2020年3月31日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#342 世界初!奇跡の大規模展「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」前編〜ルネサンスって何?!英国が誇る国宝級名作で西洋美術が丸わかり!〜】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
今回はパート5です。前回のパート4はこちら☚からご覧頂けます。
*開幕が延期となっております。詳細は展覧会公式HPをご確認ください。
《34歳の自画像》レンブラント
《34歳の自画像》1640年
レンブラント・ファン・レイン
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
レンブラントといえばこの肖像画ですね!
こんな有名な作品が見られるなんて!
17世紀オランダの巨匠、レンブラント・ファン・レインの自画像です。
あのフェルメールと同じ時期に活躍しました。
(レンブラントの方が26歳年上)
彼は自画像を多く描きました。
これは芸術家の社会的地位が向上した事に由来します。
こういった自画像を市民が自宅に飾ることで、「自分はこの画家と知り合いだよ」「自分もこういった芸術が好きなんだよ」というのをアピールすることが出来たのです。
レンブラントは当初から自画像を描いていましたが、それは売却が目的ではありませんでした。
初期の自画像は”ヘン顔”のようなものがあります。
確かにヘン顔ですね(笑)
こちらは24歳の時の自画像です。
今見るとヘン顔ですが、当時のレンブラントは様々な顔の表情を研究していたのです。
いわば練習のために描いていたのに、毎回モデルを雇うとなるとギャラが発生してしまいます。
「練習だから自分の顔でやってしまおう」と考えて様々な表情の自画像描きました。
ところがレンブラントは、そういった自画像が”売れる”という事に気づくのです。
そこで「だったら芸術家としてきちんとした自画像を描いて、PRしよう!」という方向に変わっていくのです。
いわばこの時代における「マーケティング戦略」と言えるでしょう。
そして”ヘン顔”から”ドヤ顔”の自画像になっていきます。
この頃のレンブラントは裕福な家の娘と結婚し、画家として独立して、オランダNo.1の画家となったまさに絶頂期の頃の作品です。
《夜警》1642年
レンブラント・ファン・レイン
オランダ、アムステルダム国立美術館蔵
(*ロンドン・ナショナル・ギャラリー展の出展作品ではありません)
レンブラントと言えば!の代表作《夜警》を描いたのも、この自画像から2年後のことです。
しかしその後奥さんに先立たれ、レンブラント自身も没落していくのです。
その後の彼の運命を考えると、まさに彼のピークの時代なのです。
この自画像では”ドヤ顔”もさることながら、ポージングや衣装にも自信が溢れています。
来ている衣服はこの時代から100年ほど前(16世紀)のものです。
現代の我々には17世紀の服も16世紀の服も一緒に見えますが、当時の人には「ルネサンスのデューラーやラファエロなどの巨匠と並ぶ存在なんだ」と思ったことでしょう。
また、棚の向こう側で斜めに構え、右腕を載せるこのポーズも巨匠たちの作品で前例がいくつも残されています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館 #342」より
デューラーやラファエロ、ティツィアーノら巨匠たちもこのポージングで肖像画や自画像を描いています。
ファーストネームで知られる画家
「自分がルネサンスの大画家の後継者である」というメッセージを込めた自画像だけあって、サインもでかでかと書かれています。
今日の私たちは彼の事を「レンブラント(・ファン・レイン)」と呼びますが、実はこれはファーストネーム(名前*苗字じゃない方)なのです。
一般的に画家の名前を言う時はファミリーネーム(苗字)の方で呼びます。
例えば、
(フィンセント・ファン・)ゴッホ
(ヨハネス・)フェルメール
(ディエゴ・)ベラスケス
などなど。
一方でファーストネーム(名前)で呼ばれる画家はレンブラントも含めてもごくごく限られています。
ラファエロ(・サンティ)
ミケランジェロ(・ブオナローティ)
ティツィアーノ(・ヴェチェッリオ)
ここに挙げた画家はイタリアのルネサンスの画家です。
レンブラントはそれを真似て、自らもファーストネームでサインをしているのです。
今でも”レンブラント”と呼ばれていますからね~
パート5はここまでです。今回もご覧頂きありがとうございました。
次のパート6では、私masayaが一番好きな画家!フェルメールの《ヴァージナル前に座る若い女性》についてまとめていきます。
是非次もご覧になってください(*^^*)こちらから☚
コメント
[…] パート4は一旦ここまでです。 続くパート5ではオランダの巨匠レンブラントの自画像についてまとめていきます。 こちら☚からご覧くださいませ(*^^*) […]
[…] 番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。 今回はパート6です。前回のパート5はこちら☚からご覧頂けます。 […]