『葛飾北斎コーナー』【アートステージ、2021年2月放送分】

アート・ステージ

TOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」内のコーナー【葛飾北斎コーナー】にて取り上げられた作品をまとめました。

今回の記事では2021年2月に取り上げられた内容についてまとめていきます。

番組内容に沿ってそれでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

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北斎の美人画

北斎の美人画でよく知られたものに”宗理美人(そうりびじん)と呼ばれるものがあります。
宗理」というのは北斎の数ある画号の中の一つで、正式名称を「二代目俵屋宗理」といいます。

「二代目」ということは「初代」もいたのかな?

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

初代俵屋宗理北斎より一世代上の絵師で、江戸を舞台に活躍しました。
その名の通り、”琳派の祖”である俵屋宗達に憧れて、この名を名乗りました。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

「宗理美人」に話を戻しましょう。
宗理美人を描いていた頃の北斎は40代でした。
宗理美人は瓜実顔(うりざねがお)の上品な顔立ちで、清らかで美しいのがその特徴で、当時たいへんな人気がありました。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

宗理美人の代表作は『風流無くてなゝくせ 』の《遠眼鏡》と《ほおずき》です。
なゝくせ」というタイトルから、全部で7点の作品があるのだろうと考えられていますが、現在まで上記の2点しか確認されていません

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

この作品のように美人や役者をアップで描写した絵を「大首絵」といいますが、北斎の作品で大首絵のものは非常に珍しいです。

北斎の娘 葛飾応為

続いては葛飾北斎の娘葛飾応為(かつしかおうい)についてご紹介します。
応為については生没年もはっきりとしておらず、未だに謎の多い人物です。

本名は「(えい)」といい、「応為」というのは雅号です。

応為は娘ではありますが、北斎にとっては”最も優秀な弟子”でもありました。
弟子を褒めることが少なかった北斎も、「美人画は応為には敵わない」と語るほどでした。


《月下砧打美人図》
葛飾応為
東京国立博物館蔵

応為の作品の特徴は、女性ならではの繊細で細やかな表現にあります。
例えばこの《月下砧打美人図》では、女性の手や指、そして髪の描き方が非常に特徴的です。

北斎の作とされているものの中にも、応為の特徴が見られる作品があるといいます。
その事から、それらの作品は父と娘の共作であった可能性も考えられます。

まさに「江戸の天才親子絵師」ですね!


《吉原格子先之図》
葛飾応為

応為の作品とされているものはまだ少ないですが、今後調査・研究が進み、新たな作品が見つかっていく可能性があります。

デザイナーとしての葛飾北斎

ヨーロッパに渡った『北斎漫画』が印象派の画家たちの影響を与えた、というのは有名な話ですが、北斎が描いた《花鳥図》などもヨーロッパのデザイナーに参考にされました。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

印象派の画家と関わりの深いフェリックス・ブラックモン(1833-1914)は『北斎漫画』などからデザインを引用し、テーブルウェアを制作しています。
このように絵画のみならず、北斎はあらゆる分野の芸術家に影響を与えました。

そんな北斎はじつはデザイン集も出版しています。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

着物のデザイン集である『新型小紋帳(しんがたこもんちょう)』、櫛とキセル向けの図柄をまとめた図案集『今様櫛きん雛形(いまようせっきんひながた)』です。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

当時の職人たちは、これらのデザイン集をもの作りに活かしました。

もしかするとこのデザイン集を見た人が、「この図案で着物を作ってくれ」とリクエストするような形だったかもしれません。

番組監修の藤ひさし先生は、このデザインは現代でも使えるものが数多く掲載されているといいます。

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