2020年1月7日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#334 ブダペスト展】の回をまとめました。
パート2ではイタリア絵画、そしてスペイン絵画についてご紹介します。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい。
前回のパート1はこちらからご覧頂けます☟☟
【ぶらぶら美術・博物館】ブダペスト展①【クラーナハ(父)の作品】
《聖母子と聖パウロ》ティツィアーノ
《聖母子と聖パウロ》1540年頃
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
ブダペスト国立西洋美術館蔵
16世紀の盛期ルネサンスでヴェネツィア派を代表する画家、ティツィアーノの作品です。
タイトルの通り、マリア様とイエス様、そして聖パウロが描かれています。
剣と本を持っているので、聖パウロであるという事が分かります。
キリスト教の聖人は持っているもので誰かを示すようになっています。
(これをアトリビュートといいます)
「本」は聖パウロはが沢山の書き物(手紙)を書いたことを表しています。
今でも結婚式で神父様から聞く「愛の賛歌」も聖パウロの手紙から引用されています。
「剣」は聖パウロが最期に剣で切られて殉教したことを示しています。
聖パウロは元々は古代ローマの属州生まれのユダヤ人で、キリスト教を迫害する側の人間でした。
それがある時馬に乗っていると、天の声が聞こえ落馬します。
(カラヴァッジョがその場面を《聖パウロの回心》という作品で描いています)
そして起き上がると回心しており、キリスト教徒になったという人です。
この作品では特筆すべき点は、聖母子と面会している時に聖パウロの姿が軍人の格好(=回心する前の姿)で描かれる点です。
こういった例は他にはあまり見られません。
また聖パウロの顔は、特定の誰かを描いているようにリアルに表現されており、恐らくは絵の寄進者の姿を重ねているのではないかと思われます。
またX線写真で調査したところ、聖パウロは元々は普通のシャツのような洋服姿で描かれていたことが分かっています。
つまり、絵の注文主が後になって「軍人姿で自分(聖パウロ)を描いて欲しい」とリクエストし、今の姿になったと考えられます。
イエス様の手にある林檎は、原罪と贖罪の象徴(アダムとイブの林檎)を表しています。
そしてそれ(手にした林檎)を救うためにイエス様が現れたという事を示しています。
イエス様の首元には赤サンゴの首飾りが付けられており、厄除け・魔除けに効果があると言われています。
《聖小ヤコブ(男性の頭部の習作)》エル・グレコ
《聖小ヤコブ(男性の頭部の習作)》1600年頃
エル・グレコ
ブダペスト国立西洋美術館蔵
ブダペスト国立西洋美術館は、スペイン絵画も大変充実しています。
その理由はハプスブルク家がスペインを支配していたことが理由です。
(ハプスブルク展で展示されていた《緑のドレスの王女マルガリータ・テレサ》もこちらの美術館が所蔵しています)
エル・グレコはギリシャ人で、本名は「ドメニコス・テオトコプーロス」と言います。
ギリシャ出身ですがスペインで活躍をしたので、スペイン画家として取り扱われることが多いのです。
タイトルの「聖小ヤコブ」は十二使徒の一人です。
《受胎告知》1595-1600年
エル・グレコ
ブダペスト国立西洋美術館蔵
*こちらの作品は「ブダペスト展」には出展されてません。
エル・グレコの作品は大きな画面で見ると、独特な歪みや色調が際立ちますが、
この《聖小ヤコブ》のように小さな画面の作品だと、時代を先取りした上手さがよく分かります。
19世紀頃の絵画と言われても遜色ない、大ぶりなタッチで正確に対象を捉えています。
この作品をX線写真を調査したところ、下書きをせずに本番一発で描いているのも分かっています。
というかエル・グレコの《受胎告知》って
大原美術館以外にもあるんだ!
・・・そうなんですよ。実は《受胎告知》には様々なヴァージョンが存在します。
これはまた別の機会に紹介させていただくとして・・・
パート2はここまでです。
パート3では、「ハンガリーの近代絵画」についてまとめていきます。
【ぶらぶら美術・博物館】ブダペスト展③【ハンガリーの近代絵画】
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