【2021ゴッホ展⑥】《夜のプロヴァンスの田舎道》【ぶら美】

ぶらぶら美術・博物館

2021年11月16日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#391 ゴッホが巨匠になるまでの全て!東京都美術館「ゴッホ展」〜世界最大のゴッホコレクター珠玉の名画が一堂に!傑作〈糸杉〉も!〜】の回をまとめました。

今回の記事はパート6になります。
前回のパート5はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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《夜のプロヴァンスの田舎道》


《夜のプロヴァンスの田舎道》1890年5月12-15日ごろ
フィンセント・ファン・ゴッホ
クレラー=ミュラー美術館蔵

今回の展覧会の目玉作品ともいえる《夜のプロヴァンスの田舎道》。
来日するのは16年ぶりになります。

ゴッホは”糸杉”をモチーフにした作品を数多く描いていますが、その中でも「特に良い糸杉だ」と山田五郎さんは言います。

ゴッホは1889年にサン=レミに移って以降、糸杉の作品に本格的に取り組むようになります。
その中でも《夜のプロヴァンスの田舎道》は最後に描かれたものであり、南フランス滞在の中でも最後の方に描かれたであろう作品である事からも、”集大成”と呼べる一枚です。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

中央の糸杉を挟むように、三日月と輝く星が描かれています。
この作品が描かれる前の月に、実際に三日月と金星と水星が並ぶ天体現象があったことも分かっています。

恐らくゴッホもその光景を目にしており、後日その記憶を基に描いたのだと考えられます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

それまでのゴッホの絵画の描き方は、描く対象を目の前にして描く、というやり方でした。

しかし例えこれだけ星や月が明るくても、田舎の夜道は非常に暗いため、実際にこういった夜の風景を目の前にして描いたのではないと考えられます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ゴッホはアルルで2カ月ほどゴーギャンと共同生活をしますが、その時に自らの”記憶”と”想像”を駆使して描くことを学ぶのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

タイトルの通り、描かれているのはプロヴァンスの風景ではありますが、奥の家はオランダにあるようなタイプの家であることから、ゴッホがそれまで見てきたもののイメージを組み合わせて描いていると考えられます。

ゴッホがオベリスクにも例えたような糸杉がポンっと真ん中にあって、月があって星があってみたいな。結果として(その後の)表現主義やフォーヴィスムを先取りしている」(山田五郎氏)

クレラー=ミュラー美術館 開館までの道のり

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

1911年にヘレーネは自らのコレクションを展示するための美術館を作ろうと決意します。
その翌年にパリへ行きゴッホの作品を多数購入しますが、《夜のプロヴァンスの田舎道》もその中の一枚に含まれます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

その後、1938年にクレラー=ミュラー美術館が開館。
ヘレーネが美術館設立を決意してから、およそ15年の月日が流れていました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

その道のりは平坦なものではなく、その間に第一次世界大戦世界恐慌が起こっています。
第一次大戦の時こそミュラー社は大儲けをしますが、その後会社は経営危機を迎えます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ヘレーネの絵画コレクションも散逸の危機を迎えますが、彼女はそれを防ぐために1928年に財団を設立します。
そうして守られたコレクションを国に寄贈し、美術館設立にこぎつけるのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

クレラー=ミュラー美術館は広大な国立公園の中に建っていますが、その敷地も元々はクレラー=ミュラー夫妻が持っていた土地で、その土地を含めて国に寄贈しているのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

念願の美術館の開館に、ヘレーネは心底嬉しかったことでしょう。
しかし開館の翌年、まるで自らの使命を全うしたかのように、70歳でこの世を去るのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

お金もあり、子どもにも恵まれたヘレーネですが、本人は”何か満たされない感情”を持っていたといいます。
その心の穴を埋めたのが、ゴッホの絵画だったのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ヘレーネは美術の世界を知ってすぐの頃から、自分の心の拠り所となった美術を多くの人々と共有しようと思って、残りの人生ほぼ全てを作品収集と美術館の設立に捧げました」(学芸員:大橋都菜子氏)

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらはヘレーネの葬儀の際の写真です。
棺の向こうにはゴッホの作品が飾られています。

生涯をかけてゴッホの作品を収集したヘレーネは、その自分が愛した作品たちに囲まれて天国へと旅立ったのです。

今回の記事はここまでになります

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

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