2023年12月3日にNHKにて放送された「日曜美術館」の【まなざしのヒント 深掘り!浮世絵の見方】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
ゲスト:金村美玖さん(日向坂46)、梶裕貴さん
『今様見立士農工商 商人』
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
まずはこちらの作品から見ていきます。
タイトルは『今様見立士農工商 商人(いまようみたてしのうこうしょう しょうにん)』です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
浮世絵を販売する店先の様子です。
お目当ての浮世絵を求める人たちで大繫盛しています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
振袖を着たかわいらしい女の子はお気に入りの役者絵を手に取り、嬉しそうな表情をしています。
人物描写がとても魅力的なこちらの作品ですが、よく見ると随所に色々と文字が書かれているのが分かります。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
まずこちらに作品のタイトルが書かれています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
続いてこちらは絵師(歌川国貞(三代豊国))の名前です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらは版元、今でいう出版社の名前です。
「魚屋栄吉(さかなやえいきち)」を略称して「魚栄(うおえい)」と書かれています。
版元の仕事は、どのような作品を作るかという企画の立案、その予算の準備、制作にあたる絵師・彫師・摺師への注文など多岐に渡ります。
現代でいうところの”プロデューサー”的な役割だったのです。
美術や芸術というと「絵師が自分の製作したいものを自由につくっている」というイメージを抱きがちですが、浮世絵版画の場合は基本的に版元が絵師に発注して作品が作られるのです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
版元はこうして出来上がった浮世絵を販売していました。
売れる作品をつくるために、流行を敏感に読むことが求められたのです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
この作品の版元「魚栄」はある大ヒットシリーズを販売していました。
それが『名所江戸百景』です。作品の中にもその文字が確認できます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
『名所江戸百景 玉川堤の花』も画中に登場しています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
この作品は版元「魚栄」がそれまでに販売した様々な作品を並べている、いわば”お店の宣伝の絵”なのです。
今でいう流行の最先端のショップのようなお店といえるでしょう。
SNSに載せるための、お店の”映え写真”に近いかもしれません。
『隅田川 花の賑わい』
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
続いての作品は明治から江戸に変わって間もない東京の観光スポットを描いたものです。
こちらの浮世絵を見ながら、当時の風俗や流行について考えてみましょう。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
桜がたくさん咲いています。
そこに人が集まっているということは、お花見の光景でしょうか?
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
画面左側には豪華絢爛な着物を来た花魁の女性たちの姿が。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
その向かいの船には芸者たちが。
こちらも花魁の人たちに負けじと着飾っています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
上半身裸と思しき男性の姿も。
表情や和服を来た男性に抑えられている様子を見ると、酔っぱらっているのでしょうか?
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
出店が並んでいる様子は現代とさほど変わらない印象です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
明治の頃ですので洋服をきた男性も確認できます。
『十二月ノ内 水無月 土用干』
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
続いてはこちらの作品です。
目を引く鮮やかな青色はベロ藍が使われています。
描かれているのは土用干しという着物の虫干しです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
カットされたスイカが置かれています。
水無月(=六月)というタイトルからも分かる通り、夏の様子を描いているのが分かります。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
朝顔も描かれ、夏を感じさせるモチーフが随所に描かれています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
一番左の女性は中央に座っている女性に着物を見せているようです。
さいごに 浮世とは?
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
浮世絵はその名の通り、”浮世”を描いた絵です。
「浮世」の意味は、”現在の様子”や”今の時代”という意味です。
しかし当時の姿を単にそのまま映したわけではありません。
ここには”楽しい世の中”や”心が弾むような”といったニュアンスも込められています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
きっと浮世絵を製作した絵師・彫師・摺師、そして版元の人たちも「見る人を楽しませたい」という気持ちで作っていたことでしょう。
つまり”浮世を描いた絵”というのは、鑑賞者の心も弾む・楽しくなるような世界を描いているのです。
今回の記事はここまでになります。
最後までお読みいただきありがとうございました。