2020年6月7日にNHKで放送された「日曜美術館」の【蔵出し!日本絵画傑作15選 一の巻】の回をまとめました。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
イントロダクション
まだまだ油断のできない状況が続く日々ですが、そんな時こそ「美しいものに触れたい」という事で、今回は日曜美術館45年の歴史から選りすぐりの日本美術が紹介されました。
古墳時代から江戸時代までの名作中の名作15点を取り上げます。
この『蔵出し!日本絵画傑作15選』のシリーズは全三回を予定しており、第二回が6月14日、第三回が6月21日に放送されます。
もちろんこのブログでもまとめていきますよ。
第一目の放送は古墳時代から鎌倉時代までの作品が紹介されました。
《チブサン古墳》
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
熊本県の山鹿市(やまがし)にあるチブサン古墳。
2018年まで日曜美術館の司会を務めていた井浦新さんが訪ねました。
個人的に井浦新さん大好きなんです。
(すいません、余談で(笑))
チブサン古墳は九州の装飾古墳を語る上では絶対に外せない場所だと井浦さんは言います。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらがその外観です。
チブサン古墳は6世紀に作られました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらが古墳内部の石室になります。
壁面には三角形と丸の模様が描かれています。
「チブサン古墳」という名前の由来は、〇の中に黒い点が描かれた同心円の模様が、”女性の乳房”に見えるというので名付けられたと言われています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
強烈な色彩の赤・黒・白が壁面を彩ります。
この空間は死者を安置する場所だと考えられています。
シンプルな色と幾何学模様が不思議な迫力で迫ってきます。
壁面には冠を被って両手を掲げた人物らしき姿が描かれています。
一説にはこの古墳に葬られた人を表しているとも言われます。
描かれている丸の多くは、銅鏡などの”鏡”を表現したものだといわれています。
ただ全ての丸=鏡というわけではないようで、中には太陽や月といった天体を表しているされるものもあります。
この模様に込められているのは、「魔除け」の意味もありますが、それよりも”死者に捧げる”、”安らかに眠ってもらう”という思いが込められているといいます。
《日岡古墳》
チブサン古墳のような装飾古墳は日本全国で660基あるといわれ、その4割が熊本と福岡に集中しています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
福岡県うきは市にある日岡古墳(ひのおかこふん)。
6世紀前半にこの地域を統治した首長の墓と考えられています。
壁には大きな同心円や小さな三角形といった幾何学模様から、剣や盾、草の模様までさまざまな装飾で埋め尽くされています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
この古墳には1974年にあの岡本太郎氏も足を運んでいます。
1974年は井浦新さんの生まれた年でもあります。
岡本太郎氏はこの古墳を見て以下のように述べています。
「美術だとか芸術だなんて言ってるんじゃなくて、もっと人間の存在の絶対感みたいなものを、ここに見出すべき。
装飾古墳の方がむしろ人間の根源をちゃんとつかんでいる」
「かつての人間がどういう原点で、どういう純粋な生き方をしたかという事を考えないといけない」
正倉院宝物《鳥毛立女屏風》
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
続いての作品は、聖武天皇ゆかりの正倉院宝物の一つです。
《鳥毛立女屏風》(とりげりつじょのびょうぶ)は6枚一組から成る屏風です。
木の下で優雅にたたずむ女性の姿が描かれています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
ゆったりと結ったボリュームのある髪型は、この時代の唐美人の典型的な姿です。
そして鮮やかな赤の唇や口元のつけぼくろ、額の緑の模様。
これらも唐を中心に国際的に流行していたメイクです。
正倉院宝物の多くが唐で作られたと考えられていましたが、近年の調査で全体の9割以上が日本で作られたものだと分かっています。
この《鳥毛立女屏風》もその一つです。
国産である痕跡が次々と見つかっているのです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらは女性の肩の部分のアップです。
輪郭の外側にくぼんだ線が残されているのが分かりますでしょうか?
この線はここに転写する際の痕跡です。
紙の上にお手本の絵を置いて、その輪郭を鉄筆でなぞって写し取った線だと考えられています。
「憧れを自分のものにしたい」という作者の強い思いが見て取れます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
更に国産を示すあとが残されていました。
それがこの画像にある茶色の部分です。
じつはこの茶色の部分に鳥の羽が付けられていたのです。
この屏風は作られた当時は、衣全体が本物の鳥の羽で覆われていたのです。
だから「鳥毛」立女屏風なんですね!
そしてその鳥というのが、日本にしか生息しないヤマドリの羽だったのです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
当時の唐の書物には「皇帝の娘が鳥の羽で作ったスカートをはいていた。それが流行して、鳥の羽が採りつくされた」と書かれています。
それだけ鳥の羽をまとった服というのは当時流行していたのです。
日本画家の上村淳之氏の再現
1988年、日本画家の上村淳之(うえむらあつし)さんが《鳥毛立女屏風》の制作当初の姿の再現を試みました。
なんとこの上村淳之さん、美人画で有名な上村松園のお孫さんにあたる方だそうです!
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
ヤマドリの羽を屏風の模様に合わせて一枚一枚のりで貼っていきます。
一枚の屏風に使われる羽の数は約1000枚です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらが再現された《鳥毛立女屏風》です。
その姿はまるで毛皮をまとっているような豪華さがあります。
元々はこういう姿だったのかと思うと、感慨深いですね~。
ヤマドリの羽は独特の神秘的なきらめきがあり、不思議な光沢が全体を包み込んでいます。
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は以上になります。
この続きはパート2にて。
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