【アートステージ】アンリ・マティス【美術番組まとめ】

アート・ステージ

2020年6月27日にTOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」の【アンリ・マティス 色彩の魔術師が奏でた音楽】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

色彩の魔術師」と呼ばれたアンリ・マティス(1869~1954)。
彼は常に新しい表現に挑み続けました。

ピカソマルセル・デュシャンと並んで、20世紀初頭の革新的な三大アーティストの一人に数えられています。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

今回の記事では、晩年のマティスが到達した”切り絵”作品についてまとめていきます。

連作『ジャズ』

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

巨匠アンリ・マティスが奏でた色彩の音楽。
こちらはマティスの連作『ジャズ』です。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

単純化されたフォルムとシンプルな色彩。
それにより、はじけるような躍動感を生み出しています。

この作品、じつは絵筆で描かれたものではなく、切り抜いた紙を貼り付けて作られた”切り絵”なのです。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

若い頃から色彩と線の調和を追求してきたマティスにとって、色の付いた紙をハサミで切る事は、色を塗る作業と輪郭線を引く作業を同時にできる、理想的ともいえる表現方法だったのです。

私はハサミでデッサンする
マティスはこのような言葉を残しています。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

マティスが手掛けた連作『ジャズ』のシリーズ。
しかし、このタイトルはマティス自身が付けたものではありませんでした

彼は元々、この連作を”サーカス”のイメージで製作していました
この作品では、サーカスの躍動感や心躍る雰囲気を表現しようとしています。

ジャズ』というタイトルを付けたのは、マティスの切り絵をまとめて本にした出版社でした。
このタイトルを聞いたマティスは「アートと音楽の融合を感じさせる非常に素敵なタイトルだ」と言い、喜んだといいます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

マティスが『ジャズ』連作に取り組んだのは、晩年、70代になってからでした。

マティス《帽子の女》

マティスは元々、画家として絵を描いていました。
若い頃はフォーヴィスムのリーダー的存在として、鮮やかな色彩の作品を描いています。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

そんな彼が”切り絵”という新境地に辿り着いたきっかけ。
それは大病を患ったのが理由でした。

1941年にがんを患い、手術を受けたマティス
以降ほとんどの時間を、ベッドと車いすで過ごす事になります。
そこで彼は体力を要する絵画制作から、切り絵へとシフトし、旺盛な制作を始めました。

絵筆をハサミに持ち替えたマティスは、「切り絵こそ自分の理想にぴったりだ」と気づくのです。
平面性と自由な色彩を追求したマティスにとって、切り絵はこれ以上ない表現方法だったのです。
彼は不自由を逆手に取って、自由な表現を手に入れたのです。

マティスの師 ギュスターヴ・モロー

マティスは若い頃、フランス象徴主義の巨匠、ギュスターヴ・モローに師事していました。
モローマティスの作品について「君は絵画を単純化するだろう」と言ったといいます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

マティスの切り絵は、まさにシンプルな形と色彩で構成されています。
モローは、マティスの芸術の行く末をすでに見抜いていたのです。

マティス《リュート》


《リュート》1943年
アンリ・マティス
ポーラ美術館蔵

こちらの《リュート》という作品は、マティスが連作『ジャズ』を制作していた頃に描かれた油彩画です。

まず飛び込んでくるのは、画面全体の目が覚めるような鮮烈な色彩です。
遠近法は無視され、奥行きのない表現になっています。

”平面性”と”色彩”
まさにマティスの理想を表した一枚です。


全体に施された朱色の下には、黄色で下塗りがされており、鮮やかさが際立っています。
壁紙や絨毯の上には葉の形の装飾文様とアラベスクが施され、独自のリズムを生み出しています。


画面中央には大輪のアジサイの花。
葉が大きく描かれ、デフォルメされたその形には生命感が溢れています。

タイトルの『リュート』とは、女性が手にしているギターのような楽器の事です。

女性は爽やかな色のドレスに身を包み、リュートを演奏しています。
その姿はまるで、生きる喜びを歌い上げているようです。

マティスは自身の絵画論について次のように語っています。
私は色彩だけでリズムを表現しようとした
まさにこの《リュート》を語るのに、相応しい言葉と言えるでしょう。

また次のような言葉も残しています。
作曲家が譜面に和音を置いていくように、平面に色彩を置いていきたかったんだ

この作品では鮮やかな朱色が主旋律であり、様々な色彩が装飾音として配されています。
まさに色彩の演奏家マティス彼は色と形で目に心地よい音楽を奏でたのです

マティスの師 ギュスターヴ・モロー

ギュスターヴ・モロー

マティスフランス象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モローに師事しました。
同じくモローに師事した画家には、宗教画を数多く描いた事で知られるジョルジュ・ルオーがいました。

モロー《出現》

幻想の世界を表現したモローの作品は、イタリア・ルネサンスやジャポニズムなどをよく研究した上で描かれたものです。

そんなモローが育てた教え子が、20世紀を代表する画家となったマティスルオーだったのです。
しかし3人とも絵のテイストが全く違うのが面白いところです。

個性を伸ばす教育をした、師匠モローの功績と言えるでしょう。


《室内:二人の音楽家》1923年
アンリ・マティス
ポーラ美術館蔵

マティスの色彩鮮やかで、軽やかな作品。
彼は線を単純化し、鮮やかな色彩の斬新な作品を描き続け、前衛芸術への道を切り開きました。

今回の記事はここまでになります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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