2022年8月23日にテレビ東京で放送された「開運!なんでも鑑定団」の【奇想の絵師 伊藤若冲】についてまとめました。
番組内容に沿って、それでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
*画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より
奇想の絵師 伊藤若冲
今も記憶に新しい東京2020パラリンピック開会式。
そこに登場したド派手なデコトラ。
その荷台に飾られた巨大な絵。
原画となったのは《樹花鳥獣図屏風(じゅかちょうじゅうずびょうぶ)》。
無数のマス目で区切られ、まるでデジタルアートのように動植物たちが色鮮やかに描かれている。
作者は伊藤若冲(1716~1800)。
独創的な作品を次々と生み出した”奇想の絵師”である。
1716年、京の青物問屋の長男として生まれる。
幼いころから学問が苦手で、商いに全く興味はなかった。
そんな若冲の唯一の楽しみが「絵を描くこと」であった。
30歳を過ぎた頃、狩野派の門を叩き基礎を学び、
その後、中国の古画およそ1,000点あまりを模写。
更に西洋の写実を取り入れた「南蘋派」の画法も独学で修得した。
40歳の時、弟に家督を譲ると画業に専念するように。
そして3年後に取り組んだのが、30幅の連作《動植綵絵》であった。
若冲が相国寺の釈迦三尊像の周囲に飾る荘厳画として寄進したもので、
「生きとし生けるものすべてに仏性があり、必ず成仏できる」という教え(=草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ))を具現化したものである。
完成までに10年の歳月をかけただけあって、
すべてが顔料の効果を綿密に計算しつつ描かれており、まさに色彩の協奏曲ともいうべき畢生の大作であった。
例えば白鳳の羽は絵絹(えぎぬ)の面に白い胡粉(ごふん)。
裏に黄土(おうど)を塗る事で2色が複雑に混ざり合って光沢が生まれ、神々しい金色に輝いている。
また発想も実に大胆なものだった。
この作品では水中を泳いでいる魚がいつの間にか空を飛んでいるかのごとく見え、近代のシュルレアリスムに通じる幻想性を持ち合わせている。
また若冲は水墨画にも類まれな才能を発揮した。
緻密な彩色画とは異なり実に軽妙洒脱。
顎が外れんばかりに口を開けた龍や、
米俵に乗り、驚いて正面を向く鶏など、
ユーモラスな表情をスピーディーな筆致で奔放に描いている。
奇抜さで群を抜くのがこちらの屏風。
右隻に鼻を高々ともたげる白い象。
左隻には勢いよく潮を吹き上げる黒い鯨。
白と黒の対比の中、陸と海の王者がエールを交わしているかのごとく見事に呼応している。
また水墨画で多用したのが「筋目描き」であった。
吸水性の高い画仙紙(がせんし)に墨を落とすと、
隣り合う墨同士は混じり合わず、境目に白い筋ができる。
この現象は古くから知られていたが、これを応用し絵を描いたのは若冲が初めてである。
この作品では立体感のある菊が見事。
若冲は斬新な表現を追求し続け、《石灯籠図屏風(いしどうろうずびょうぶ)》で用いたのはなんと点描であった。
19世紀フランスで活躍した新印象派のジョルジュ・スーラの点描をおよそ100年前に鮮やかにものにしていた。
古今東西の美術史を見渡しても若冲ほど奇抜で奇想に富んだ絵師はいないであろう。
改めて依頼品を見てみよう。
伊藤若冲の水墨画である。
画面いっぱいに描かれた2羽の鶴。
首をすくめ体は卵型で、極端にデフォルメされている。
若冲は鶴を画題にした作を数多く手がけており、これもその一つか?
果たして鑑定いかに?
本物!300万円
300万!!すごい!
「伊藤若冲の《双鶴図(そうかくず)》、本物でございます」
「この構図のものっていうのは、お正月用とか、要望があって何点も描いているんだろうと思います」
「印の欠け方から50代を過ぎた頃の作品」
「卵型の胴体っていうのがとてもユーモラスで、印象的でほっとするような柔らかさを感じさせる。丸い体もちょっと禅の円相を思わせるような面白い作品」
「手放すとなかなか手に入らないいいものだと思います」
今回の記事はここまでになります。