【日曜美術館】西洋絵画傑作15選パート2【美術番組まとめ】

日曜美術館

2020年7月5日にNHKで放送された「日曜美術館」の【蔵出し!西洋絵画傑作15選(1)】の回をまとめました。
今回の記事はパート2になります。
前回のパート1はこちら☚からご覧頂けます。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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ポンペイ壁画『ディオニュソスの秘儀』

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

イタリア南部、ヴェスヴィオ火山の麓。
18世紀に厚さ5メートル以上の火山灰の下から、古代ローマ時代の街・ポンペイが発掘されました。

西暦79年に起こったヴェスヴィオ火山の大噴火により、この街とそこに暮らしていた約1万2000人の命が一瞬にして奪われました。

およそ1700年後に再発見されたそこには、繁栄の絶頂を極めた在りし日のローマ帝国の姿がそのまま残されていました

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

街の居酒屋にはこんな落書きが残されていました。
3人の人物が描かれ、上にはそれぞれの酒屋での一場面を思わせるセリフが書かれています。
左の人「こっちだよ」
真ん中の人「いやいや おれのだ」
右の人「欲しい人が取りなさいよ 他の人にあげちゃうよ」

その遺跡の中でも最も色濃く当時の繁栄を伝える壁画が「蔵出し!傑作選」の2作目の作品です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

こちらがポンペイ壁画ディオニュソスの秘儀』です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

2000年前のものとは思えない鮮烈な赤色が今に伝わります。
この深みのある赤は「ポンペイ・レッド」と呼ばれます。

秘儀荘(ひぎそう)と呼ばれる部屋を囲うようにして、等身大の人物の姿が描かれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

人物たちは皆、何かに夢中になっている様子で描かれており、どこか異様な雰囲気が漂います。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

描かれているのは酒の神様ディオニュソスをまつる秘密の宗教儀式の光景です。
当時の裕福な市民たちは、この場所で恍惚状態になるまで快楽に身を委ねていたと考えられています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

左側の黒い翼をもつ女性がうずくまる信者をムチで打つこの場面。
激しい痛みと狂乱の先に魂の浄化があると信じられていたのです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

ポンペイ遺跡の発掘調査に長年携わってきた東京大学教授の青柳正規氏は、この壁画について、キリスト教が広まる以前の独自の信仰を伝えるものだと言います。

貧富の差が生まれ、経済的に余裕が出てきた上流階級の人たちは”自分たちだけの文化”を持ち、他の人たちと区別・差別をしていこうとします。
その中でディオニュソスをまつる秘密の宗教を作り上げていったのです。

ラグジュアリー(贅沢)の語源は、ルクスーリア(色欲)と言われますが、そのルクースリアがこの壁画に反映されているのです。

《貴婦人と一角獣》

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

続いての「蔵出し!傑作選」の3作目の作品は、中世の時代の作品です。
キリスト教がヨーロッパを支配したこの時代に生まれた至宝がこのクリュニー中世美術館に残されています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

それがこちらの6枚一組の織物、《貴婦人と一角獣》という作品。
当時の職人たちの最高の技術によって編まれました。

制作された年や場所は詳細には分かっていませんが、パリで下絵が描かれた後、1484年から1500年頃の間にフランドル地方で織られたと考えられています。
500年前に作られたとは思えない、鮮やかな色彩が残されています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

近くで見るとこのように編み目が見えてきます。
織物だからこそのちょっとしたぼかし等も確認できます。

このタペストリーに登場するのは空想上の動物である”一角獣”と豪華な装いの”貴婦人”です。
一角獣貴婦人は、それぞれ”キリスト”と”聖母マリア”だと考えられ、描かれていました。

この《貴婦人と一角獣》では、人間の身体感覚である「五感」が表されています。

味覚 (Le goût)

こちらは味わう感覚「味覚」を表しています。
貴婦人は侍女からキャンディーを受けっており、また足元の猿もキャンディーを食べています。

聴覚 (L’ouïe)

聴覚」では貴婦人がオルガンを演奏しています。
その反対側に侍女が立ち、”ふいご”と呼ばれるオルガンの裏側にある空気を送る装置を操作しています。

視覚 (La vue)

視覚」では一角獣が貴婦人の持つ手鏡に映った自分の顔を見ています。

嗅覚 (L’odorat)

嗅覚」では、貴婦人は花輪を作っていますが、その後ろで猿が籠から花を取り出し、その匂いを嗅いでいます。

ドレスのドレープの表現などは現代の技術があれば簡単にできますが、これを手作業でやっていたと考えると、工芸品としても高い完成度を誇っているのが分かります。

触覚 (Le toucher)

触覚」では、貴婦人は右手で旗を持ち(これ以外は全て動物が旗を持っています)、左手で一角獣の角に触れています。

ここまで五感のそれぞれをご紹介しましたが、この《貴婦人と一角獣》は6枚一組の織物です。
では最後の一枚は何が描かれているのでしょうか。

我が唯一つの望みに (À mon seul désir)

我が唯一つの望みに (À mon seul désir)

この6枚目は他のタペストリーに比べて横幅が広く、描かれている絵も他のものと様子が違います。

他の全ての絵で貴婦人が身に着けていたアクセサリーが外されて、その手は宝石箱へ伸びています。


この6枚目にだけ文字が書かれています。
そこには「À MON SEUL DESIR(モンスールデジール)」。
日本語に訳すと、「我が唯一の望み」です。

この作品が表しているものについては様々な説があります。

番組司会の井浦新さんは、「日本でいう所の”神”が中心にいて、その両脇に狛犬(こまいぬ)がいるようなイメージ、宗教的なモチーフの図式に感じる」と言います。

一方、名古屋大学教授の木俣元一氏は「愛のテーマ」が込められていると言います。

テントに書かれている「我が唯一の望み」という言葉は、同時代に作られた指輪などにも刻まれている言葉だそうです。
そこから考えると、男性から送られた人、すなわち恋人であり女性の事を指していると考えられます。

2つの説

最も謎に包まれていると言われるこの6枚目のタペストリー。
その謎を巡って2つの説が唱えられてきました。

一つは、キリスト教で五感を統制する第六感の「理性」を表しているという説
もう一つは、先の木俣氏の解釈にある欲望」と読む説です。

そこで意見が分かれるのが、貴婦人が手を伸ばす宝石箱の解釈です。

「理性説」ではこの解釈を、俗的な宝石を手放して自らを律しようとしていると言われます。
一方の「欲望説」では、この宝石箱は男性から送られたものだと考え、その愛を受け入れた証に身に着けようとしていると考えられます。

どちらが正しい解釈なのか、制作されて500年以上経った今でもその答えは出ていません。
けれども答えが分かっていないからこそ作品は人々に考えさせ、その結果多くの人を惹き付けているのかもしれません

今回の記事は以上になります。
最後までご覧頂きありがとうございました。

コメント

  1. […] 今回の記事は以上になります。 続くパート2では、「蔵出し!傑作選」の2作目と3作目、ポンペイ壁画『ディオニュソスの秘儀』と《貴婦人と一角獣》についてまとめています。 こちら☚からご覧頂けます。 […]

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