2020年4月21日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#345 祝!10周年スペシャル 春の熱海アートツアー②〜名建築!文豪の愛した起雲閣と隈研吾の海峯楼、10年間大回顧ベスト3!〜】の回をまとめました。
今回のパート1では隈研吾氏が手掛けた熱海の名建築『ATAMI海峯楼』、そして「10年間大回顧展」の出演者皆様の3位の作品をまとめていきます。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
ATAMI海峯楼
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
ATAMI海峯楼(かいほうろう)は熱海駅から歩いて10分ほどの高台にある名建築です。
設計を手掛けたのは、新国立競技場の設計も手掛けた隈研吾氏です。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
このATAMI海峯楼の中にこちらのガラス張りのレストランがあります。
こちらは宿泊客が食事を取るためのレストランです。
何ここ⁉めちゃくちゃお洒落じゃないですか!
こちらの建物は元々、1995年に企業のゲストハウスとして造られました。
その後2010年からホテルとして営業しています。
一日の宿泊わずか4組限定!
山田五郎氏曰く
「全然予約が取れない!」だそうです。
料金は、2名1室2食付きで約15万円です。
お高いですね~
でも絶対行ってみたい!!
こちらの建築のテーマは「水とガラス」となっています。
ブルーノ・タウトと隈研吾氏
隈研吾氏がこのガラスの部屋を作ったきっかけはドイツ人建築家のブルーノ・タウトの影響でした。
ブルーノ・タウトは1933年(昭和8年)に来日し、仙台に設立された商工省工芸指導所の顧問に就任。
日本の技術者に近代的な工業デザインを教えました。
タウトに学んだ日本人デザイナーの一人、剣持勇はあのヤクルトの容器や私たちがよく目にする灰皿のデザインなどを手掛けました。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
そのタウトが残した建築が熱海にある、重要文化財の『旧日向別邸』です。
こちらの『旧日向別邸』の和モダン建築をリスペクトして、隈研吾氏は『ATAMI海峯楼』を造ったといいます。
一見真逆にも見える『旧日向別邸』と『ATAMI海峯楼』。
この二つの建築にはどのような結びつきがあるのでしょうか。
WATER BALCONY
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
まるで水の中にいるような圧巻の光景が広がっています。
建物の周りの池と海が繋がっているようです。
池の水は外側にこぼれるようになっています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
レストランの椅子に座ると、良さがより分かるといいます。
立っている時よりも視線が低くなることで、水平線と池の端のラインがちょうど良く見えてきます。
設計した隈研吾氏はこの建物建てる時に先ず「建物の存在を消そう」という事で、ガラス張りにしました。
それと同時に「外の世界と内の世界をそのまま繋げる」というのを目指します。
普通外と内とを繋げるものは”窓”になりますが、そうではなく床面で繋げようと考えました。
というのも、じつは日本の伝統的な建物もそうなっているのです。
つまり畳があって縁側があって、そのまま庭に繋がっていくようになっています。
そう考えた時に『ATAMI海峯楼』では向こう側が”海”なので、「水で繋げよう=水の縁側を作ろう」という事になったのです。
スイートルームからの景色
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
スイートルームからも絶景を堪能する事ができます。
室内のソファから景色を見ると、椅子の時よりも低い目線になるので、より「インフィニティ効果」が感じられます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
左側に見える屋根は、ブルーノ・タウトが手掛けた『旧日向別邸』の屋根です。
現在工事中のため全体を囲っており、このように景色の中に入ってきていますが、普段はこちらの屋根は見えないそうです。
タウトはこの『旧日向別邸』で階段を使う事によって、「開かれた建築=外と繋がる建築」を造りました。
隈研吾氏もそこからインスパイアを得て、自身も”開かれた建築”を思い浮かんだといいます。
祝!丸10周年 大・大回顧展
今回の10周年スペシャルでは、出演者の皆さまの厳選したベスト3が発表されました。
早速どんな作品が選ばれたのか見てまいりましょう。
《1001体の千手観音》(京都・三十三間堂)
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
(2019年3月5日放送)
こちらは小木さんの10周年の第3位の作品です。
京都・三十三間堂の1001体の千手観音像。
2018年に重要文化財から、国宝に格上げになりました。
1001体の内その一部は博物館に寄託されていましたが、国宝指定を記念して26年ぶりに1001体が勢ぞろいしました。
《動植綵絵》伊藤若冲
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
(2016年5月20日放送)
こちらは高橋マリ子さんの10周年の第3位の作品です。
2016年に東京都美術館で開催された「生誕300年記念 若冲展」にて展示されていました。
たいへんな人気の展覧会で、入室待ち時間は最大で5時間以上!!
会期中の総入場者数は約44万6千人で、一日当たりの平均入場者数はおよそ14,000人の上るほどでした。
相国寺所蔵の『釈迦三尊』の3幅と、宮内庁三の丸尚蔵館所蔵の『動植綵絵』の30幅が一堂に会した奇跡的な展覧会でした。
伊藤若冲はお金持ちだったので、良い絵具を使って作品を描いています。
ですので若冲の作品はどれも色が綺麗です。
京都・錦市場の青物問屋に生まれた若冲は、23歳で家業を継ぎますが、40歳で画家になるために隠居生活を行います。
この《動植綵絵》は隠居後に10年の歳月をかけて制作されました。
《前川國男邸》(江戸東京たてもの園)
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
(2014年10月31日放送)
こちらは矢作さんの10周年の第3位の作品です。
東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」は1993年(平成5年)に、江戸東京博物館の分館としてオープンしました。
こちらでは文化的価値の高い歴史的建造物を移築し、復元・保存・展示し継承していく事を目的にしています。
元々は東京品川に建てられていた建築家の前川國男氏の自宅を解体して、こちらの江戸東京たてもの園に復元されました。
決して馬鹿でかい豪邸ではなく、非常に丁度よいサイズになっています。
広ければよい、でかければよいという訳ではないんですね~
《アルプスの真昼》セガンティーニ
《アルプスの真昼》1892年
ジョヴァンニ・セガンティーニ
大原美術館蔵
こちらは山田五郎さんの10周年の第3位の作品です。
山田五郎さんがこの作品を高校時代に見た時「なんだこの明るさは!」と思ったそうです。
その後色々と学んでいくうちに、”空気が薄い”という事に気が付いたといいます。
「”空気の濃さはものの見え方に影響する”というのをセガンティーニから教わった」山田五郎さんは述べています。
ジョヴァンニ・セガンティーニ(Giovanni Segantini、1858-1899)は、イタリアの画家で、アルプスの風景を数多く描きました。
この《アルプスの真昼》は岡山県倉敷市の大原美術館が所蔵しています。
今回のパート1は一旦ここまでです。
パート2へと続きます。
こちら☚からご覧いただけます。
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[…] 今回の記事はパート2になります。 大・大回顧展の2位の作品からご紹介していきます。 前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。 […]