【NHK美術番組まとめ①】謎の国宝 鳥獣戯画”楽しい”はどこまで続く?

その他美術番組

2020年5月17日にNHKにて放送された「謎の国宝 鳥獣戯画 “楽しい”はどこまで続く?」をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション

皆様は国宝の《鳥獣人物戯画》をご存知でしょうか?
今からおよそ800年前、平安時代末期に描かれた絵巻です。

紙の継ぎ目の部分には「高山寺」という赤い判が押されています。
これは京都市右京区にあるお寺、高山寺(こうさんじ)がこの絵巻を所有している証しです。

人間が楽しむような事をなぜか動物たちがやっているという、何とも不思議な絵巻です。


擬人化されたウサギ、カエル、サルなどが生き生きと描かれています。
全て墨だけで描かれていますが、線の強弱や墨の濃淡などを巧みに使い分けて、見事に表されています。

全長11.5メートルにも渡る見どころ満載の国宝ですが、謎も数多く残されています。
誰が何を目的として描いたのか、よく分かっていないのです。

《鳥獣人物戯画》について

国宝鳥獣人物戯画》は実は全部で4巻あります。
4巻にはそれぞれ名称があり、甲巻(こうかん)乙巻(おつかん)丙巻(へいかん)丁巻(ていかん)です。
初めに甲巻が描かれた平安末期から鎌倉時代にかけて、幅のある年代で複数の絵師が描いたとされています。
これら四巻をすべて合わせるとその長さは44メートルを超えるといいます。

ちなみに私たちがよくイメージするウサギとカエルが出てくるものは甲巻になります。

それぞれ描いている題材も筆遣いも異なっています。
ではあまり知られていない甲巻以外にどのようなものが描かれているか見ていきましょう。

乙巻


乙巻は”動物の生態図鑑”とも言うべき内容です。
犬や馬といった実在の動物から、麒麟や龍といった空想上の動物まで様々描かれています。
その数は全部で16種類で甲巻のような擬人化の表現ありません。

粉本(ふんぽん)と呼ばれる絵師たちが絵を描く際に手本にする本だったとも言われています。

丙巻


丙巻は前半に初めて人間が登場します。


後半になると人間のように遊ぶ動物たちが描かれています。

丁巻


これは流鏑馬(やぶさめ)を行う姿を描いています。
丁巻は遊んでいる人間であったり、法要や宮中行事などの場面が登場します。

他の巻とは異なる緩やかなタッチも特徴です。

漫画家 荒木飛呂彦氏の《鳥獣戯画》の感想

画像出展元:テレビ番組「謎の国宝 鳥獣戯画 “楽しい”はどこまで続く?」より

ジョジョの奇妙な冒険」で知られる漫画家の荒木飛呂彦氏。
鳥獣戯画》の表現力に関心を持っていたといいます。

荒木氏によるとこの《鳥獣戯画》は、”世界観を描こうとしている”といいます。
漫画というのはストーリーを描いたり、キャラクターを描いたりというのもありますが、自分の世界観を表現しようという気持ちもあるといいます。

絵巻を見ている人がこの絵巻の中の世界に行くのを楽しむような、そんな作品だと言います。


例えばサルが着ている袈裟のディテールへのこだわりから、楽しんで描こうという気持ちが読み取れるといいます。


逃げるサルの帽子も立体感があります。
細部にこだわる事で、その世界を作り込んでいくという姿勢の表れだと荒木氏は言っています。
この帽子の付け方だけでも、このサルがどういうキャラクターか想像する事ができます。

どこかにこだわりを持って世界観を作っていくことで、作品自体にパワーが生まれて、そういった部分が多くの人に傑作だと言わしめる所以だと荒木氏は述べています。

絵巻のストーリー(前半)

それではその《鳥獣戯画》に描かれているストーリーを最初から最後まで全部見ていきたいと思います。
ストーリーは右から左に展開していきます。

第1紙 – 第4紙前半


まず一番最初は岩山から始まります。
ウサギが川の中に飛び込もうとしています。
その下ではサルとウサギが楽しそうに水遊びをしています。


ウサギが乗っているのは馬ではなく鹿です。
手前にはススキが生えています。
これにより、この季節が秋であることがわかります。

第4紙後半 – 第7紙


大きな葉っぱが吊るされています。
その前にはウサギとキツネの姿が見えます。


その視線の先には、弓を構えるウサギやカエルがいました。
これは平安時代に流行した賭弓(のりゆみ)というものです。
弓の腕前を披露しあっているのです。

チーム対抗戦なのでしょう。
ウサギチームは上の方に、カエルチームは下の方にそれぞれ集まっています。


扇を手にしたウサギがなにやら合図を送っているようです。
何があるのでしょうか。

第8紙 – 第10紙


ウサギが扇で招いていたのは、行事の後に振舞われるご馳走でした。
カエルとウサギが持っているのはお酒の入った壺です。
宴が開かれるようです。

ここで描かれている道具類は、この当時都で使われていたものと同じだそうです。
これにより描かれたのは京都だと考えられています。


弓の大会に遅れて来たのでしょうか。
一匹のウサギが急いで向かっています。
そのウサギに合図を送るウサギは満面の笑みです。

なんだか見てるこっちも笑顔になるような微笑ましい場面ですね。

ここで丁度絵巻の前半部分が終了です。
後半からはガラッとストーリーが変わります。

と、長くなりましたので一旦パート1の記事はここまでにします。
続くパート2では甲巻の後半部分のストーリーについてまとめていきます。
こちら☚からご覧いただけます。

コメント

  1. […] 2020年5月17日にNHKにて放送された「謎の国宝 鳥獣戯画 “楽しい”はどこまで続く?」をまとめました。 こちらの記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☜からご覧ください。 […]

  2. […] 甲巻のストーリーについては過去記事で詳しく解説しております。 こちらをご参照ください☟☟ 【NHK美術番組まとめ①】謎の国宝 鳥獣戯画”楽しい”はどこまで続く? […]

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