2019年11月3日にNHKで放送された「日曜美術館」の【天平の風 令和に吹きぬ ~第71回 正倉院展~】の回をまとめました。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
前回のパート1はこちらからご覧いただけます☟☟
【日曜美術館】天平の風 令和に吹きぬ ~第71回 正倉院展~①【美術番組まとめ】
正倉院宝物《紅牙撥鏤尺》
画像出展元:第71回正倉院展図録より
読み方は「こうげばちるのしゃく」です。
長さ30センチのこちらの宝物は物差しです。
儀式用に作られたと考えられており、鮮やかな色をしています。
古来より長さの単位を決める物差しは、田畑を測量し、税額を定める事につながるので権威の象徴とされてきました。
「撥鏤(ばちる)」とは技法の名前で、表面を染め上げた象牙を掘ることで、象牙の元の色である白色を出して、文様を生み出す方法です。
この《紅牙撥鏤尺》は掘った白色の部分に黄色や緑色を配色し、より鮮やかに仕上げています。
この撥鏤の技法はその後受け継がれず、途絶えてしまいます。
画像出展元:第71回正倉院展図録より
一つのマスの大きさは僅か3センチ四方です。
そこに花や鳳凰などの細かな文様が彫られています。
そのマスの中の一つに、角が花の形をした「花鹿(はなじか)」と呼ばれる空想上の生き物が描かれています。
この花鹿は中央アジアがルーツで、シルクロードを渡って伝わったと考えられています。
正倉院宝物《伎楽面 獅子》
聖武天皇は荒廃する国の立て直しを、大仏建立に託しました。
「第71回正倉院展」ではその大仏建立を祝う場(大仏開眼供養会(だいぶつかいげんくようえ))で使われたと言われる宝物が展示されています。
画像出展元:第71回正倉院展図録より
読み方は「ぎがくめん しし」です。
「伎楽(ぎがく)」というのは奉納のために行う仮面劇のことです。
こちらの《伎楽面 獅子》はその仮面劇の際に使用された獅子の面です。
口の部分は開閉式になっており、歯の噛み合わせ面には上下ともに鉄板が打ち付けられており、嚙み合わせた際に音が鳴るようになっています。
その点からも本品は獅子舞のルーツとも考えられています。
画像出展元:第71回正倉院展図録より
こちらは平成の時代に作られた《伎楽面 獅子》の復元模造品です。
作られた当初はかなり鮮明な色合いをしていたと考えられています。
正倉院宝物《衲御礼履》
画像出展元:第71回正倉院展図録より
読み方は「のうのごらいり」です。
1300年前のものとは思えない、鮮やかな色彩が今に残る履物です。
赤く染めた牛革、真珠や琥珀玉、水晶などの装飾が施されています。
縫い目にも金糸が使われており、豪華な品であることが分かります。
つま先が反り返っているのは、丈の長い衣服を着た際に、その裾を踏んでしまわないようにするためだと考えられています。
画像出展元:第71回正倉院展図録より
左靴の小指の付け根の位置にすり減ったような跡があるのが分かります。
1300年前に聖武天皇が実際に使っていてできて跡です。
この《衲御礼履》は「大仏開眼供養会」のために聖武天皇がしつらえたものだと伝わっています。
また次にご紹介する《礼服御冠残欠》と部品が共通していることから、なんらかの関連性がこの二つの品にあったとも考えられます。
(おそらくどちらも「大仏開眼供養会」で使用されたのでは?)
正倉院宝物《礼服御冠残欠》
画像出展元:第71回正倉院展図録より
読み方は「らいふくおんかんむりざんけつ」です。
こちらは聖武天皇が身に着けていたとされる冠の部品です。
これらの部品は国内外、様々な土地からのもので構成されています。
冠が贅を尽くした宝物であったことが分かります。
聖武天皇は唐のような強固な律令国家を目指していました。
そこで唐を強く意識し、中国式の装いをしていたと考えられています。
現在はバラバラになった部品だけの姿となったこちらの宝物。
どうしてばらばらになってしまったのでしょう?
実はその経緯もちゃんと正倉院の記録として残されています。
時は鎌倉時代、後嵯峨天皇(ごさがてんのう)が儀式で使用するために正倉院から冠を借り出したのですが、返却する際に事故に遭ってしまいバラバラの今の姿になってしまったのです。
まぁ1300年の歴史があれば、事故に遭って
しまうこともありますよね・・・
それではパート2はここまでです。
パート3では、宝物と遣唐使の関係性についてまとめていきます。
【日曜美術館】天平の風 令和に吹きぬ ~第71回 正倉院展~③【美術番組まとめ】
コメント
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[…] この箱に納められていたのは、こちらの《衲御礼履(のうのごらいり)》という宝物です。 (この宝物については、パート2で紹介しています⇒こちらから) […]