【日曜美術館】新春SP #アートシェア2021①【美術番組まとめ】

日曜美術館

2021年1月3日にNHKで放送された「日曜美術館」の【新春スペシャル 「#アートシェア2021」】の回をまとめました。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

美術やアートは時が変わればその見え方も変わっていきます。

今回の記事は「#アートシェア2021」という事で、著名人の方々が挙げた”今だからこそ見て欲しいアート”についてまとめていきます。

このパート1の記事では、俳優の井浦新さん、ロボット学者の石黒浩さん、現代美術家の塩田千春さんがアートシェアした作品についてまとめていきます。

俳優 井浦新さん

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

井浦さんも2020年のコロナ禍では、準備してきた映画の撮影などが中止になってしまう等の影響があったといいます。

たまに買い出しで外に出た時には、街路樹の伸びっぱなしになっている雑草にまで感動してしまうほど、病んでいたと自身で回想されていました。

国宝《火焔型土器》

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

井浦さんが”アートシェア”に選んだ作品は、5,000年前の縄文人が生み出した美、国宝火焔型土器》です。

この作品は井浦さんがようやく再開となったドラマの撮影で、新潟県十日町市を訪れた時に出会ったといいます。
多忙なロケの合間を縫って訪れたのが、十日町博物館でした。

井浦さんはこの作品を見て、疲れ果てた心が癒されたといいます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

一見不規則に模様が付けられているように見えますが、じつは正確に同じような装飾が繰り返し使われている、と井浦さんは言います。
この作品を目の前にすると、様々なイメージが膨らむそう。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

井浦さんは博物館の学芸員から、非常に興味深い話を聞きました。

それは全ての『火焔型土器』が川の流域で見つかった事から、装飾は”炎”ではなく、”水”を表しているのでは?という見方です。

これは目からウロコなお話ですね!

元々『火焔型土器』という名称は、口縁部から立ち上がる装飾が”火炎”を想起させる事に由来しています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

例えば渦巻く模様は炎ではなく、川の流れや水のうねりを表しているように見えますし、
縁にある突起も水面を表しており、そこから魚が跳ね上がっているようにも見えます。

火や水、魚そして動物という自然の中にある”形”というものが、この『火焔型土器』に込められているのではないか?と井浦さんは言います。

この火焔型土器が川の流域で見つかったという事は、これを作った縄文人も川のそばで暮らしていたと考えられます。
大雨が降れば川は氾濫し、台風や嵐が来ればさらに酷い事になっていた事でしょう。

しかし縄文人たちは、その地で暮らすのを諦めて他所に行くのではなく、命の源であり、時に自分達を時に苦しめる”水”を畏怖の念を持って造形に表し、それに祈りを捧げました
この『火焔型土器』には、「物を創って乗り越えていこうとする力」が込められているのです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

厳しい状況だからこそに生まれてくる、いわば「逆境だからこそ生まれてくる形」があり、井浦さんはこの作品を目の前にすると、その古代からバトン、「お前たちも頑張れよ」という意思が伝わってくるようだと言います。

ロボット学者 石黒浩さん

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

人は人を創ることができるのか

ロボット学者の石黒浩さんは、アンドロイド開発を通じて人間の本質を追求しています。

「人を理解したい」「人間らしいものをアンドロイドで表現したい」と考える石黒さん。
アーティストの中でそういった”人間の本質”を徹底して自分の中のイメージを表現しているのは、アルベルト・ジャコメッティだといいます。

《歩く男Ⅰ》ジャコメッティ

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

アルベベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti、1901-1966)は20世紀を代表するスイスの彫刻家です。

こちらの《歩く男Ⅰ》は全長183センチにも及ぶ大作です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

頭部はまるで土の塊のようで、鼻と耳の部分の盛り上がりを除いて、顔の各パーツは詳細に表現されていません。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

ジャコメッティの作品の多くは、この作品ように細く引き伸ばされた人体です。
この《歩く男Ⅰ》では、それでもなお前に進もうとする人間の姿が表されています。

石黒さんは、ジャコメッティの作品について「削ぎ落して削ぎ落して、人間のいろんなものを最小限に表現したら、ああいう形になるのではないか」と言います。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

石黒さんは人間のようなリアルなアンドロイドを作る一方で、機械がむき出しになっているアンドロイドも作っています。
そしてその機械むき出しのアンドロイドも人間っぽく見えるのだとか。

それは余計なものを削ぎ落していった結果、人の想像がうまく喚起される結果だと言います。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

石黒さんはこうも述べています。
技術が進んでいない貧しい頃は、とにかく豊かになろうとしてきた。
十分豊かになって、死ななくなった時、自分は何に興味を持つのだろう?
人に対する興味がもっとあわらになっていくのではないか。

その本当の興味に向かっている一人が、ジャコメッティなんだろうなと思うのです

この作品には、余計なものを削ぎ落して、社会の中で様々な事に悩みながら生きていく本来の人間の姿が表されているのです。

>>続いては現代美術家・塩田千春さんが選んだ作品です

コメント

  1. […] 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧頂けます。 […]

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