2020年5月16日にテレビ東京にて放送された「新美の巨人たち」の【「今こそアートのチカラを①」西洋美術で安らぎと勇気を!ミケランジェロ&ドラクロワ&モネ】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
「美の巨人たち」として放送が始まってから20年。
今回は過去番組で取り上げた1000を超える作品の中から、選りすぐりの傑作が紹介されました。
- ミケランジェロ《ピエタ》
- ドラクロワ《民衆を導く自由の女神》
- モネ《睡蓮》
《ピエタ》ミケランジェロ
《ピエタ》1498-1499年
ミケランジェロ・ブオナローティ
サン・ピエトロ大聖堂
カトリック教会の総本山である、サン・ピエトロ大聖堂。
世界最大級の教会建築といわれています。
今回ご紹介する《ピエタ》は、こちらの大聖堂正面の入り口付近で圧倒的なオーラを放っています。
”ピエタ”は「慈悲」という意味のイタリア語です。
聖母マリアが抱きかかえるのは、すでに息絶えて十字架から降ろされたイエス・キリスト。
この彫刻は一個の大理石から掘りおこされて制作されています。
しかし石でできているとは思えないほど、温かく柔らかな印象です。
その神々しい姿は国も宗教も思想も関係なく、誰もが祈りを捧げたくなるような、静かな美しさに満ちています。
さらに驚くべきはミケランジェロが《ピエタ》の制作に取り掛かったのが若干23歳の時だったという事です。
ミケランジェロ・ブオナローティ
画像出展元:wikipedia「ミケランジェロ・ブオナローティ」より
ミケランジェロ(1475-1564)はイタリア・ルネサンス期に活躍した芸術家です。
彼の才能は、彫刻・絵画・建築・詩と多岐に渡るものでした。
レオナルド・ダ・ヴィンチとラファエロ・サンティと共に『ルネサンスの三巨匠』と呼ばれています。
そんなミケランジェロの性格は気難しいものだったといいます。
《階段の聖母》1491年頃
ミケランジェロ・ブオナローティ
こちらはミケランジェロが16歳の時に作ったレリーフです。
手前から奥にかけて彫りの深さを変えていくことで、遠近感を表現しているのが分かります。
様々な分野で才能を発揮したミケランジェロですが、自身は彫刻が本業だと考えていました。
また、制作作業は弟子も取らずに一人で行っていたため、作品数もそれほど多くはないのです。
こちらはシスティーナ礼拝堂の天井画です。
描かれているのは『天地創造』の物語。
こちらもほぼミケランジェロ一人で4年かけて描かれました。
祭壇には『最後の審判』。
キリストの裁きの瞬間が14メートル×12メートルの大画面に表されています。
制作の背景
ミケランジェロは1498年、バチカンの枢機卿ジャン・ド・ビレール・ド・ラグロラ(1435/1439-1499)と「ピエタ」の制作を契約します。
この時枢機卿は60歳前後。
「ピエタ」はこの枢機卿のお墓を飾るための彫刻として依頼されたのです。
枢機卿は教皇に次ぐ権力者です。
彫刻家としての力量を示す最大のチャンスがミケランジェロに舞い込んだのです。
制作開始から1年で《ピエタ》は完成します。
公開されるとローマ中で大評判になったといいます。
《ピエタ》のすごさ
この作品のすごさの一つは、”細部の表現”だといいます。
その技術が写実的な迫力を生み出しているのです。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
衣類のひだの部分は人間業とは思えない仕上がりです。
とても大理石から作られたとは思えない、やわらかい質感が感じられます。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
キリストの足と布の間の隙間もしっかりと彫られています。
このようなディテールが作品に劇的な凄みを与えているのです。
それ以外にも、命を失ったキリストの脱力感や魂の痕跡を感じられる血管の表現など。
ミケランジェロ以前にここまで緻密な表現をできる彫刻家はいませんでした。
三角構図
レオナルド・ダ・ヴィンチが考案したもので「三角構図」というものがあります。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
この三角構図は三角形の中に人物を収めて、画面に安定感をもたらすという手法です。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
ミケランジェロは《ピエタ》にこの三角構図を取り入れています。
聖母マリアの体を大きくしたり、キリストの上半身を起こすことで三角形の中に全体が収まるようにしているのです。
彫刻作品に三角構図が取り入れられた最初の作例と言われています。
《ピエタ》は亡くなったキリストを抱えるマリアという本来であれば悲しい主題です。
しかしミケランジェロはそこに”安らぎ”や”慈しみ”という、さらに深い感情を表現しているのです。
《ピエタ》の記事はここまでです。
続くパート2ではドラクロワの《民衆を導く自由の女神》、そしてモネの《睡蓮》についてまとめていきます。
こちら☚からご覧いただけます。
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