2021年6月14日にwowowで放送された「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~ シーズン2」の【#1 アンリ・ルソー/東京国立近代美術館】の回をまとめました。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
イントロダクション
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART シーズン2」より
今回紹介する作品は、東京・竹橋の東京国立近代美術館に収蔵されています。
1952年に開館した、日本で最初の国立美術館です。
開館当初は東京の京橋にありましたが、1969年に現在の場所に移転しています。
萬鉄五郎や古賀春江といった日本人画家から、セザンヌ、パウル・クレーなど洋画家まで、明治時代から現代までの作品1万3千点以上を所蔵し、その規模は国内最大級です。
《第22回アンデパンダン展に参加するよう 芸術家達を導く自由の女神》
《第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神》1905-06年
アンリ・ルソー
東京国立近代美術館蔵
一目見て、色々とツッコミどころがありそうなこちらの作品。
まず何と言っても、タイトルが長いです。
「アンデパンダン展」とは、19世紀末に始まった、誰でも参加できる(無審査)の展覧会のことです。
描かれているのは自由の女神に導かれて、芸術家たちが展覧会に出展する様子です。
「みんなでアンデパンダン展に参加しようよ!」いう、いわばプロモーション的な意味合いを持った作品なのです。
しかし、ルソーは主催者側からそういったオファーを受けたわけではありません。
画家が頼まれてもいないのに勝手に描いた”宣伝用ポスター”なのです。
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART シーズン2」より
《第22回アンデパンダン展~》はルソー作品の中でも、「名作中の名作」と語る原田マハさん。
しかし画家の第一印象は、「下手じゃん」だったと言います。
画面は平面的で、遠近法も無視されています。
人物の影や顔の表情といった、しっかり描かなければならない部分も、技術が追い付いていないようです。
一見稚拙にも見えるルソーの作品ですが、不思議と、見れば見るほど引き込まれていくのです。
そしてそれこそが、ルソーの魅力なのです。
画家の人生を知る
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART シーズン2」より
アンリ・ルソーは1844年、フランス西北部の小都市ラヴァルに生まれます。
父はブリキ職人でした。
元々画家を志していたわけではなく、絵画に目覚めたのは40歳になってから。
ですので、正規の美術教育を受けた事はありません。
絵を描き始めた頃、ルソーは税関の門番の仕事しており、「税関吏ルソー」と呼ばれていました。
1893年に49歳で税関吏を退職するまで、日々の仕事の傍ら、いわば日曜画家として絵を描きました。
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART シーズン2」より
当時の画家の王道出世コースといえば、
①官立美術学校(エコール・デ・ボザール)に入学し、権威ある教授の弟子になる
②サロンに出品、入選する
ことがマストでした。
そしてサロンの出展には、かなり厳しい審査がありました。
「自分の作品は絶対にサロンに入選するはずだ」とかなりの自信と気合い、ポジティブ精神で臨んだルソー。
《聖母と天使》1900年
ウィリアム・アドルフ・ブグロー
パリ市立プティ・パレ美術館蔵
こちらは当時、サロンを代表する画家だったウィリアム・アドルフ・ブグローの作品です。
このように遠近法や、均整のとれた写実的な絵画こそ評価に値するものとされていました。
しかし、ルソーの作品はというと…
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART シーズン2」より
うーん、これじゃあちょっとサロンは厳しいかな…
しかし当のルソー本人は、サロンの絵には似ても似つかない絵を描いて、満足していたと言います。
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART シーズン2」より
次第に、厳しすぎるサロンの審査や、旧態依然としたアカデミーの体制に反旗を翻した若い画家たちが独自の展覧会を開催するようになります。
こうして開かれたのが、無審査の展覧会「アンデパンダン展(独立展)」だったのです。
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART シーズン2」より
アンデパンダン展への参加を決意したルソーは、ほぼ毎年のように作品を出品します。
《私自身、肖像=風景》1890年
アンリ・ルソー
プラハ国立美術館蔵
こちらは第6回アンデパンダン展に出品された作品で、ルソーの代表作の一つです。
手前の画家の大きさに比べて、川岸を歩く人の大きさがどうにも合っておらず、遠近法が破綻しています。
このようにどこかツッコミどころの絶えないルソーの作品は、アンデパンダン展に展示されると、多くの観客が詰め寄ったといいます。
無論、それは決して良い意味ではありません。
観客はルソーの絵を見て、お腹を抱えて笑い、「子どもの落書きのような絵だ」と物笑いの種にしたのです。
更にその様子を、当時の新聞は「アンリ・ルソー氏の作品は今回も大人気だ」と揶揄したのです。
しかし、”スーパーポジティブ”のルソーには全く皮肉は通じません。
「自分の人気がどんどん高まっているんだ、画家として認められているんだ」と有頂天になるのです。
まさにスーパーポジティブ!
今回の記事は一旦ここまでです。
パート2に続きます。
【CONTACT ART】ルソー/東京国立近代美術館②【美術番組まとめ】
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[…] 今回の記事はパート2になります。 前回の記事はこちら☚からご覧ください。 […]