【アートステージ】新年 寿ぎの名画 「松竹梅」揃い踏み【美術番組まとめ】

アート・ステージ

2020年1月11日にTOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」の【新年 寿ぎの名画 「松竹梅」揃い踏み】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション

「松竹梅」という言葉はご存知でしょうか。
この三つの木はめでたさの象徴として、日本画の重要なモチーフとされてきました。

今回は「松竹梅」にちなんだ、おめでたい作品をご紹介していきます。

ちなみに「松竹梅」という言葉は中国から伝わりました。
宋(そう)の時代以降、中国の絵画では歳寒三友(さいかんさんゆう)というテーマがよく描かれてきました。
三友というのは「松竹梅」を指します。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

厳しい風雪に屈しない「松竹梅」を、苦難の中でも気品高く生きるという理想と重ね合わせたのです。
奈良時代になり「歳寒三友」が日本に伝わりました。
その後、徐々に意味合いが変化していき、「めでたさを象徴するもの」となりました。

「松」にちなんだ作品

国宝《雪松図屏風》円山応挙、三井記念美術館

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

まずは毎年お正月の時期に東京・日本橋の三井記念美術館で公開される、国宝《雪松図屏風》です。
読み方は「ゆきまつずびょうぶ」です。
寒い冬でも青々と葉をつける松は、不老長寿の象徴として古くから大事にされてきました。

描いたのは江戸時代後期に京都で活躍した円山応挙です。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

右隻(右側の屏風)に描かれているのは、樹齢を重ねた老松です。
天を目指して伸びる堂々とした姿が印象的で、男性的な力強さを表しているとも言われます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

一方の左隻(左側の屏風)に描かれているのは、まだ若い松の木です。
こちらは力強さよりも、しなやかさや優美さを感じられ、女性的な落ち着きを感じます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

しかし対照的なのは描き方だけではありません。
右の老松には、幹の質感や松葉の鋭さを見せるために雪を少なく積もらせています。
一方左の若い松は雪を多く降り積もらせ、冬らしさを演出しています。

そしてこの作品で見事なのは「雪」の表現です。
一見すると描いた松の上に白い絵具で雪を表したように見えますが、じつはこの白い部分は元の紙の白い部分を残してるだけなのです。
応挙は何も描かずにして、雪を描いているのです。

よくこんなすごい事ができるものだなぁ

是非その部分に注目して、本物を鑑賞してみて下さい。
この作品を見ると、すがすがしい冬の空気感を感じられます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

霧のように散らされた金泥にも注目してみて下さい。
雪が陽の光を受けて反射しているそのきらめきを表現しているのです。

新年にふさわしい、京の伝統が生んだ気品ある作品です。

「竹」にちなんだ作品

続いてご紹介するのは「松竹梅」の「竹」にちなんだ作品です。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

中国絵画の定番の一つ、『竹林の七賢人(ちくりんのしちけんじん)』はその代表的なものといえます。

竹林の七賢人』とは、俗世を離れて、竹林のもとで詩を詠み、酒や音楽を嗜む趣味人たちの事です。
そこには人々の”人生の理想像”が託されています。

《竹林七賢図》雪村、1550年代、メトロポリタン美術館蔵

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

雪村(せっそん)は室町時代後期から、戦国時代にかけた活躍した日本の絵師です。
(生没年は、1504年?から1589年です)
「あの有名な雪舟とよく似た名前だな」と思われた方もいるでしょう。
実は雪村自身、雪舟の影響を受けた画家なのです。
近年特に再評価をされ、人気が高まっています。

タイトル通り、「竹林の七賢人」を主題に描かれています。
スッと伸びた竹林に集う人々。一人一人の表情が生き生きと描かれています。
ある者は踊り、ある者は笛を吹き、作品からはそのざわめきまで聞こえてきそうです。
人々と一緒に描かれている竹も、リズムに合わせて動いているかのようです。

雪村の持ち味は人々への温かいまなざしとユーモアと言えるでしょう。
その中に大胆な部分と細かな部分が共存し、唯一無二の画風になっています。

「梅」にちなんだ作品

梅は寒い中に花を咲かせることからめでたいものとされてきました。
最後にご紹介するのは、「松竹梅」の「梅」にちなんだ作品です。

国宝《紅白梅図屏風》尾形光琳、MOA美術館

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

国宝《紅白梅図屏風》です。
琳派の巨匠、尾形光琳が晩年に描いた最高傑作です。

描かれているのは、紅白それぞれ花を咲かせる2本の梅です。
画面中央には右隻・左隻とまたがって、大きな川の流れが見えます。
それらが金の背景の上に描かれています。

左隻には白い花をつけた老梅が、右隻には若々しい紅梅が描かれています。
単純化されて描かれた梅の花は、のちに「光琳梅(こうりんばい)」と呼ばれブームとなりました。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

木の幹は、質感が伝わるほどにリアルに描かれています。
光琳はこの質感を表現するために、たらしこみなど様々な技法を用いています。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

中央にまたがる河は、まるで大蛇のようにうねっています。
模様は渦巻き模様をしており、まるで柄のように描かれています。
今は黒色に見えますが、元々は銀箔で表現されていました。

展覧会「国宝 雪松図と明治天皇への献茶」

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

こちらの展覧会は2020年1月30日㈭まで、日本橋の三井記念美術館で開催されています。
今回は元号が「令和」になって最初の新年という事で、天皇や皇室にゆかりのある品を展示しています。

三井記念美術館は、旧財閥の三井家の名品を所蔵しています。
そのなかでも茶道具が特に有名です。
今回の展覧会の目玉は、明治20年に三井家が明治天皇へ献茶を行ったときにの茶道具の展示となっています。

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