【日曜美術館】オディロン・ルドンのまなざし①【美術番組まとめ】

日曜美術館

2018年4月8日にNHKで放送された「日曜美術館」の【見えないものを見る〜オディロン・ルドンのまなざし】の回をまとめました。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション


時は19世紀の終わり。
パリでは新しい芸術運動である「印象派」が花開こうとしていました。
印象派の画家は、これまでにない鮮やかな色彩の絵画で人々を驚かせました。


しかし同時代のパリで、色彩とはかけ離れたモノクロで奇妙な絵を描いた画家がいました。
彼が今日取り上げる画家、オディロン・ルドン(Odilon Redon、1840-1916)です。
その独特な作風から「怪奇的な画家」というイメージを持たれていました。

しかしルドンが描こうとしていたのは、「自然の神秘や生命力」、そしてその向こうの「見えないもの」でした。


そんなルドンですが、画業の後半ではモノクロから一転し鮮やかな色彩の作品に変わっていきます。
何がルドンにこのような変化をもたらしたのでしょうか?

今回は2018年に三菱一号館美術館で開催された「ルドンー秘密の花園」展の作品をベースにルドンの生涯とその作品についてまとめていきます。

ルドンの生い立ち

ルドンは1840年、フランス南西部、ワインで有名なボルドーに生まれます。
本名をベルトラン=ジャン
同じ1840年生まれには、印象派の画家のモネと彫刻家のロダンがいます。

ルドンは生後2日目にして虚弱体質のため、ペイルルバードの親戚の老人の家に預けられます。
このペイルルバードの風景を、画家になった後もルドンは何度も描いています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

内気で病弱なルドンは学校へは行かず、一人空想の世界へ興じるようになります。
少年の孤独な心の拠り所になったのが、ペイルルバードの自然でした。

11歳になるとペイルルバードからボルドーに戻り、そこで学校教育を受け初めます。
また17歳に頃には両親の勧めにより、「建築」を勉強するようになります。


《ペイルルバードの小道》制作年不詳
オディロン・ルドン
オルセー美術館蔵
この作品は画家になってからの後半生に描かれたペイルルバードの風景です。

ルドンは幼年期を過ごしたふるさとの風景を繰り返し描いています。
ペイルルバードの土地がルドン自然観を形成しました。
ルドンは故郷を描いた作品を手放さずに、ずっと手元に置いていました。

彼は画家になってからも毎年ペイルルバードを訪れては創作をするほど、思い入れがあったのです。

パリでの挫折、故郷での師との出会い

ルドンは1862年、22歳の時にパリに出ます。

ちなみに19歳の時には、パリで開かれたとある夜会でドラクロワを見かけて跡をつけるも話しかける事が出来なかった、というエピソードがあります。

パリでは国立美術学校の建築科を受験しますが、それに失敗
失意のルドンはボルドーに戻ることになります。

そのボルドーで後に師と仰ぐ人物と出会います。
それが版画家のロドルフ・ブレスダン(1822-1885)でした。


《善きサマリア人》1861年
ロドルフ・ブレスダン
ボルドー美術館蔵

こちらはそのブレスダンの代表作です。
聖書の一場面が細密に描かれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

この《善きサマリア人》では、黒々とした画面の中に自然の風景が表現されています。
その闇の中をよく見ると、動物や不思議なものの姿が見えてきます。

ブレスダンはこの作品で目には見えない自然の底知れぬ神秘を描きだしたのです。
そしてこれがルドンに大きな影響を与えました。
ふつうの想像力の奥に、もうひとつの想像力がある」、これがブレスダンの教えでした。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

見えないものを見る事」に関心を持ったルドンですが、彼はそれを科学的に教えてくれる人物とも既に出会っていました。
ボルドーに住んでいた、植物学者のアルマン・クラヴォーでした。

クラヴォーは当時最先端であった顕微鏡を所有していました。
ルドンクラヴォーの元を訪ねては、肉眼では見えない世界に心躍らせました。

ルドン、再びパリへ

ルドンは1872年、32歳の時に画家としての成功を夢見て再びパリへ出ます
けれどもそこから7年間は、自分の作品を発表する機会はほとんどありませんでした。


ルドンがパリへ出た2年後、1874年は「第一回印象派展」が開かれます。
印象派の画家たちは、当時のパリに新風を巻き起こしていました。
彼らは対象を包む光の変化を、視覚的に捉えようと試みました。

ルドンと同じ年齢のモネをはじめとする印象派の画家は、屋外の陽の光の下で色鮮やかな作品を描きました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

そんな時代の中でルドンが描いた芸術は独特なものでした。
こちらは39歳の時に発表した事実上のデビュー作である、石版画集「夢のなかで」の表紙です。

色彩が一切使われていない画面は、色鮮やかな印象派とは対極をなすものでした。

今回のパート1はここまでです。
つづくパート2ではルドンのモノクロの作品世界、そうしてそこからどのようにして鮮やかな色彩の作品になったのかを見ていきます。
こちら☚からご覧いただけます。

コメント

  1. […] 2018年4月8日にNHKで放送された「日曜美術館」の【見えないものを見る〜オディロン・ルドンのまなざし】の回をまとめました。 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。 […]

  2. […] 当ブログでは、過去日曜美術館で放送されてたルドンの特集の回もまとめておりますので、よろしければこちらもご覧ください。 【日曜美術館】オディロン・ルドンのまなざし①【美術番組まとめ】 […]

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