美術家 塩田千春さん
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
塩田千春さんはドイツ・ベルリンを拠点に活動する現代美術家です。
2019年には東京・六本木の森美術館で個展「塩田千春:魂がふるえる」が開催され、66万人の入場者数を記録しました。
「記憶」や「夢」、「生と死」といった根源的な問いから生まれる塩田さんの作品は、世界中から注目されています。
《我が子を食らうサトゥルヌス》ゴヤ
《我が子を食らうサトゥルヌス》1819-23年
フランシスコ・デ・ゴヤ
プラド美術館蔵
塩田さんが挙げた作品が18世紀から19世紀にかけてスペインで活躍したフランシスコ・デ・ゴヤの《我が子を食らうサトゥルヌス》という作品です。
一目見ただけで、強烈なインパクトが残る作品です。
ゴヤ(1746-1828)はスペイン美術史の中でも最も偉大な画家の一人です。
写実的な画風で評価を確立し、40歳になる頃には宮廷画家となりました。
とても宮廷画家を務めた人が描いたとは思えないこの作品。
晩年、77歳の時の作品です。
ゴヤには6人の子どもがいましたが、無事に成長したのは一人だけで、あとの5人は幼くして亡くなっています。
ある夜、その我が子に殺される夢をゴヤは見るのです。
こうして描かれたのが《我が子を食らうサトゥルヌス》です。
サトゥルヌスの表情は狂気に満ちています。
ゴヤは自宅の壁(しかも食堂!!)にこの作品を描き、存命中は一切発表しませんでした。
塩田さんこの作品を通して、「人はどういった時に不安や恐怖や恐れを持つのか」と考えたと言います。
塩田さんの体験談
塩田さんは「負の気持ちが作品になる」と言います。
森美術館での個展が決まったその翌日に、塩田さんの癌が再発していた事が分かりました。
手術をして、抗がん剤治療を受けながら、死への恐怖、そしてどうしていいか分からない不安があったと言います。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
その時お医者さんから抗がん剤治療のプラスチックバッグを貰い集めて、それで作品を制作しました。
プラスチックバッグの中にクリスマスのイルミネーションのライトを入れて、光らせたのです。
塩田さんはこの作品を通して、”生きている自分”を感じたかったと回想します。
人間は楽しい事だけでは、納得できない、解決できない心があると言います。
それが芸術を通して、共感を生む事で社会が成り立つことがあり、ゴヤのこの作品もそういう心情から生まれたものなのかもしれません。
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