TOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」内のコーナー【葛飾北斎コーナー(富嶽百景コーナー)】にて取り上げられた作品をまとめました。
今回の記事では2021年1月に取り上げられた内容についてまとめていきます。
番組内容に沿って、それでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
葛飾北斎「富嶽百景 夢の不二」
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
2021年最初の作品は「富嶽百景 夢の不二」です。
初夢で縁起が良いとされる「一富士、二鷹、三茄子」が描かれたおめでたい作品です。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
描かれている鷹は徳川家を表しています。
その鷹につかまれているキジは、徳川家に仕える武士たちです。
徳川が武士たちを力でおさえている、という事なのでしょう。
またキジは喜ばしい事、「喜事」ともかけられています。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
ナスは庶民を表し、さらに子沢山や国家繁栄を意味しています。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
これら鷹や茄子を、富士が遠くから眺めているという構図の作品なです。
葛飾北斎について
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
ここからは葛飾北斎、その人についてまとめていきます。
北斎は江戸時代には珍しい、自然科学者の目を持った絵師でした。
人体の動きを自然の中に融和させ、一体化して描いているのです。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
さらにまるで鳥の目から見たような遥かな視点から、作品を描くという才能も持ち合わせていました。
「絵で百科事典を描こうとした江戸時代の最大の知識人だ」と、番組監修の藤ひさし先生は言います。
日本人のみならず、世界中の人に知られる『富嶽三十六景』を描いたのは、なんと70歳を過ぎてからです。
また、面白いエピソードも沢山あります。
北斎は画号を生涯で30回近く変えています。
最晩年には「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)」という、かなりパンチの効いた画号を使っています。
さらに家の引っ越しは生涯で93回もしたとか!
そもそも数えていたんかい!って話ですが(笑)
家の掃除はろくにせず、汚れたら引っ越すというのを繰り返していたのだそう。
作品だけでなく、葛飾北斎その人も興味の尽きない人物なのです。
北斎の画業
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
北斎は19歳の時に、当時人気の浮世絵師・勝川春章(かつかわしゅんしょう)に弟子入りします。
翌年には早くもデビューし、「春郎(しゅんろう)」を名乗ります。
ここから90歳で亡くなるまで、北斎の70年間の画業が始まるのです。
その後も北斎は狩野派や琳派に習ったり、西洋画や遠近法の研究も行い、様々なものを吸収していきます。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
北斎は「美人画の歌麿」や「役者絵の写楽」など決まった枠組みに捕らわれるのを嫌ったと言います。
北斎の数ある画号の中に、「不染居(ふせんきょ)」というのがありますが、これには「何にも染まらず、どこにもとどまらず」という北斎の思いが込められていたと考えられます。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
挿絵画家として自身の名が売れた北斎は、その当時の出版の力、メディアの力に驚いた事でしょう。
北斎の創作意欲はどんどん高まっていきます。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
間もなく「北斎漫画」の刊行が始まり、北斎の評価はさらに高くなっていきます。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
『富嶽三十六景』や『富嶽百景』を描き始めたのは70を過ぎてからと先ほども書きましたが、80を過ぎると肉筆画に専念するようになっていくのです。
挿絵画家としての北斎
葛飾北斎の名が一般に知られるようになったきっかけは、読み本の挿絵画家としてでした。
20歳の時に勝川春朗の名でデビューしますが、そこからトントン拍子に売れたわけではなかったのです。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
そんな北斎が挿絵を描き始めたのは、当時としては遅めの40代半ばの頃でした。
それまでの添え物のような挿絵ではなく、北斎の描く挿絵はリアルでダイナミックなものだったのです。
北斎の挿絵は非常に人気となり、生涯で1400もの挿絵を描いたと言われています。
「絵入り読み本は北斎が流行らせた」と言われるほどでした。
特に当時の読み本作家である曲亭馬琴(きょくていばきん)と組んだ作品は多くの読者を惹きつけ、人気を不動のものにしました。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
北斎はこの挿絵画家として培った経験や技術を活かして、のちの『北斎漫画』や『富嶽三十六景』などを描いていくのです。
今回の記事は以上になります。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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