2020年11月3日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#360 東京国立博物館「工藝2020」「桃山 天下人の100年」〜伝統と革新!世界に誇るニッポンの工芸と、狩野永徳、長谷川等伯…桃山時代のお宝美術が大集合!〜】の回をまとめました。
今回の記事はパート3になります。
前回のパート2はこちら☚からご覧頂けます。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
西洋との出会い
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
安土・桃山時代で忘れてはいけないのが、この時日本が急速に国際化したということです。
西洋からは鉄砲、そしてキリスト教が入ってきます。
当時イエズス会が世界中にキリスト教を布教しに行きますが、その中で最も布教に成功したのが「日本」だと言われています。
一番キリスト教徒が増えたのが日本で、その後禁教になり、一番多くの殉教者を出したのも日本だと言われています。
《聖フランシスコ・ザビエル像》
今回の展覧会では、日本人なら誰もが教科書で目にした事のある、”あの人”の肖像画が展示されていました。
*10月25日までの展示の為、すでに終了しています。
《聖フランシスコ・ザビエル像》
重要文化財
江戸時代・17世紀
兵庫、神戸市立博物館蔵
そう、あのザビエルさんです!
こちらは重要文化財に指定されています。
私は展覧会に行くのが一週遅くて、ギリ見られませんでした😢
ザビエルは1549年にキリスト教布教のため、鹿児島に来日します。
それまで、日本にとってのお手本は”中国”でした。
中国の価値観を日本に持ってきて、それを元に日本の文化が作られていったのです。
それがザビエル、そしてキリスト教の伝来により、「え?中国よりも違う世界があるの?」という驚きになるのです。
”西洋の新しい価値観”がこの時初めて日本にやってきたのです。
ザビエルの口の所からは、セリフのように言葉が描かれていますが、ここには「主よ、充分です」と書かれています。
十字架の所にある「IHS」は、イエズス会の紋章です。
ザビエルはイエズス会を立ち上げたメンバーの1人でした。
このザビエル像はすごく不思議な絵で、じつは見つかったのが今から100年前で、大阪・茨木市の民家の倉から発見されたものなのです。
てっきり安土桃山時代から知られた絵なんだと思ってました!
じつはその地域は隠れキリシタンがいた地域で、様々なものを隠されていたといいます。
長年しまわれていた事もあり、絵画としての状態もたいへん良いのです。
ザビエル像の下に描かれているアルファベットですが、ザビエルの表記の前に「S」と書かれています。
この「S」はSaint、”聖人”を意味していますが、ザビエルが聖人に列聖されたのは1622年です。
ザビエルは1552年に亡くなっていますし、1622年という時代はすでにキリスト教禁教令が江戸幕府より出されていました。
つまりこの《ザビエル像》はキリシタン弾圧の時代に描かれたものだと考えられているのです。
さらに画面左下には壺印、落款がありますが、これは狩野派を表すものだと言われています。
じつは狩野派の絵師の中にもキリシタンがいたといわれています。
もしかするとその狩野派の絵師が描いたのかもしれません。
《泰西王侯騎馬図屛風》
《泰西王侯騎馬図屛風》
重要文化財
江戸時代・17世紀
兵庫・神戸市立博物館蔵
読み方は「たいせいおうこうきばずびょうぶ」です。
こちらは会津若松に伝世、会津の松平家に伝わるものです。
この屏風は洋風画を勉強した日本人の画家が、西洋の世界地図に描かれていた小さな挿絵を、大画面の屏風として描いたものです。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
描かれているのは左から
- 神聖ローマ皇帝 ルドルフ2世
- オスマン・トルコ皇帝
- モスクワ大公
- タタール・カーン
といった世界各地を支配していた”四天王”と呼ばれた人たちです。
日本の戦国武将たちは、この屏風を見て「まるで西洋の自分達みたいだ」と見て喜んだのだと思われます。
西洋のモチーフではありますが、キリスト教の宗教画ではないので、禁教令の影響を受けず、現代まで残されました。
また屏風に大きく人間を描くというのも、それまでの日本画にはない事でした。
永徳の屏風しかり、「ものを大きく、ダイナミックに描く」というのが桃山美術の特徴と言えるかもしれません。
ちなみに2018年に渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催された『ルドルフ2世の驚異の世界展』では、《泰西王侯騎馬図屛風》の複製が展示されていました。
もしかしたら、そちらで見覚えある方もいるかもしれませんね。
いかがでしたでしょうか。
今回の記事はここまでになります。
次のパート4で『桃山ー天下人の100年』の特集はラストです。
最後は秀吉が愛用したと伝わる兜、そして江戸時代に入ってからの狩野派の絵画について見てまいります。
(*現在記事作成中です)
コメント
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