや、ガラスの質感、果物のみずみずしさ。
まるで本物のようなリアルな描写です。

17世紀のオランダは「絵画の黄金時代」と呼ばれています。
特に静物画は、他のヨーロッパ諸国に先んじて独自の発展をしました。


どこを取っても緻密に描かれていますが、食器に反射する光の表現などはたいへん見事です。
迫真の描写は圧倒的な存在感を放っています。

テーブルの上には豪華な品々が置かれています。
これはこの国が当時どれほど豊かな国であったのかを表しています。

アブラハム・ファン・ベイエレン(Abraham van Beijeren、1620年頃-1690年)は、オランダバロック期の画家です。
静物画、とりわけ豪華な食卓図を描いた事で知られます。

ファン・ベイエレンの作品は2019年から2020年にかけて国立新美術館で開催された「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」展でも展示されていましたので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。


《果物、魚介、高価な食器のある静物》1654年
アブラハム・ファン・ベイエレン
ブダペスト国立西洋美術館蔵

こちらの作品も見事な描写力ですね。

17世紀オランダの時代背景

ファン・ベイエレンの生きた時代には、彼以外にも静物画を得意とする画家が数多くいました。
それではなぜ、オランダで静物画が花開いていったのでしょうか

スペインと繰り広げられた八十年戦争(1568年~1648年)の勝利により、オランダは独立を果たします。
それにより海洋貿易の覇者となり、他のヨーロッパ諸国より抜きんでた力を持っていました。
貿易により国はみるみる豊かになり、学問や芸術が発展してゆくのです。

もう一つの静物画が発展した要因、それは宗教戦争でした。
オランダはプロテスタントの国だったので、偶像崇拝が禁止されていました。

そのため教会からの絵画の注文が激減。
代わりに力を持った市民たちが画家に絵の発注をするのです。

市民たちはそれまでのヨーロッパで主流だった豪華な宗教画や神話画は求めませんでした
彼らが求めた絵画こそ、自分たちにとって身近なモチーフである集団肖像画風俗画風景画、そして静物画だったのです。

画家たちは市民の求める絵画を描いていく中で、その腕を競い合いました。

《自画像のある静物》ピーテル・クラース


《自画像のある静物》1628年頃
ピーテル・クラース
ゲルマン国立博物館蔵

この静物画の最大の特徴は、右上に置かれている頭蓋骨です。
オランダでは16世紀頃から、このような頭蓋骨のある静物画が多く描かれてきました。

「頭蓋骨」に込められた意味、それは”人生の儚さ”でした。
つまり人間は今生きていても、いつか必ず死ぬ存在であるという事を忘れず、おごり高ぶらないように、と戒めているのです。

このような静物画を『ヴァニタス』といいます。
ヴァニタス』はラテン語で”虚しさ”を意味します。

このピーテル・クラース(Pieter Claesz、1597頃-1660)の作品には、頭蓋骨以外にも「ヴァニタス」によく描かれるモチーフがあります。


卓上に置かれた時計は、”限りある時間”を表しています。


割れたクルミは”衰退”を意味しています。


そしてこの作品の主役のような存在で描かれたヴァイオリン
楽器もヴァニタスを象徴するモチーフです。
楽器から奏でられる音楽は鳴り響いた瞬間に消えてしまう、というのがその理由です。

ヴァイオリンの奥に置かれているのは、火の消えたオイルランプです。
こちらも”物事の終焉”を想起させるモチーフです。

しかしこの作品には、他のヴァニタス画ではあまり見られない面白い所があります。
それはタイトル《自画像のある静物》にもある『自画像』が描きこまれているという所です。


画面左側に置かれたガラスの球には、この作品を描いている画家自身の姿が描かれています。
それだけではなく、部屋全体の様子も映し出しています。


画家が写るガラス球には窓が描かれていますが、反対側の倒れたグラスにもその窓の反射が描かれています。

「ヴァニタス」といえば「頭蓋骨」が描かれている作品、というイメージを持たれている方も多いと思いますが、それ以外のモチーフにも”終焉”や”人生の儚さ”が表現されています。
ヴァニタス画を見る際には、一個一個のモチーフに注目しながら見てみるとより楽しめるかもしれません。

今回の記事は以上になります。

最後までご覧頂きありがとうございました。

「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」のこの回以外の記事もアップしています!
こちら☚から一覧をご覧いただけますので、是非ご覧ください(*^-^*)

コメント

タイトルとURLをコピーしました