ゴッホが『ひまわり』をセルフコピーした理由
ゴッホが何枚も『ひまわり』を描いた理由。
それは、4枚目のロンドン版をゴーギャンが気に入り欲しがった為でした。
《自画像》1888年
ゴーギャン
ゴッホ美術館蔵
(*「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の出展作品ではありません)
ゴッホはゴーギャンを”黄色い家”に迎え入れる際に、彼の部屋を飾るために《ひまわり》を含む何枚かの絵を描きました。
ゴーギャンはその絵の中で《ひまわり》をたいへん気に入り、「これこそ花だ」と称賛の言葉を残したと言われています。
しかし個性の強い芸術家同士の共同生活は次第に険悪の雰囲気となり、約60日で破局を迎えます。
ゴーギャンがアルルを去った(1888年12月)後も二人の手紙のやり取りは続いており、ゴッホはゴーギャンに渡すための『ひまわり』を描きます。
しかし結局ゴーギャンの元に『ひまわり』は渡りませんでした。
その理由は明らかになっていませんが、行き場の無くした『ひまわり』について弟のテオに「君と君の家族のために(『ひまわり』を)取っておくように」と伝えています。
背景の色を変えた理由
1枚目から3枚目までの『ひまわり』は背景が青色ですが、どうして4枚目から黄色一色にしたのでしょう?
山田五郎さん曰く、「ゴッホの中に何か降りてきた」のだそうです。
南仏アルルに行ってからのゴッホは、常にハイのようなおかしなテンションだったといいます。
黄色のモチーフを描くときに、背景もそれと同じ色にするというのは絵画の世界では基本的にやらない事です。
また花を描くときというのは大抵の場合、色々な花を一つの画面に描きます。
そうする事で色のバリエーションが出て、画面に彩り豊かになります。
ひまわり”だけ”を描くのも、背景を同じ色で描く点からもゴッホの実験的な側面が出ているのです。
セルフコピー作品の特徴
5枚目以降のコピー版の『ひまわり』では、ただ単にコピーをするのではなく、そこで少しずつ違う事に挑戦しました。
それは筆触や筆致の実験です。
描くモチーフは既に決定した中で、そこからより深く「何を表現しようか」という方にゴッホの関心が向いていったのです。
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は以上になります。
最後までご覧頂きありがとうございました。
コメント
[…] ゴッホの《ひまわり》については別の記事で詳しく解説しています。 よろしければこちらもあわせてご覧ください。 こちら☚から。 […]
[…] 別記事にてゴッホの《ひまわり》について詳しくまとめています。 よろしければこちらもチェックしてみて下さい。 リンク:【ロンドン展⑮】ゴッホ《ひまわり》【ぶらぶら美術・博物館】 […]