2020年7月19日にNHKで放送された「日曜美術館」の【蔵出し!西洋絵画傑作15選(3)】の回をまとめました。
今回の記事はパート8になります。
前回のパート7はこちら☚からご覧頂けます。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
《ひまわり》ゴッホ
《ひまわり》1888年8月
フィンセント・ファン・ゴッホ
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
「蔵出し!傑作選」西洋絵画の13作目は子供から大人まで誰もが知る名画、ゴッホの《ひまわり》です。
ゴッホは34歳の時に南仏のアルルにやってきます。
彼はこの場所に芸術家たちの理想郷を作る事を目的としていました。
全てを鮮やかに照らし出すアルルの太陽。
それを一身の受けて輝いていたのが、”ひまわり”だったのです。
キャンバスには激しいまでの鮮やかな花の黄色、そして背景も同じ黄色で占められています。
厚塗りの絵具からは、目にした輝きを必死に描こうとするゴッホの情熱が伺えます。
過去のNHKの番組では、版画家の棟方志功とミュージシャンの忌野清志郎がゴッホと《ひまわり》について語っていました。
棟方志功とゴッホ
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらは1970年の番組でゴッホについて語る棟方志功(1903-1975)です。
棟方志功が芸術を目指した原点は少年時代に見た《ひまわり》の絵葉書だったと言います。
「ゴッホが持っている何かが自分にもある」と感じた棟方志功は、「わ ゴッホになる!」と言い青森から飛び出しました。
(「わ」とは青森弁で「僕」という意味だそう)
当初はゴッホと同じく画家を目指しましたがうまくいかず、版画家の道へと進みます。
それでもゴッホに対する思いは晩年まで変わることはありませんでした。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらは棟方志功が亡くなる3年前に描いた油絵です。
確かにゴッホの影響が感じられますね。
少年時代の憧れだった「ひまわり」が棟方志功の心に咲き続けたのが分かります。
忌野清志郎とゴッホ
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
2004年の番組では、ミュージシャンの忌野清志郎さんがゴッホと向き合っていました。
忌野清志郎さんにとって、ゴッホは永遠のロックスターであり、アイドルだと言います。
彼が作詞したRCサクセションの楽曲『君を呼んだのに』では歌詞の中に”ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ”の名前も登場します。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
この絵は忌野清志郎さんが高校を出て、2~3か月経った頃に描いたものです。
厚塗りの絵具と花の構図はゴッホを彷彿とさせます。
忌野清志郎さんは絵を描くのも曲を作るのも、のめり込み方は似ているといいます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
当時の番組では忌野清志郎さんが初めてゴッホの本物の作品と対面する様子が放送されました。
日本にある《ひまわり》、当時の「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」が所蔵する作品との対面です。
忌野清志郎さんはこの《ひまわり》を見て次のような感想を述べています。
「いやぁ、これがゴッホですよ。
真面目に絵に立ち向かっている感じがですかね。
(中略)絵を超えちゃっている、人々に力をバーンと与えてるような」
《ひまわり》には見る人に勇気を与えるようなパワーが込められているのです。
《叫び》ムンク
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
北欧ノルウェーの首都、オスロ。
厳しくも美しい自然に囲まれたこの地に次の作品はあります。
《叫び》1893年
エドヴァルド・ムンク
オスロ国立美術館蔵
「蔵出し!傑作選」西洋絵画の14作目。
19世紀末に描かれたエドヴァルド・ムンクの《叫び》です。
空が赤く染まり、その空も含めた画面全体がうねっています。
そのうねりの中で耳を塞ぐ人物は体をくねらせ、顔をゆがめています。
ムンクのこのような言葉を残しています。
「雲が赤くなった、血のように。
私は自然をつらぬく叫びのようなものを感じた」
よく言われる事ですが、ここでいう「叫び」とは絵の中の人物が叫んでいるのではありません。
絵の中の人物が「叫び」を聞いて、耳を塞いでいるのです。
《地獄の自画像》1903年
エドヴァルド・ムンク
ムンク美術館蔵
こちらは《地獄の自画像》と呼ばれる作品です。
この作品にも見られる通り、ムンクの人生は決して幸福に満ちたものではありませんでした。
ムンクはいつも”死”というものに怯えながら生きていました。
自分自身が病弱だったのも理由の一つですが、特に幼少期に最愛の母親を、そして青年時代に姉を亡くしたのがその大きな要因でした。
悲しみと死の恐怖にさいなまれ、彼自身も精神を病んでいました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
ムンクは幾つかの作品を「生命のフリーズ」と称して、連作で発表しています。
『叫び』も「生命のフリーズ」に含まれており、ムンクは5枚の《叫び》を残しています。
今回の記事はここまでです。
続くパート9で、ムンクがどういった思いでこの《叫び》描いたのか。
そして「蔵出し!傑作選」西洋絵画のラスト、ピカソの《ゲルニカ》についてもまとめていきます。
こちら☚からご覧いただけます。
コメント
[…] 今回の記事は以上になります。 最後までお読みいただきありがとうございました。 続くパート8ではゴッホの《ひまわり》、そしてムンクの《叫び》についてまとめていきます。 こちら☚からご覧いただけます。 […]
[…] 2020年7月19日にNHKで放送された「日曜美術館」の【蔵出し!西洋絵画傑作15選(3)】の回をまとめました。 今回の記事で3週に渡り放送された「蔵出し!傑作選・西洋絵画」のラストで、パート9になります。 前回のパート8はこちら☚からご覧頂けます。 […]