【美術番組まとめ】《ロブスターのある静物》【ロンドン展④】

ぶらぶら美術・博物館

2020年3月31日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#342 世界初!奇跡の大規模展「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」前編〜ルネサンスって何?!英国が誇る国宝級名作で西洋美術が丸わかり!〜】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
今回はパート4です。前回のパート3はこちら☚からご覧頂けます。

*開幕が延期となっております。詳細は展覧会公式HPをご確認ください。

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《ロブスターのある静物》


《ロブスターのある静物》1650-59年
ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵

すごくリアルで写実的な作品ですね!

この作品は17世紀のオランダで活躍したウィレム・クラースゾーン・ヘーダという画家の作品です。

この時代の前までは、風景画や静物画というジャンルは絵画の中でも低いものだと見なされていました。
それが独立したジャンルとして確立され、この画家のように静物画のスペシャリストが生まれてきたのです。
この時代は主に裕福な市民たちがこういった静物画を購入していきました。

非常に細かい所まで丁寧に描かれているのが分かります。
元々オランダやフランドルでは、このような細密描写が300年ほど前のヤン・ファン・エイクの時代から得意分野でした。


特徴はなんと言っても、”抜群の質感表現”ではないでしょうか。
描かれているグラスには、反射した窓まで描かれているのが分かります。


布の表現も質感から絹である事が分かると思います。
材質まで伝える表現は見事!の一言です。

ここで描かれているものの多くは贅沢品です。
当時のオランダがいかに海洋貿易で栄えたが伝わってきます。


例えば、レモンは地中海で採れる果物です。
その隣の陶器は中国製のものでしょう。


オリーブもレモン同様に地中海からもたらされたものです。
その下の紙の包みからは、(見えづらいですが)コショウがこぼれています。
コショウはインドネシアなど東南アジアから輸入されました。

これで東インド会社が儲けたっていうのは昔学校で習いましたね!

画家:ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ

ウィレム・クラースゾーン・ヘーダ(Willem Claesez. Heda、1594-1680)は静物画を数多く描いたことで知られます。
静物画のスペシャリストと言えるでしょう。

ただこの画家について分かっている事は非常に少なく(調べた限り肖像画もありませんでした)、オランダのハールレムで父親が都市設計士の家庭に生まれたという事。
彼自身はビール職人の娘と結婚、息子も父親同様に静物画家になったという事が記録に残されています。

オランダ絵画の黄金時代

展覧会の第二章(Chapter Ⅱ)は「オランダ絵画の黄金時代」からスタートします。

オランダ絵画の黄金時代というと、17世紀をさします。
この頃のオランダはバブル時代だったと言えるでしょう。

元々オランダはスペインの支配下にありましたが、16世紀の末に独立を果たします。
そして貿易大国として、世界中と貿易をして莫大な富を得ます。

そのような中で力をつけていったのが、中産市民階級と呼ばれる商人たちでした。
その社会の変化に伴って、求められる美術も変わっていきます。

そしてもう一つこの頃のオランダでの重要な出来事が「宗教改革」です。
この改革によりオランダはプロテスタントの国になります。

プロテスタント偶像崇拝(絵画や彫刻を信仰の対象としてあがめること)を禁止していました。
これまで宗教画や宗教彫刻で生計を立てていた芸術家も、方針転換を余儀なくされるのです。

しかし丁度、力をつけた市民階級から彼らが求める新しい美術の注文が入るのです。
それが風景画や、肖像画静物画だったのです。
これまで絵画のヒエラルキーの中で下位の扱いを受け、発展してこなかったこれらのジャンルの美術がここで花開いていくのです。

さらにそれらの絵のジャンルが細分化されていく事で、それぞれのジャンルのスペシャリストが生まれていきました。

パート4は一旦ここまでです。
続くパート5ではオランダの巨匠レンブラントの自画像についてまとめていきます。
こちら☚からご覧くださいませ(*^^*)

コメント

  1. […] 今回のパート3はここまでです。ご覧頂きありがとうございました。 続くパート4では17世紀・オランダ黄金時代の絵画についてまとめていきます。 こちら☚からご覧くださいませ(^^♪ […]

  2. […] 番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。 今回はパート5です。前回のパート4はこちら☚からご覧頂けます。 […]

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