2019年11月19日にBS日テレで放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#327 国立西洋美術館「ハプスブルク展」】の回をまとめました。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい。
前回のパート3はこちらからご覧頂けます☟☟
【ぶら美】ハプスブルク展《Ⅲ.スペイン絵画の巨匠ベラスケス》
《ホロフェルネスの首を持つユディト》ヴェロネーゼ
画像出展元:「ハプスブルク展」公式図録より
続いてはハプスブルク家がコレクションしたルネサンス期の、ヴェネツィアの大巨匠の作品です。
この作品はオーストリア大公のレオポルト・ヴィルヘルムが収集しました。
ヴィルヘルムは大変重要なコレクターで、10年の間に絵画作品をおよそ1400点収集しました。
それらが今のウィーン美術史美術館の絵画館のベースとなっているのです。
作者のヴェロネーゼはあまり日本では聞かない名かもしれませんが、2018年の「ルーヴル美術館展」に行かれた方なら、こちらの作品を目にしているのではないでしょうか?
《女性の肖像(通称「美しきナーニ」》1552年
ヴェロネーゼ
ルーヴル美術館蔵
*ハプスブルク展には出展されてません。国立新美術館で開催された「ルーヴル美術館展」のメインビジュアルにもなっていたこの作品を描いたのが、同じヴェロネーゼなのです。
イタリアのヴェローナの石切職人の息子であり、そこで活躍していたアントニオ・バディーレの工房で画家としての教育を受けました。
装飾感覚や見事な構想、色調の優雅さと豊かさによってヴェネツィアの貴族の間で人気となりました。
ユディトのストーリー
《ホロフェルネスの首を持つユディト》というタイトル通り、女性が手にしているのは生首そのものです。
このテーマの作品を、カラヴァッジョやクラーナハ(父)、そしてクリムトも描いています。
《ユディトⅠ》1901年
グスタフ・クリムト
ベルヴェデーレ宮殿オーストリア絵画館蔵
*ハプスブルク展には出展されてません。
このユディトの物語は、旧約聖書外伝のユディト記のものです。
アッシリア王のネブカドネツァルが自分の非協力的な民族を攻撃するため、ホロフェルネス(首を切られた人)を派遣します。
そこでユダヤ人女性の勇敢なユディトが、ホロフェルネスの所に乗り込んで、お酒を飲ませ誘惑し、眠りに落ちたホロフェルネスの首を取って自国に勝利をもたらした、というのがストーリーです。
あのカラヴァッジョもユディトの作品を残しています。
(かなりショッキングな作品なので、気になる方は検索してみてください)
その作品は血がまさに飛び散っており、リアルで凄惨さを感じます。
しかし今作のヴェロネーゼの作品はあまり血生臭くなく描かれています。
光はユディトだけに当てられて、切り落とされた首は影になり目立たなくなっています。
またユディトの表情も冷静で品のある表情をしており、このいわば殺人行為が私利私欲のものではなく、神の意志によるものだという印象を与える効果を演出しています。
もう一つの首を切られるストーリー:サロメについて
僕自身もよく混同してしまうのですが、もう一つ若い女性が男性の首を切る話があります。
ギュスターヴ・モローの《出現》で有名なあのサロメです。
*ハプスブルク展には出展されてません。
こちらの方も簡単に説明しますと、自分の親にそそのかされたサロメが、洗礼者ヨハネの首を所望するというストーリーです。
僕がよくごっちゃのなるので整理します(笑)
まとめ:ユディトの話
- 切った人:ユディト
- 切られた人;ホロフェルネス
- 理由:自国を守るため
- 出展:旧約聖書外伝のユディト記
まとめ:サロメの話
- 切った人(所望した):サロメ
- 切られた人:洗礼者ヨハネ
- 理由;親にそそのかされて
- 出展:新約聖書
よし!これでこれからは大丈夫だ!
といったところでパート4は一旦ここまでです。
パート5≪マリア・テレジアの肖像≫へと続きます。
【ぶら美】ハプスブルク展《Ⅴ.皇妃マリア・テレジアの肖像》
コメント
[…] それでは続いてパート4へと続きます。 ヴェロネーゼの描いた「ユディト」の作品についての記事です。 【ぶら美】ハプスブルク展《Ⅳ.ホロフェルネスの首を持つユディト》 […]
[…] 見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい。 前回のパート4はこちらからご覧頂けます☟☟ 【ぶら美】ハプスブルク展《Ⅳ.ホロフェルネスの首を持つユディト》 […]