【日曜美術館】日本絵画傑作15選パート3【美術番組まとめ】

日曜美術館

2020年6月にNHKで放送された「日曜美術館」の【蔵出し!日本絵画傑作15選】をまとめました。
今回の記事では6月7日放送の《山越阿弥陀図》と翌週14日に放送された《一遍聖絵》についてまとめていきます。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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国宝《山越阿弥陀図》


国宝《山越阿弥陀図》
禅林寺所蔵

京都東山にある禅林寺
禅林寺は通称「永観堂」とも呼ばれています。

見返り阿弥陀様が有名ですね。

末法思想が広がり、浄土信仰が高まりを見せた平安末期から鎌倉時代。
救いを求めた人々が増え、「来迎図(らいごうず)」が頻繁に描かれました。
来迎図」は阿弥陀如来が亡くなった人を迎えに来ている場面です。

その中でも禅林寺の《山越阿弥陀図(やまごしあみだず)》は独自のスタイルです。
仏様の御姿が山の向こうから現れています。

臨終の際に死にゆく人の傍に置かれ、極楽浄土への旅立ちを演出するものとして使われていました。


仏様の御顔立ちは力強い線ではっきりと描かれています。
また、体の輪郭には截金が施されています。
これにより如来から放たれる光と、浄土の光を見るものに感じさせます。


阿弥陀如来より先に雲に乗って降りてくるのは、そのお供の者たちです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

向かって左に見えるのが勢至菩薩(せいしぼさつ)です。
その衣服や装飾には優美で繊細な模様があしらわれており、質感まで伝わるようです。


右側に見えるのは、観音菩薩(かんのんぼさつ)です。
手には浄土への乗り物の蓮台が見えます。


険しい表情の四天王の姿も見えます。
強大な力で極楽浄土へ向かう死者を守ってくれるようです。


この《山越阿弥陀図》に見られる独特な構図は、山に囲まれた京都の地形と密接な関係がありました。
所蔵する寺の禅林寺西方浄土があるという西側を向いています。

つまり山の背後に現れた巨大な阿弥陀如来には、西の山に沈む太陽が重ねられていたのです。

古来より日本人は『山岳信仰』という言葉があるように、「山=神が宿る神聖な場所」と考えてきました。
それは阿弥陀如来に手を合わせる事で、同時に山と太陽にも手を合わせているという事になるのです。
自然に聖なるものを見つめる、日本人ならではの感性が生み出した仏の姿なのです。

過去の記事で永観堂についてまとめています!
よろしければこちらもご覧ください☟☟
【ぶらぶら美術・博物館】⑥永観堂【永久保存版!冬の京都旅】

国宝《一遍聖絵》

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

一遍聖絵(いっぺんひじりえ)》とは鎌倉時代中期の僧侶であり、時宗(じしゅう)の開祖である一遍(1239-1289)の生涯を描いた絵巻です。国宝に指定されています。

全部で12巻あり、全て広げるとその長さは130メートルになります。

16年間旅を続けた一遍の歩みが、北は東北から南は九州の端までリアルに描かれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

武士の家に生まれた一遍は10歳の時に出家します。
25歳の時に父親が亡くなったのをきっかけに武士に戻りますが、一族の所領争いに悩み33歳の時に再び出家します。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

寺に籠もること3年。
一遍は「念仏を唱え続ければ、仏と一体化できる」と悟ります。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

その教えを広めるために一遍は旅に出ます。
全国の人々を救うために「南無阿弥陀仏」と書かれた札を配って回りました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

絵巻にはその土地土地の様子が克明に描かれています。
ここで描かれているのは備前国(岡山)の市場の様子です。

この市場では魚をさばいて売る人や米を升で測る人、反物を選ぶ女性など当時の日常がリアルに描かれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

そのリアルさは良い面ばかりを描いた訳ではありません。
こちらの場面では路上に座る半裸姿の貧しい人々も描かれています。
顔を隠している人がいますがその理由は、ハンセン病を患っているからだと考えられています。

そんな境遇の人々にも一遍は救いの手を差し伸べました。


こちらは京都の場面が描かれています。
人々が集まり、念仏札がどれほど人気だったのかが分かります。


あまりの混雑に一遍は担がれて札を配っています。

16年間の全国行脚で述べ250万人に念仏札を配ったと言われています。
その後”唱える念仏”は”踊り”へと変化します。

盆踊りの元になったといわれる「踊り念仏」です。

歴史の授業でよく見た場面ですね。

中央付近、右から三番目の褐色色の肌の人が一遍です。
彼の周りの人は笑顔で嬉しそうに踊っていますが、一遍は笑顔ではなく暗い表情にも見えます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

じつは一遍は旅を始めた頃には、超一(ちょういち)超二(ちょうに)というお供がいました。
2人は一遍妻子だったいう説があります。

しかし一遍は旅の途中で二人と別れてしまいます。
そこには「一切を捨てないと本当の悟りに達する事は出来ない」という一遍の思いがあったと考えられます。


踊り念仏を踊る一遍の表情にはその孤独の深さ、求めるものの激しさが表れているのです。

今回はここまでです。
次の記事では「蔵出し!傑作選」の7作目・雪舟山水長巻》と8作目・狩野永徳唐獅子図屏風》についてまとめます。
こちら☚からご覧頂けます。

コメント

  1. […] 今回の記事はここまでです。 続くパート3では、禅林寺(永観堂)所蔵の《山越阿弥陀図》についてまとめています。 こちら☚からご覧頂けます。 […]

  2. […] 2020年6月14日にNHKで放送された「日曜美術館」の【蔵出し!日本絵画傑作15選 二の巻】の回をまとめました。 今回の記事はパート4になります。 前回のパート3はこちら☚からご覧いただけます。 […]

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