【ぶらぶら美術・博物館】ロマンティックロシア展②【美術番組まとめ】

ぶらぶら美術・博物館

2019年1月8日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#294 感じる!読み解く!ロシア美術「ロマンティック・ロシア」展~ロシアの“モナ・リザ”《忘れえぬ女》謎多き名画が来日!~】の回をまとめました。
今回の記事はパート2になります。
前回のパート1はこちら☚からご覧頂けます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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《正午、モスクワ郊外》イワン・シーシキン


《正午、モスクワ郊外》1869年
イワン・シーシキン
トレチャコフ美術館蔵

続いてはロシアの夏を描いた作品を見てみましょう。

どうですか、この開放的な風景!
果てしなく広がる空と大地に、写実的で綺麗な雲が素敵です。

松山千春さんの歌みたいですね!(笑)

ロシアのように平坦で広い土地ですと、空が大きく感じられるといいます。
まさに”雄大な大地”といった感じでしょうか。

イワン・シーシキンはロシア美術史において、たいへん重要な人物です。

《松林の朝》シーシキン

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらも同じくイワン・シーシキンの作品です。
シーシキンは「ロシアの森」を創作の重要なテーマとしました。

こちらの《松林の朝》という作品、「ロマンティック・ロシア」展で展示されていたものは縦28センチ横40センチの小さいサイズでしたが、オリジナル版は139cm×213cmの非常に大きいもので、トレチャコフ美術館に収蔵されています。

この作品はその大きいサイズのオリジナル版の習作になります。


《松林の朝》1889年
イワン・シーシキン
トレチャコフ美術館蔵

こちらのオリジナル版はトレチャコフ美術館から一度も貸し出されたことのない、門外不出の作品です。
この《松林の朝》という作品はシーシキン作品の中でも一番有名で人気の高い作品です。

この作品に描かれているように、ロシアの人はクマが好きだといいます。

でも、もし森の中でこの場面に遭遇したら「終わったな…」て思いますけど(笑)

一見危険な感じもしますが、あくまで森の奥の”一種のメルヘン”として描いているのです。
「人のいない森の中で、クマの一家がのどかに暮らしている」、そういう絵なのです。

《雨の樫林》シーシキン


《雨の樫林》1891年
イワン・シーシキン
トレチャコフ美術館蔵

こちらもイワン・シーシキンの作品です。
この《雨の樫林》は124cm×203cmの大画面に描かれています。

ロシアの絵画は大画面のものが多いといいます。
その理由の一つには、国土が広く家も大きいというのが挙げられます。

この作品では、地面がぬかるみ、大気が湿気を含んだ感じがたいへんよく表現されています。
ロシアでは長雨の陰鬱な日が続くことが多いといいます。
シーシキンは太陽の輝く晴れの日だけでなく、天気の悪い日さえもロシアの風景の美を見出しました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

二人の男女の前にいる銃を構えた男性は後から描き足されたものだといいます。
学芸員の方の解説によると、「この道は男女がロマンティックな思いをしたくて歩いていた道ではなく、誰もが通る道だというのを表現したかった」との事です。

ロシアは日本と同様に「木の文化」です。
木は家の材料や燃料になる大切なもので、その木がある森を描いた作品が多いのです。

《静寂》ニコライ・ドゥボフスコイ


《静寂》1890年
ニコライ・ドゥボフスコイ
トレチャコフ美術館蔵

どうでしょう、こちらの作品。
なんとも言えない迫力、威圧感を感じる作品です。

”ロマンティック”というよりも一見すると「怖い絵」のような感じもあります。

作者のドュボフスコイはこの作品について「激しい雷雨の前の静かな瞬間に自然を観察する事で味わう事のできる感動」を伝えたかったといいます。

今まさに強い雨が降るぞ!」という直前のように感じます。
このドキドキ・ぞわぞわ来る感じも一種のロマンティックなのでしょうか。

この作品は1890年の「第18回移動派展」に出品され、皇帝アレクサンドロル3世によって購入されました。
描かれた当時から見た人の強い印象を与える作品だったのです。

《嵐の海》イワン・アイヴァゾフスキー


《嵐の海》1868年
イワン・アイヴァゾフスキー
トレチャコフ美術館蔵

ここまでのロシアの森の作品を見てまいりましたが、そんなロシアで海を描くのが上手かったのがイワン・アイヴァゾフスキーです。

アイヴァゾフスキーは海の水の透明さの表現がずば抜けて見事です。
実際アイヴァゾフスキーに匹敵する海景画家はロシアはおろか、ヨーロッパにもいなかったと言われています。

確かにすごい透明感ですね!

帆船のマストに掲げられた赤い旗は、この絵の中の重要なアクセントになっており、それはまるで船乗りたちが直面する”危険”を予見しているようでもあります。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

日本人にとって海は誰もが見た事あるものですが、ロシアはではそうではありません。
内陸が広いので海を見る事なく一生を終えるという人も多かったといいます。

そんなロシアで海の絵があると、見た事のない人にとっては「これが海か」と思いをはせるものだったのです。
そのような背景もあり、海の絵はロシアでの需要は高かったといいます。

ロシアの人にとっては憧れの”海”という存在はロマンティックなものだったことでしょう。

《海岸、別れ》イワン・アイヴァゾフスキー


《海岸、別れ》1868年
イワン・アイヴァゾフスキー
トレチャコフ美術館蔵

こちらも同じくアイヴァゾフスキーの作品です。
先の《嵐の海》と比べると、かなり穏やかな海の情景が描かれています。
ここで描かれているのは、海に出ていく漁師たちとその家族の”別れ”の光景です。

アイヴァゾフスキー海景画では、「別れ・出会い・再び訪れる別れ」といったテーマが画題としてしばしば描かれました。

「ロシアの人は海をあまり見る事ができなかった」と書きましたが、このアイヴァゾフスキーは黒海の近くに住んでおり、海を頻繁に見る事ができました。

それだけでなく、彼は22歳の頃にイタリアに美術の勉強のために留学し、そこでも海辺を頻繁に訪れていました。
この作品はロシア帰国後に、思い出しながら描いたイタリアの風景だといわれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

描かれている島はどことなく江ノ島を彷彿とさせますね(笑)

今回の記事はここまでになります。
続くパート3ではロシアの「秋」と「冬」の作品を見てまいります。
こちら☚からご覧頂けます。

コメント

  1. […] 今回は以上になります。 続くパート2ではロシアの「夏」を描いた作品をご紹介していきます。 こちら☚からご覧頂けます […]

  2. […] 2019年1月8日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#294 感じる!読み解く!ロシア美術「ロマンティック・ロシア」展~ロシアの“モナ・リザ”《忘れえぬ女》謎多き名画が来日!~】の回をまとめました。 今回の記事はパート3になります。 前回のパート2はこちら☚からご覧頂けます。 […]

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