【ぶら美】ホガースが描いた《ジン横丁》と《ビール街》【怖い絵展④】

ぶらぶら美術・博物館

2017年11月24日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#253 英国の至宝が初来日!「怖い絵」展~名画に潜む“恐怖”を、ベストセラー著者・中野京子さん解説で!~】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
前回のパート3はこちら☚からご覧頂けます。

今回のパート4ではイギリスを舞台に描かれた「荒廃した街」の怖い作品をご紹介します。
先ずはその作品を描いた画家から見ていきます。

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画家:ウィリアム・ホガース

イギリスはフランスやイタリアに比べて、絵画後進国と言われます。
他国に後れを取っていたこの国で、歴代の王は海外から腕の立つ画家を呼び寄せて、彼等を宮廷画家にしました。
ドイツから来たハンス・ホルバイン、フランドル出身のアンソニー・ヴァン・ダイクなどが有名です。

そんなイギリス出身で初の世界的画家と言われるのがロココ時代に活躍したホガースです。

自画像(1745年)

ワンちゃんが可愛いですね。

ウィリアム・ホガース(William Hogarth、1697-1764)はロココ時代に活躍した画家です。
彼は市民の生活を芝居の舞台のように分かりやすく描き、人気を得ました。
彼の「怖い作品」を見る前に代表的な作品を見てみましょう。


《エビ売りの少女》1740年頃
ウィリアム・ホガース
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
(*怖い絵展の出展作品ではありません)

《当世風の結婚 化粧の間》
ウィリアム・ホガース
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
(*怖い絵展の出展作品ではありません)

《ジン横丁》と《ビール街》

ではここからウィリアム・ホガースが描いた怖い作品を見てみましょう。
風刺画の父」とも呼ばれた彼は、こんな作品を残しています。


《ジン横丁》1750-51年
ウィリアム・ホガース
郡山市立美術館蔵

《ビール街》1750-51年
ウィリアム・ホガース
郡山市立美術館蔵

お酒のジンとビールを対比させて描いた作品です。

ビールを飲めば皆がハッピーで、ジンを飲んだら地獄だという風刺画です。
ジンは安価でアルコール濃度が高いお酒でした。
さらにアルコール度数を上げるために粗悪な品も出回りました。
そしてビールは当時課税が高く、貧しい人は買う事ができませんでした。

ジン横丁》で描かれているのは、イギリスのイーストエンド、いわゆる貧民街になります。
中央の女性は酔っ払い、我が子を誤って手すりから落としてしまいそうになっています。
手抜き工事の建築が横行し、画面の奥では倒れかけている建物も見えます。

この三つの球体の紋章は「質屋」を表しています。
貧民街の中でここだけ立派な建物で描かれており、繁盛しているのが分かります。
その前で質屋が品定めをしています。貧しい人は皆ジンを買うために質屋に身の回りの品を出していたのです。

この《ジン横丁》で描かれているのは、どれも本当にあった出来事です。
ホガースはそれを一枚の画面に、いっぺんに起こっているように描いています。

それでは《ビール街》の方を見てみましょう。

《ジン横丁》のように乱れた雰囲気はなく、建物の倒壊していません。
同じ質屋のマークもありますが、こちらでは儲からず傾いていしまっています

一生懸命働いてビールを飲めば、幸せになれるよ」というメッセージが込められています。

その一方、貧しい人はジンを飲むことしかできず、またアルコール度数が高いのですぐに酔えることからも、
日々の生活の憂さ晴らしというだけでなく、酒酔いに逃避する習慣が行きつく先を示してるともいえるでしょう。

ちなみに画家は《ジン横丁》には登場せず、《ビール街》の方に描かれています。
けれども身なりはボロボロで、なぜかジンの蒸留の仕方の絵を描いています。
皮肉屋」といわれたホガースらしい表現です。

いかかがでしたでしょうか。
続くパート5では《ジン横丁》で描かれた貧民街、イーストエンド。
そこで起きた連続殺人「切り裂きジャック」にまつわる作品をご紹介します。
*現在記事作成中です。

コメント

  1. […] 番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。 前回のパート4はこちら☚からご覧頂けます。 […]

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