8/14追記【ぶら美】SOMPO美術館・開館記念展①【美術番組まとめ】

ぶらぶら美術・博物館

2020年8月4日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#354 新オープン!SOMPO美術館「開館記念展」〜ゴッホ「ひまわり」と再会!東郷青児ゆかりの美術館 ベスト・コレクション〜】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この夏にオープンしたばかりの新しい美術館「SOMPO美術館」です。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらの「SOMPO美術館」、元々は損保ジャパン本社ビルの42階で「東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」の名称で開館していました。
ですが今回本社ビルの隣接地の新しい建物に移転、名称も新たにオープンしました。

名前もシンプルになりましたね!

こちらでは2020年7月10日㈮から9月4日㈮まで、開館記念展が開催されています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

入り口は1階ですが、入場するとエレベーターで5階へと向かいます。
最上階の5階が最初の展示室になっており、そこから4階・3階と降りていく展示経路になっています。(2回はミュージアムショップやカフェがあります)

日本画、日本の洋画、印象派、そして美術館と所縁の深い画家・東郷青児の作品等、バラエティに富んだコレクションを所蔵するSOMPO美術館。
今回その中でも特に選りすぐりの70点を6つのテーマに分けて展示されています。

《桜華》岸田夏子

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

「桜の華」と書いて「おうか」と読みます。
作者の岸田夏子は、あの洋画家・岸田劉生のお孫さんにあたる人物です。
東京藝術大学で絵画科油絵を専攻され、大学院でも学ばれています。
2020年現在80歳で、長く画家として活躍されています。


《麗子》1921年
重要文化財
岸田劉生
東京国立博物館蔵
*SOMPO美術館開館記念展の出展作品ではありません。

岸田劉生が何度も描き、代表作にもなっている《麗子》。
その麗子さんの娘さんが岸田夏子さんなのです。

麗子さんも画家でしたので、岸田劉生から三代に渡って画家の家系なのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

また岸田夏子さんは2000年から山梨県北杜市にある清春白樺美術館館長も務めています

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

そこに「清春の桜群」と呼ばれる桜の名所があります。

この清春白樺美術館で祖父の岸田劉生の展覧会が開催された際に、岸田夏子さんも足を運ばれました。
その時にこの地の桜に感銘を受けて、以降桜の花をモチーフにした作品を描いています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらの《桜華》は洋画としては珍しく金箔が用いられています。
また桜の花びらも薄い絵具で何層にも描かれており、より綺麗に、そして華やかに見えます。

日本の屛風絵や障壁画と洋画の技法がミックスされた傑作です。

今回の開館記念展の会場に入ると、先ず最初に迎えてくれるのがこちらの作品です。
新美術館のお披露目に相応しい作品という事で、今回展示される事になったといいます。

《葉桜》山口華楊


《葉桜》1921年
山口華楊(22歳頃)
SOMPO美術館蔵

こちらは京都で活躍した日本画家山口華楊(やまぐちかよう、1899-1984)の作品です。
山口華楊は大正から昭和の時代にかけて活躍しました。
この作品は20代前半の頃に、京都の円山公園の枝垂れ桜をモチーフに描かれました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらは日本画の作品ですが、洋画のテイストも含まれています。
山口華楊は西洋の細密描写も取り入れており、この作品でも木の幹や葉の表現が陰影をつけて描かれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

画面右下に描かれている蛇はかなり写実的に描かれています。
彼は写生を重んじる円山四条派に属しており、このようなリアルな動物画を数多く描きました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

画面左側にあるアザミの花も、画面全体に効果を与えています。


この《葉桜》という作品はSOMPO美術館に古くからある作品ですが、一般公開されるのはじつに今回10年ぶりだといいます。

元々は屏風絵でしたが、経年劣化により屏風内部の木枠に歪みが生じて、開閉すると作品が損傷してしまう恐れがあったため、展示を控えていたといいます。
しかし今回の開館記念展にあわせて、屏風の全面的な修復を行う事になり、展示される運びとなりました。

《興津の富士》吉田博

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらの富士山を描いた作品、《興津の富士(おきつのふじ)》。
描いたのは明治・大正・昭和にかけて活躍した吉田博(1876-1950)です。

山田五郎さん曰く「日本よりアメリカや海外で有名な画家」との事。
戦後には進駐軍が吉田博の元を訪れ、その中にはマッカーサーの奥さんもいたといいます。
あのダイアナ妃吉田博のファンだったそうです。

吉田博は画家としてだけではなく、版画家として新版画(伝統的木版画(浮世絵)の復興と近代化を目指し制作された版画)にも携わりました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

18歳の時に小山正太郎の画塾「不同舎(ふどうしゃ)」に入門します。
そして23歳でアメリカに渡ります。
渡米後間もなく、デトロイト美術館ボストン美術館で展覧会を開催し成功を収めています。

帰国後には「太平洋画会」を結成します。
「太平洋画会」は黒田清輝の「白馬会」に対抗する組織として結成されました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

吉田博は水彩画や版画の作品で有名で、またアメリカの風景なども残しています。
ですので、この《興津の富士(おきつのふじ)》のような日本の風景で、且つ油彩の作品は珍しいといいます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

《潮音》東山魁夷

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらの《潮音(ちょうおん)》という作品は東山魁夷の作品の中でも重要な作品で、50代の後半の頃に描かれました。

自然との対話の中で深く内面を見つめながら、風景を描き続けた東山魁夷
彼の作品は国内外の旅先で描いたスケッチを基に描かれました。

この作品は山陰地方を取材して描かれた海の情景です。
『潮音』というタイトルの通り波の音が聞こえてきそうな、そんな作品です。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

東山魁夷の大きな仕事の一つがこちらの皇居の宮殿の障壁画《朝明けの潮です。
SOMPO美術館の《潮音》も皇居の壁画を準備している最中に描かれた一枚だと言われています。

今回の記事はここまでです。
続くパート2では美術館とゆかりの深い画家・東郷青児と彼の作品をまとめていきます。
こちら☚からご覧いただけます。

コメント

  1. […] 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。 […]

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