2018年4月17日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#266 世界的収集家の慧眼!「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」~ルノワール、モネ、ゴッホ、ピカソ…誰もが知る傑作が勢揃い!~】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
イントロダクション:『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』
今回は2018年に東京・六本木の国立新美術館で開催された『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』についてまとめていきます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
この展覧会の目玉の作品は、ルノワールの描いた傑作《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》でした。
これは有名な作品ですね!
展覧会のチラシにもこの作品が使われており、「絵画史上、最強の美少女(センター)」と謳われています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
この『可愛いイレーヌ』を所蔵しているのが、「ビュールレ・コレクション」です。
その名の通り、ビュールレ氏が集めたコレクションになります。
世界には数々のプライベートコレクションがありますが、その中でもビュールレ・コレクションは1位、2位を争うクオリティの高さだといいます。
コレクションは印象派やポスト印象派が中心で、ゴッホ、セザンヌ、ルノワール、モネといった日本でも人気のある画家の作品が多く集まっています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
ビュールレ氏が1956年に亡くなった後、スイスの自宅を改装して造られた美術館でコレクションが公開されていました。
しかし、2015年にこちらは閉館となり、2020年にチューリヒ美術館に作品が移管されました。
今回の展覧会は、閉館から移管までの間に行われたという事もあり、多くの作品の来日が実現しました。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
コレクションを築いたのは、エミール・ゲオルク・ビュールレ氏(1890-1956)です。
エリコン・ビュールレ社という武器会社のオーナーで、兵器の製造で大成功を収めた人物です。
見た感じ、ザ・お金持ち!って感じですね。
ビュールレ氏は元々ドイツのフライブルク大学で哲学や美術史を学んでいました。
ビュールレ・コレクションの特徴は「絵画の歴史の流れが分かるように収集されている」という点があるといいます。
ただお金持ちが、じゃんじゃん美術品を買い集めたわけじゃないんですね!
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
コレクションの作品はどれもクオリティが高く、「基本ハズレなし」と山田五郎さんは言います。
この展覧会ではその中から厳選された64点、うち半数近い28点が日本初公開の作品となっています。
《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア》カナレット
《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア》1738-42年
アントーニオ・カナール(カナレット)
ビュールレ・コレクション
ビュールレ・コレクションは、印象派とポスト印象派の作品がコレクションの中心となっていますが、それよりも前の時代の作品もあります。
印象主義よりも120年ほど昔に活躍したカナレットの作品です。
こちらはヴェネツィアの風景を描いた作品です。
まるで写真のようにリアルに描かれています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
細かい所まで、しっかりと描かれています。
この頃、ヨーロッパとりわけイギリスの富裕層の間で”グランド・ツアー”というのが流行します。
グランド・ツアーとは、ヨーロッパ中の色々な場所を見学し、勉強する観光旅行のようなものです。
この作品はそのグランド・ツアーでヴェネツィアを訪れた観光客向けに描かれたもので、景観画と呼ばれます。
中でもカナレットは非常に人気があり、景観画の第一人者のような存在でした。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
ではどうしてビュールレ氏はこの作品をコレクションに入れたのでしょう?
それは次の作品と比較する事で、「風景画がどのように変わっていったのか」というのを分かるようにするためでした。
《ジュデッカ運河、ヴェネツィア、朝(サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂)》シニャック
《ジュデッカ運河、ヴェネツィア、朝(サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂)》1905年
ポール・シニャック
ビュールレ・コレクション
こちらは新印象派の画家、ポール・シニャック(1863-1935)の作品です。
描かれている場所は先ほどのカナレットの作品と同じ、ヴェネツィアのサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂です。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
カナレットが活躍したのは18世紀初頭ですが、それより昔と比べても描き方に大きな変化はありませんでした。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
カナレットの時代から約170年経つと、同じ場所で同じ風景を描いてながら、大きな変化が現れ、絵としては全く別のものになっているのがわかります。
19世紀に入り、印象派が活躍するその少し前から、急激に「絵画」というものが変わっていったのです。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
新印象派の特徴でもある、”点描”によって画面が構成されています。
新印象派の画家でいうと、シニャックの他にもう一人有名なのが、ジョルジュ・スーラです。
スーラは31歳で早くに亡くなってしまいますが、シニャックは71歳まで生きます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
シニャックはあのゴッホとも交流がありました。
ゴッホはポスト印象派の画家ですが、彼の描き方はまるで点描を伸ばして、うねるようになっていきます。
ゴッホはシニャックから点描を取り入れて、自分流にアレンジした結果、彼特有の”うねる”描き方になっていったのです。
今回の記事はここまでです。
次のパート2では、マネとモネの作品についてまとめていきます。
こちら☚からご覧いただけます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
コメント
[…] 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。 […]