2020年6月20日にTOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」の【ジョルジュ・ルオー 20世紀最大の宗教画家が描く「聖なる絵画」】の回をまとめました。
今回の記事はパート2になります。
前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
ルオー《エクソドゥス 道のりは長い》
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
生涯に渡って、キリスト、そして聖書にまつわる作品を描いたジョルジュ・ルオー。
彼の作品にはいつも苦難の中にいる人々への共感が込められています。
こちらの《エクソドゥス 道のりは長い》という作品。
「エクソドゥス」とは、『旧約聖書』の『出(しゅつ)エジプト記』の事で、エジプトを追われたモーセとイスラエル人たちの脱出の物語です。
この主題は西洋絵画で頻繁に取り上げられてきました。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
しかし、描かれている人たちの姿を見ると、決して聖書の時代・古代の姿をしていないのが分かります。
実はルオーが描いたのは、”現代に置き換えられたエクソドゥス”だったのです。
ここでは貧困や戦争など、人間社会の営みによって居場所を追われたがために、移動を余儀なくされる人々が、聖書のエピソードと重ね合わせて描かれているのです。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
決して明るい表情とはいえない中でも、一歩一歩、歩みを進める人々。
後方の太陽が、そんな人々をまるで勇気づけるかのように照らしています。
ルオー《マドレーヌ》
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
こちらはルオーが亡くなる2年前に描かれた《マドレーヌ》という作品。
晩年のルオーは女性像を頻繁に描いていました。
描かれているのはサーカスの人気女道化師のマドレーヌです。
サーモグラフィを思わせる暖色系の色をメインに、所々使われた青や緑の寒色が響き合い、キャンバスに光をもたらしています。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
あたたかく微笑むマドレーヌの表情は、生きとし生けるものへの慈しみに満ちています。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
ルオーは生涯、自分独自の芸術を追求しました。精神性に溢れた彼の作品は祖国フランスのみならず、日本をはじめ世界中から愛されたのです。
ルオーと日本展@パナソニック汐留美術館
ここからは2020年に東京のパナソニック汐留美術館で開催された展覧会「ルオーと日本展」についてまとめていきます。
パナソニック汐留美術館は、素晴らしいルオーコレクションがあるのでも有名ですね!
日本でルオーが集中的に取り上げられたのは、今から90年ほど前になります。
特に1934年に開催された「福島コレクション展観」では、当時の若い画家がルオーの作品をみて、影響を受けています。
一方ルオーは日本美術に関心を抱いており、錦絵を模写したり、日本の芸術家や画商と交流を結んでいました。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
この展覧会では、「なぜルオーが日本で愛されているのか」、その問いに迫るものだと学芸員の方は言います。
日本と関係の深いルオー作品のみならず、彼から影響を受けた近代日本画家の作品も展示しながら、ルオーが日本美術史に果たした役割に迫る展覧会です。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
こちらはルオーが描いた《日本の武士(武者絵)》。
西洋の画家が武士の絵を描いているってすごいですね!
速い筆でさっと描かれた造形ですが、馬の脚の躍動感など、ルオーの高い技量が見られる作品です。
背景の青、鎧の薄緑と緑、赤の差し色といった配色からも、優れた色彩感覚が見受けられます。
「ジャポニスムとルオーの表現が融合した、見どころの多い作品です」(学芸員・萩原氏)
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
松本竣介もルオーから影響を受けた日本の近代画家の一人です。
松本はルオーを非常に愛好しており、自身の作品にルオーの表現を取り入れています。
《郊外》と題されたこちらの作品では、ルオーの中期の作品の特徴である、絵具を塗って削ってを繰り返す技法が使われています。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
絵具を塗って削ってを繰り返す技法で描かれた、ルオー中期の代表作《ピエロ》。
背景に沢山の青が使われていたり、衣服の白も様々な色が混ざっていて、ルオーがいかに色彩にこだわっていたかが分かります。
この作品は日本のコレクター福島繫太郎が雑誌を通じて日本に紹介したもので、日本とも縁の深い作品です。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
最後にご紹介するのは、ルオーの《青髭》という作品。
こちらは晩年に描かれた一枚です。
晩年になると、ルオーは絵具を塗り重ねた厚塗りのスタイルになっていきました。
特にこの《青髭》はその特徴をよく表しています。
また人物を画面いっぱいに真正面から描くのも、晩年のルオー作品に多く見られる特徴です。
今回の記事はここまでになります。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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