2020年5月17日にNHKにて放送された「謎の国宝 鳥獣戯画 “楽しい”はどこまで続く?」をまとめました。
こちらの記事はパート2になります。
前回のパート1はこちら☜からご覧ください。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
今回のパート2ではまず前回(パート1)の続きから。
甲巻の後半のストーリーをまとめていきます。
絵巻のストーリー(後半)
第11紙 – 第16紙前半
後半部分でまず最初に出てきたのは、お坊さんの格好をしたサルです。
そのサルに引出物として、鹿を渡すウサギや猪の手綱を引くカエルの姿が見えます。
端のキツネが後ろを何やら気になる様子で見ています。
続きは何が描かれているのでしょうか。
そこには逃げるサルとそれを追うウサギの姿が。
帽子を後ろに飛ばしているその姿からも慌ててる様子が見て取れます。
なぜサルはウサギに追いかけられる羽目になったのでしょうか。
なんとカエルがひっくり返っています。
おそらくは逃げているサルと喧嘩でもしたのでしょう、完全にのびています。
ここで初めて登場する動物の姿も。
烏帽子を被った猫や、ウサギの足元に隠れる小さなネズミも登場します。
踊るカエルのあとにはイタチやキジの姿も描かれています。
第16紙後半 – 第18紙
その次の場面ではウサギとカエルが相撲を取っています。
「いいぞ!やれやれ!」なんて周りのウサギは言っているのでしょうか。
勝負あったようです。
ウサギが倒れて、カエルが勝利の決めポーズをしています。
カエルの口からは雄たけびでしょうか、吹き出しのようなものが見えます。
この『第16紙後半 – 第18紙』の部分が鳥獣戯画の中では最も有名な部分です。
第19紙 – 第23紙
双六版と袋を運ぶサルが登場します。
ちなみに模本によると、このあとに碁を打つ場面が本当はあったようです。
ここからまた場面が少々変わってきます。
動物たちが何やら数珠を手にしており、法要が執り行われているのが分かります。
サルが袈裟を着てお経を唱えています。
しかし本来仏像があるべき所にいるのは、なんとカエルです。
いよいよここがラストです。
法要が終わったのでしょう。
一息ついているサルの所に、動物たちが贈り物を運んでいる場面で絵巻は終わります。
一番よく登場する動物は?
ちなみにここまで《鳥獣戯画》甲巻のストーリーを見てきましたが、よく登場するウサギ、サル、カエルの中で一番多く登場したのはどの動物でしょうか?
正解は・・・ウサギです。
その数合計41回!
続いてがカエルの25回、そして3位のサルが16回となっています。
高山寺
画像出展元:テレビ番組「謎の国宝 鳥獣戯画 “楽しい”はどこまで続く?」より
では誰が何のためにこの《鳥獣戯画》を描いたのでしょうか。
この絵巻を所蔵しているのが京都市右京区にある高山寺(こうさんじ)です。
(現在は甲巻と丙巻が東京国立博物館に、乙巻と丁巻が京都国立博物館に寄託保管されています)
この高山寺では、《鳥獣戯画》を寺のご本尊として大切にしてきたといいます。
高山寺は《鳥獣戯画》甲巻が描かれた少しあとの鎌倉時代、明恵(みょうえ)という僧侶によって開かれました。
国宝《明恵上人像(樹上坐禅像)》
こちらは山の中で修業する明恵上人を描いたものです。
描かれている姿は小さく、周囲の自然に溶け込んでいるように描かれています。
明恵は動物や自然をこよなく愛する人だったといいます。
高山寺と《鳥獣戯画》
高山寺執事長の田村さんによると、《鳥獣戯画》が描かれた目的はよく分かっていないといいます。
それだけではなく、どうしてこのお寺に辿り着いたかも分かっていないのだそうです。
また絵巻は長い年月の中で何度も危険にさらされてきたといいます。
高山寺にはこのような言葉が残されているといいます。
「戦乱の時に足軽共が寺に火を放ち、絵巻がところどころ焼けて無くなってしまった。
残ったものを僧侶たちが拾い集め、この寺に置いた」
画像出展元:テレビ番組「謎の国宝 鳥獣戯画 “楽しい”はどこまで続く?」より
絵巻に見られるどこか不自然な継ぎ目は、焼失を逃れた部分を集めて繋ぎ合わせた事によるものだったのです。
《鳥獣戯画》は昔から、人々の手によって必死に守られてきたものだったのです。
画像出展元:テレビ番組「謎の国宝 鳥獣戯画 “楽しい”はどこまで続く?」より
現在高山寺には《鳥獣戯画》の複製が展示されており、訪れる人の目を楽しませています。
修復から見えてきた《鳥獣戯画》
画像出展元:テレビ番組「謎の国宝 鳥獣戯画 “楽しい”はどこまで続く?」より
京都市にあるこちらの工房では、2009年から《鳥獣戯画》の修復作業が行われました。
修理を担当した大山さんによると、「こんなに傷んでいるのか」とその状態に驚愕したといいます。
画像出展元:テレビ番組「謎の国宝 鳥獣戯画 “楽しい”はどこまで続く?」より
折れやシワ、そして毛羽立ちがものすごく、本当に信じられないほどだったそうです。
それだけ多くの人が見てきた絵巻だったいうことでしょう。
絵巻というのは実際に手に触れて鑑賞するものなので、シワも毛羽立ちも巻き解きする際にできやすいのです。
今回の記事は一旦ここまでです。
続きはパート3で!
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コメント
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[…] と、長くなりましたので一旦パート1の記事はここまでにします。 続くパート2では甲巻の後半部分のストーリーについてまとめていきます。 こちら☚からご覧いただけます。 […]