【鈴木其一】奇想の系譜展【ぶらぶら美術・博物館】

ぶらぶら美術・博物館

2019年3月19日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#302 今年の注目度No.1!「奇想の系譜展」~若冲・蕭白・国芳…江戸の個性派・奇想天外な名画大集合!~】の回をまとめました。

今回の記事では『奇想の系譜展』の中から、鈴木其一をピックアップしてまとめていきます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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鈴木其一

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

鈴木其一江戸琳派の絵師で、酒井抱一に師事しました。

《夏秋渓流図屏風》

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

右隻に夏、左隻に秋の風景を描いた六曲一双の屏風です。
作品の読み方は「なつあきけいりゅうずびょうぶ」です。

展覧会監修の山下裕二先生は、”琳派の絵師”は刃物に例えることができる、といいます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

琳派の創始者とされる俵屋宗達は”ナタ”。
その約100年後に活躍した尾形光琳は、よく切れる”包丁”。
宗達・光琳に次ぐ第三の巨匠として評価される酒井抱一は、”カミソリ”。
その抱一の一番弟子だった鈴木其一は、”手術用のメス”。

どんどん切れ味が鋭くなっていくということですね。


どこかヴァーチャルな印象を受けるこの作品。


緑青と群青という高級な絵具を、ふんだんに使っています。


百合の花もどこか毒々しい印象です。
その上にはセミの姿も見えます。


左隻は秋の情景ですが、枯れてる感が全くありません。
すごく人工的な印象で、どこか不気味ささえ漂います。

《百鳥百獣図》

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この作品はアメリカから、今回の展覧会で初めて里帰りした作品です。

タイトルの通り、様々な鳥と動物が描かれています。


鈴木其一江戸琳派の絵師ですが、まったく琳派の作品には見えません。


監修の山下先生は、この作品は「若冲からの影響があるのでは?」といいます。
(時代的には、其一が1795年に生まれ、その5年後の1800年に若冲は亡くなっています)

両幅ともに画面上部は、霊長・霊獣のいる世界で、ヒエラルキーの頂点にいる存在(獣の方は麒麟、鳥の方は鳳凰)が描かれます。


下の方に進むにつれて、現実の動物が登場します。


こちらには一本しか角のない牛がいます。
こういった動物が実際にいると当時は思われていたのかもしれません。


百鳥図の方を見ると、下の方にはニワトリがいます。
このニワトリも、どことなく若冲の影響を感じられます。


山下先生は「このガチョウの描き方は、若冲の)動植綵絵にそっくりなのがある」と言います。

山田五郎さんは「《夏秋渓流図屏風》も、この《百鳥百獣図》をどちらも”やりすぎてる感”がある」と言います。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

日本では琳派となると宗達光琳が評価が高く、次いで抱一、さらにその次が”其一”という感じになり、琳派の中でも下の方の評価になっているのが実情です。

しかし外国人の目から見た場合、そこのネームバリューではなく、「其一、面白いじゃないか」という作品そのものの評価がなされ、その結果、彼の作品が数多く海外に渡っていったのです。

今回の記事はここまでになります。

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