2025年4月15日にテレビ東京で放送された「開運!なんでも鑑定団」の【岸岱の六曲一双の屏風/金重陶陽の蓋置/今井俊満の絵2点】についてまとめました。
番組内容に沿って、それでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
*画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より
岸岱の六曲一双の屏風
江戸時代後期に活躍した岸派の絵師・岸岱(がんたい)の六曲一双屏風。
一面一面に生き生きとした虎の姿が描かれている。

すごい!100万円!
「岸岱の本物、晩年に近いときの作品です」
「なんといっても”虎”なんですよ、岸派は。これだけ虎をしっかり描いているというのが見どころ」
「岩を抱くような虎。そういう構図は岸派のお得意とするところ」
「十二幅揃っているというところがやはり素晴らしい」
備前焼の金重陶陽の蓋置
備前焼の人間国宝・金重陶陽の蓋置(ふたおき)。
高さ5.5センチ。
茶道でお茶をたてる際、茶窯の蓋や茶杓を置くためのものだという。

35万円!本物でしょうか?
「金重陶陽の作品で間違いございません」
「戦前、昭和一桁くらいの作品。すごくシンプルな竹の節の形なんでけれども」
「節のところのスッと切ったヘラの削りだとか」
「縦に入れた線なんかが、まったく迷いがない」
「陶陽っていう人は土が焼き上がったときの色合いだとか表情だとかっていうのをすごく作品に生かしたんですね。これもすごく綺麗なね、赤みがかった茶色が出てます」
「正面の少しよけたところに黄色いのがついてますけど、それは景色を作るためにあえて灰をちょっと付けて焼いたんだと思います」
「たいへん良い物です。ぜひ大切になさってください」
前衛芸術の画家 今井俊満
一体何に見えるだろか…。形も線もない。
ただ混とんとした色彩と分厚いマチエールがそこにあるだけ。唯一無二の絵画として。
作者の名を今井俊満。
戦後美術界の最前衛を走り続けた画家である。
1928年、京都の生まれ。
旧制武蔵高校在学中に絵を習い始めると、たちまち才能が開花。
第15回新制作展でシャガールを彷彿させる、甘美で幻想的な世界を表現した《真夜中の結婚》が入選し、新作家賞を受賞した。
単身パリに渡ったのは24歳の時。
太い輪郭線で幾何学的に構成した人物像に挑戦するなど、独自の画風を模索する。
そんな中で運命的な出会いを果たす。
美術評論家のミシェル・タピエとの出会いであり、これにより今井の画家人生が一変する。
タピエは当時流行していたアンフォルメル運動の推進者であり、今井はこれに強く影響を受けたのである。
アンフォルメル、直訳で非定形の意。
これは画面から形をなくし、厚塗りの絵の具や流れる筆致を強調することで、描くという行為そのものを根本から問いただすというものだった。
今井は筆を使わず、キャンバスに絵の具を投げつけたり、そこに砂を混ぜたり。
時には、油をまいて火をつけることを試みた。
今井の言葉である。
「私の色彩は人工的なものではなく、地底から湧き出るような色の表現である」
そこから具象や抽象といった枠組みには収まらない、圧倒的な迫力に満ちた作品を生み出していく。
「私にとって絵画とは今日を生きる方法であり、日記であり、生活そのものである」
1957年、アンフォルメルを認知してもらうため帰国。
アンフォルメル旋風が一気に日本の美術界に吹き荒れた。
当時のマスコミにはこのような活字が踊っていた。
50代後半になると今井の画風にさらなる変化が生まれる。
金や銀をふんだんに使い、日本の豊かな自然を描いた「花鳥風月」シリーズの誕生である。
精緻な文様が踊り、折り重なるように。
散りばめられた花や草木。
まるで琳派のようなこれらの装飾性は、友禅染の技法に着想を得て、型紙を活用したものであった。
横6mにも及ぶ大作《ヴェネツィアに捧ぐ》。
キャンバスに朱色の着物の裏地をひも状に巻いて貼り付け、その上に手で掴んだ絵の具をぶつけている。
日本古来の美とアンフォルメルが融合した、今井の真骨頂と言えるだろう。
1992年、今井は白血病を患うが、それでもなお制作意欲は衰えなかった。
90年代後半、社会現象となった渋谷の若い女性たち、いわゆるコギャルを題材にしたシニカルで戯画的な作品を発表。
「私は一所不在。一つのところに住まず、道から道へと一生旅を続けたい」
今井俊満の絵 2点
改めて依頼品を見てみよう。
こちらは1986年の作。
遠景に山がそびえており、
近景に川が流れている。
銀で装飾された波が実に美しい。
一方、こちらは1987年の作。
もみじの葉が画面一面を埋め尽くしている。
琳派を彷彿とさせる扇が、画面に独特のリズムを与えている。
果して鑑定やいかに?
80年代の名品 550万円!

550万円!すごい!
「120号という大きなキャンバスで、とても見応えがあると思います」
「今井といえば、日本美術の歴史においても欠かすことのできない人物であって、彼の作品というのは国内外問わず評価が高いです」
「今回の依頼品は型紙を使って、伝統的なモチーフというのが描かれています」
「散る花や葉、そういったところから風の動きも感じられます」
「もしこれがですね、アンフォルメル時代の作品であれば、一点3000万円は(します)」
今回の記事はここまでになります。