【日曜美術館】ベリー侯のいとも豪華なる時祷書③【美術番組まとめ】

日曜美術館

2020年5月3日にNHKで放送された「日曜美術館」の【世界で一番美しい本 ベリー侯のいとも豪華なる時祷(とう)書】の回をまとめました。
こちらの記事はパート3です。
前回のパート2はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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11月/ベリー公のいとも豪華なる時祷書


《ベリー公のいとも豪華なる時祷書》
11月

11月の挿絵ではドングリに群がる太った豚たちが描かれています。
手前の男性は棒を投げて、ドングリを落とそうとしています。
その服装は秋の日差しを受けて、黄金色に輝いています。

その横にはじっと豚を見守る番犬の姿が。

豚肉はこの時代、冬を乗り切るための大切な保存食でした。
11月の冬も間近なこの時期。
男性は少しでもドングリを落として、豚たちを肥えさせようとしているのです。

12月/ベリー公のいとも豪華なる時祷書


《ベリー公のいとも豪華なる時祈書》
12月

農作業が行われない12月。
この月のページには、郊外の森で貴族たちがイノシシ狩りをしています。
冬の野生動物はフランス人にとって、最高のご馳走でした。

奥の赤い服の男性は興奮した犬を引き離そうとしています。
右側で男性が吹いている角笛は、獲物を仕留めた事を仲間に知らせるための合図です。


左側の男性はかなり疲れた表情をしており、この日の狩りの激しさを伝えます。
獣との命がけの狩りはこの時代の貴族の男の鍛錬でもあったのです。

1月/ベリー公のいとも豪華なる時祷書


《ベリー公のいとも豪華なる時祈書》
1月

年が明け、新しい年が始まりました。
宮殿での新年にお祝いの宴が開かれています。


暖炉の火の前に座っている男性こそが、この《ベリー公のいとも豪華なる時祷書》を作らせた注文主。
フランス国王の弟である、ジャン1世(ベリー侯)(1340-1416)です。
他の月に比べても、この『1月』の挿絵は一際鮮やかな色彩が目を引きます。

ベリー侯の背後に見える円形のものは暖炉の火よけです。
火よけとベリー侯をこの位置関係で描いたのは、聖人のように表現し、パトロンを称えるためだったのでしょう。

左上の金色の文字は、ベリー侯の言葉です(漫画の吹き出しのようになっています)。
ここでは「近う 近う」と気さくな言葉をかけています。

Part of a page from Les Très Riches Heures with self-portraits of the brothers.

画像出展元:ホームページ「Art and the Bible」より

ここには挿絵を描いた画家の姿もあります。
注文主であるベリー侯に腕を買われ、召し抱えられたランブール兄弟です。

ベリー侯は美術品の収集やパトロンになるなど、この時代の最も有力な芸術の支援者でした。
貴金属や工芸品、写本などに多くのお金をかけ、「時祷書」も複数持っていました。
この《ベリー公のいとも豪華なる時祷書》は、その中でも最高の出来栄えでした。


この時代、犬は食卓に同席できる気高い動物でした。
ですので食卓の上には子犬の姿や、お裾分けにありついた犬の姿が見られます。

2月/ベリー公のいとも豪華なる時祷書


《ベリー公のいとも豪華なる時祈書》
2月

翌月の2月は豪華な宮殿での場面から一転、静かな農村が舞台です。
あたり一面に雪景色が広がっています。
西洋絵画において雪景色が描かれるのは、この時代珍しいことでした。

家の中の人たちは暖炉に身を寄せて暖まっています。
隣では羊が小屋の中で身を寄せ合い、鳥たちが餌をついばんでいます。

画面後方では斧をかざした男性が薪作りに精を出しています。
ロバを率いた男性は、遠方の村に向かっている所です。

3月/ベリー公のいとも豪華なる時祷書


《ベリー公のいとも豪華なる時祈書》
3月

3月になりフランスでも少しずつ寒さがぬるんできます。
冬の間農作業ができなかった農民たちも忙しくなっていきます。

男性が牛に鋤(すき)を引かせて、土を起こしています。
深く掘り起こす事で、空気をよく含んで豊かな実りをもたらしてくれるのです。


ここではブドウの木の手入れが行われています。
木の周りの土の入れ替えと、枝の剪定がされています。
これらは3月の大事な仕事です。


城の左側に目をやると雲行きの怪しい空が見えます。
これはこの時期の天候が変わりやすく、間もなく雨が土を潤すことを意味しています。

右側の塔の上には黄金の龍の姿が。
これはメリジェーヌという名の妃が、龍にその姿を変えて城を守るという伝説を表しています。

いかがでしたでしょうか、《ベリー公のいとも豪華なる時祈書》。
そこには現代のフランスと大きく変わりのない人々の暮らしが描かれていました。
世界で一番美しい本」には今と変わらない人々の日常の美しい暮らしが描かれていました。

最後までご覧頂きありがとうございました。

「日曜美術館」のこの回以外の記事もアップしています!
こちら☚から一覧をご覧いただけますので、是非ご覧ください(*^-^*)

コメント

  1. […] パート2はここまでです。 次のパート3でラストです。 パート3では11月から3月、そしてこの本を作らせたベリー侯についてまとめていきます。 こちら☚からご覧いただけます。 […]

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