2020年3月21日にTOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」の【ロンドン・ナショナル・ギャラリーの名品で巡る イギリス肖像画の世界】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
今回はパート2です。前回のパート1はこちら☚からご覧頂けます。
*「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」は開幕が延期となっております。
詳細は展覧会公式HPをご確認ください。
イントロダクション(イギリス美術史)
絵画後進国と言われていたイギリスでは、歴代国王が国外から腕の立つ画家を呼び寄せて、宮廷画家にしていました。
《大使たち》1533年
ハンス・ホルバイン
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
(*こちらの作品は「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」には出展されていません)
有名なこちらの作品を描いたハンス・ホルバイン(Hans Holbein the Younger、1497/1498-1543)は元々はドイツの出身ですが、イングランド王ヘンリー八世に招かれて彼の宮廷画家になっています。
特に後世に多大な影響を与えたのが、フランドル出身の画家アンソニー・ヴァン・ダイク(Anthony van Dyck、1599-1641)でした。
どことなく山本耕史さんに似ていますよね!
『王の画家にして画家の王』といわれた巨匠ルーベンスの一番弟子の彼は、若い頃から高く評価されていました。
《チャールズ1世騎馬像》1637-38年頃
アンソニー・ヴァン・ダイク
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
(*こちらの作品は「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」には出展されていません)
そんなヴァン・ダイクに白羽の矢を立てたのが、芸術に造詣の深かったイングランド国王のチャールズ一世でした。
上の肖像画の人物ですね!
ヴァン・ダイクの特徴は、何と言ってもルーベンスさながらの華やかな筆さばき。
そしてイタリア絵画から習得した優雅な色彩感覚でした。
《チャールズ1世の肖像》1635年頃
ヴァン・ダイク
ルーヴル美術館蔵
(*こちらの作品は「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」には出展されていません)
そこには従来の伝統的な堅苦しさは見られず、彼の描いた肖像画はその後のイギリス絵画に長きにわたり影響を与えました。
”イギリス絵画はヴァン・ダイクから始まった”とも言えるでしょう。
画家:ジョシュア・レノルズ
イギリスでは18世紀に入ると、ヴァン・ダイクの影響の下で肖像画が花開いていきます。
ジョシュア・レノルズ(Sir Joshua Reynolds、1723-1792)はパート1でご紹介したトマス・ゲインズバラのライバルとしてしのぎを削っていた人物です。
彼はゲインズバラより4歳年上でした。
《レディ・コーバーンと3人の息子》1773年
ジョシュア・レノルズ
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
美しく輝く肌で描かれた母親と、寄り添う愛らしい3人の息子たち。
親子の愛情が上品に表現されています。
モデルとなったレディ・コーバーン(本名:オーガスタ・アスキュー)は裕福な牧師の家庭に生まれ、20歳の時に自分より20年上のサー・ジェームズ・コーバーンと結婚します。
コーバーンはその後破産してしまいますが、描かれている3人の子供たちは陸軍大将や海軍大将になるなど立派に成長しています。
この作品を描くに際し、レノルズにはあるアイディアがありました。
聖母子像に見られる伝統的なテーマを取り入れたのです。
レノルズはイギリス・ロイヤル・アカデミーの初代会長も務め上げた人物です。
よって、西洋美術史にもかなり精通していました。
《慈愛》1627-28年頃
アンソニー・ヴァン・ダイク
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
(*こちらの作品は「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」には出展されていません)
この《レディ・コーバーンと3人の息子》は上のヴァン・ダイクの作品から着想を得ていると考えられます。
それまでの威厳ある宗教画や歴史画のような格調高い様式を、ありふれた親子像に取り入れたのです。
ジョシュア・レノルズの名言
彼の事を調べていく中で、すてきな言葉を残していましたのでご紹介したいと思います。
「あなたが偉大なる才能を持っているならば、勤勉がそれを素晴らしいものにするだろう。あなたが普通程度の能力しかないのなら、勤勉がその不足を補うだろう」
(If you have great talents, industry will improve them; if you have but moderate abilities, industy will supply their defency.)
良い言葉だなぁ~
要はどのみち勉強しなさい!という事ですね。
今回はここまでです!
最後までご覧頂きありがとうございました。
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