【日曜美術館】第72回正倉院展①【美術番組まとめ】

日曜美術館

2020年11月1日にNHKで放送された「日曜美術館」の【至宝からひもとく天平の祈り〜第72回 正倉院展〜】の回をまとめました。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

奈良・東大寺大仏殿の北西約300メートルの所に位置する正倉院
ここには1300年間守られてきた宝物が納められています。

奈良国立博物館で毎年開催されている『正倉院展』。
今年2020年で72回目を迎える同展は、戦後間もない1946年(昭和21年)に奈良国立博物館で最初に開催されましたが、この展覧会が戦後の疲弊した人々の心を癒し、希望を与えたという事で、以降毎年のように開催されるようになります。

2020年は新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれていましたが、事前予約制を導入し、1時間毎鑑賞人数をおよそ260名と制限する事で開催される運びとなりました。
なお、番組放送時の11/1時点で「前売り日時指定券」は完売当日券の販売も実施しないとの事です

今回出陳される宝物は、このコロナ禍の人々に希望を与えるような宝物が多く、まさに”正倉院展の原点”に立ち返るような形になったといえます。

公開される宝物の数は59件、そのうち4件が初出陳となります。
それでは早速、その宝物群を見てまいりましょう。

《平螺鈿背円鏡》南倉70

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

こちらは『平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)』という宝物です。

直径は約40センチで、正倉院にある螺鈿の鏡の中で最大の大きさです。
宝物全体にびっちりと豪華な装飾が施されています。

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

螺鈿の模様に隙間に見える青や緑色の石はイラン原産のトルコ石です。
赤色の部分はミャンマーもしくは中国雲南省付近で採れた琥珀が使われています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

この宝物で特筆すべき点はこの螺鈿で表わされた”サイ”です。
サイは”幸福をもたらすモチーフ”であったと考えられています。

宝物の成分調査を行ったところ、中国・唐時代の銅鏡の成分比率に近い事から、遣唐使や新羅の商人が日本に持ち運んだ物だというのが有力な説になっています。

正倉院にはこの宝物のような螺鈿鏡が全部で9点納められています(北倉に7点、南倉に2点)。

《桑木木画碁局》中倉174

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

読み方は「くわのきもくがのききょく」です。

こちらは囲碁の対局で使われた碁盤です。
縦横19本の線が引かれたこの碁盤は”19路盤”と呼ばれ、現代の碁盤と全く同じものです。

奈良時代、貴族の間で碁を打つのが流行したと考えられています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

この宝物の特徴は盤の側面にあります。
ここには奈良時代の超絶技巧が余す事なく詰め込まれています。

青色の部分は、染め上げた象牙を彫って文様を生み出す”撥鏤(ばちる)”という技法が使われ、植物や昆虫が表されています。

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

撥鏤”といえば、2019年の正倉院展でも公開された《紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)》を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
この宝物と同じ技法がこの碁盤の側面にも使われています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

その撥鏤の周りには額縁のような、まだら模様が見えます。
ここには様々な色の細かい木を、ミリ単位ではめこんだ木画によって表されています。

この細かい作業はたいへんそうですね~作った人はすごい!

正倉院宝物には三基の碁盤が伝わっていますが、その内の一基になります(北倉一基、中倉に二基)。

《朽木菱形木画箱》中倉148

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

読み方は「くちきひしがたもくがのはこ」です。

用途としては、仏様に捧げる品々を入れるための箱で、中にはお香が納められていました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

朽ちたような模様の柿の木の板を張り合わせて、表面が作られています。
縁の白い部分は象牙によって表され、黒い部分は高級木材である黒檀(こくたん)が使われています。

全体的に贅沢な材料を使って作られていますが、朽ちた木のような渋い模様が独特の美しさを醸し出しています

《烏犀把漆鞘樺纒黄金珠玉荘刀子》中倉131

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

読み方は「うさいのつかうるしのさやかばまきおうごんしゅぎょくかざりのとうす」です。

な、長い…

こちらは全長30センチの刀子(とうす)と呼ばれるものです。
刀子とは、紙や木簡を削る小刀の事をいいます。

しかしこの宝物は実用的な刀子としての一面の他に、腰から下げる装飾品としての役割もあったといいます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

鞘の部分は光沢のある漆塗りで施され、赤や青の玉飾りが交互に配されています。
青の部分は青色のガラス玉が用いられ、赤の部分は伏彩色(ふせざいしき)と呼ばれる技法で、先に下地に赤色を塗り、その上に水晶玉が置かれています。

鞘の端には金の装飾が施され、この宝物をより高貴なものにしています。

今回の記事はここまでになります。
この続きはパート2で(こちら☚からご覧いただけます)。

コメント

  1. […] 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧頂けます。 […]

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