【日曜美術館】日本絵画傑作15選パート7【美術番組まとめ】

日曜美術館
《雪松図屏風》右隻

2020年6月21日にNHKで放送された「日曜美術館」の【蔵出し!日本絵画傑作15選 三の巻】の回をまとめました。
今回の記事はパート7になります。
前回のパート6はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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国宝《雪松図屏風》円山応挙


国宝《雪松図屏風》1786年
円山応挙
三井記念美術館蔵

「蔵出し!傑作選」の13作目は円山応挙が描いた、国宝《雪松図屏風》です。

円山応挙(1733-1795)は江戸時代中期から後期にかけて京都で活躍した絵師で、「からくり絵師」とも呼ばれます。

《雪松図屏風》左隻

雪松図屏風》で描かれているのは、雪が降り止み晴れ渡った冬の朝の情景です。
左の松は若い松で、右側は老木の松です。
二本の松には真綿のような雪が積もります。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

松の根元に見えるのは金砂子です。
冬の日の光が雪に反射してきらめく様子を表現しています。
そこからは澄んだ大気感までも伝わってくるようです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

松の木に積もる雪は白い絵具を使って描かれたものではありません
元々の紙の白色を残す事で表現しているのです。
描かずにして描いている」と言えるでしょう。

《雪松図屏風》右隻

雪化粧をし生き生きと輝く松を目の前で実際に眺めているような、そんな感覚にさえ陥ります。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

リアルを追求した応挙は、雪にうずもれた葉の奥行きまでも薄い墨で表わしていたのです。

それまでの絵画で”松の裏側”が描かれるという事はほとんどありませんでした。
応挙によって枝を下から見るような形が表現が完成されたのです。
松の裏側を描くという事は、すなわち絵に奥行きが生まれる事になるのです。

二次元の屏風で三次元の空間を表現しようとする応挙の工夫が見られます。

《大瀑布図》円山応挙

応挙は鑑賞者に二次元の絵から三次元の空間を感じさせるために試行錯誤を行いました。

画像出展元:ホームページ「総本山圓満院門跡」より

こちらの《大瀑布図(だいばくふず)》、巨大な滝が描かれた作品です。
じつはこの作品、三次元を体感させる為の仕掛けが施されているのです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

この絵は画像のように下の部分が折れ曲がる事を想定して描かれているのです。
実際に収められていたお寺の釘の高さに合わせると、このようになるのです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

これにより上から落ちてくる瀧の水の流れが、滝つぼへと落ちていく様を鑑賞者は体感できるのです。

まさに体感型アートですね。江戸時代のチームラボ的な感じだったんでしょうね!

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

雪松図屏風》でも応挙は屏風の折り目を生かして、臨場感を演出しています。

《動植綵絵》伊藤若冲

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

「蔵出し!傑作選」の14作目は伊藤若冲の『動植綵絵(どうしょくさいえ)』です。
全30幅からなる日本画で、ありとあらゆる動植物が描かれています。

『動植綵絵』の内「群鶏図」

描かれているのは真っ赤なとさかの鶏たちです。
若冲は鶏たちを庭に放し、一年間観察に徹して、それから描き始めたというエピソードがあります。

色彩は250年前に描かれたとは思えない、強烈な鮮やかさを放っています。

羽の模様は首から尻尾まで緻密に描き込まれています。
そのリアルな表現は質感も伝わってくるようです。

2011年に番組に出演した嵐の大野智さんは、若冲の作品について「一個もムラがない、焦点が全部に当たっている」と話しています。
大野さん自身も絵を描くとの事で、細かく描く部分と「ここはこんなもんでいいか」とする部分があると言います。
大野さんは若冲の作品の中にムラのある部分を探したと言いますが、見つからなかったといいます。

若冲は隅から隅まで全てにおいて手を抜くことなく描いていたのです。

《諸魚図》と《群魚図》

『動植綵絵』の内「諸魚図」

『動植綵絵』の内「群魚図」

こちらは『動植綵絵』の中の魚が描かれた2幅です。
様々な魚が描かれたこの作品、見慣れた魚から珍しい魚まで描かれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

しかしこれらの魚、34種類はすべて同定する事ができるといいます。
ちなみにこちらの黄色の魚は”ウミテング”というそうです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

ここに描かれているアンコウは面白い点があります。
本来アンコウの胸ひれというものは大きく開いているといいます。

しかし若冲の描いたアンコウは波打ったような形になっています。
これは若冲の見たアンコウは天日干しにされて、ひれが縮んでしまった状態を見て描いた可能性が考えられます。

実際に江戸時代にはアンコウをはじめ、珍しい形をした魚を天日で干して見世物にしたという記述が残されています。

こちらのイカはコウイカと呼ばれる種類です。
コウイカは死んでしまうと、触腕(しょくわん)という長い腕のようなものが伸びます。
つまりこのコウイカも死んでしまっている状態を描いているのです。

若冲は死んでしまっている魚にも生きている魚と同じ情熱で、息吹を吹き込んでいたのです。

10年の歳月をかけて仕上げられた『動植綵絵』。
若冲は情熱を込めて絵を描く事で、生きる事に精一杯自分自身に近づけたのです。
それはある種宗教的な境地のようなものでした。

《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》葛飾北斎

北斎最晩年の自画像

19世紀末のヨーロッパで”世界で最も独創的な画家”として称賛された日本人絵師がいます。
それがご存知、葛飾北斎(1760~1849)です。

その彼の代表作と言えば『富嶽三十六景』です。
様々な場所から見た富士山描いたこの作品。

「蔵出し!傑作選」の15作目はその中でも最高の一枚。
富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》です。

描かれているのは、波、小舟、富士山の3つのモチーフです。
主役であるはずの富士山ははるか遠くに描かれています。
そして小舟は荒れ狂う波に翻弄されています。

この絵の中で最も印象的なものは、まるで爪のように表現されたです。
この波にはインパクトを生み出すために、大波全体から波の盛り上がる部分からその頂点、そして波の先端まで大小の同じ弧で形作られているのです。

この波は海外でも有名で、「グレートウェーブ」と呼ばれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

こちらはサーフィンフォトグラファーのU-SKE SUZUKIさんが撮影した写真です。
波が崩れるその瞬間を捉えています。

《神奈川沖浪裏》と同じ波の形ですね!

北斎の目はカメラのない時代にもかかわらず、このような決定的瞬間を捉えていたのです。

漫画家のしりあがり寿さんはこの作品について、「世界中の人が”波”と言えばこの作品を思い浮かべるという事は、見えるものを写すという事を超えている。”波という概念”を絵にしている」と言います。

いかがでしたでしょうか。
今回の記事は以上になります。

最後までご覧頂きありがとうございました。

「日曜美術館」のこの回以外の記事もアップしています!
こちら☚から一覧をご覧いただけますので、是非ご覧ください(*^-^*)

コメント

  1. […] 今回の記事はここまでになります。 続くパート7では円山応挙の《雪松図屏風》からまとめていきます。 こちら☚からご覧頂けます。 […]

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