『葛飾北斎コーナー』【アートステージ・2020年7月放送分】

アート・ステージ

TOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」内のコーナー【葛飾北斎コーナー】にて取り上げられた作品をまとめました。

今回の記事では2020年7月に取り上げられた内容についてまとめていきます。

番組内容に沿ってそれでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

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葛飾北斎「富嶽百景 七夕の不二」

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

画面中央に堂々たる姿で描かれた富士山。
その手前には天高く掲げられた七夕の笹の葉が見えます。
短冊や七夕飾りが風になびいていて、夏の爽やかな風を感じさせます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

笹の葉は屋根より高い位置に描かれています。

「屋根より高い鯉のぼり~♪」ならぬ「屋根より高い七夕飾り~♪」といったところでしょうか。
せっかく願い事を書いた短冊が飛ばされないか心配になります。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

北斎の「七夕の不二」を参考にして描いたと言われるのが、こちらの歌川広重の「名所江戸百景 市中繁栄七夕祭」です。
この作品でも屋根より高い七夕飾りが、奥の方までびっしりと描かれています。
この光景は江戸の夏の風物詩でした。

葛飾北斎「富嶽百景 柳塘の不二」

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

作品の読み方は「りゅうとうのふじ」です。
タイトルにある「柳塘」とは柳を植えた土手の事です。

その柳塘の上を沢山の人が通り過ぎています。
その遠景には雄大な富士山の姿も見えます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

くわを担いだ農夫や行商人など様々な人が登場しています。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

この作品のように柳の枝が上からたくさん垂れているのを「枝垂れ(しだれ)の構図」と呼びます。
北斎の他に歌川広重なども用いていますが、西洋絵画でもマニエリスムやバロックの頃から見られたと言われます。

また、印象派のモネは意識的にこの構図を使っているといいます。

葛飾北斎「富嶽百景 信州八ヶ嶽の不二」

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

作品の読み方は「しんしゅうやつがたけのふじ」です。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

富士は画面の左奥に小さく描かれています。
その手前の山々は、八ヶ岳連峰です。

急流の中で男たちが漁をしています。
画面左側の男性のポージングは、じつは富嶽三十六景にも登場しています。

それがこちらの『富嶽三十六景 甲州石班澤(こうしゅうかじかざわ)』です。

確かに!同じポーズですね。

どちらも急流の中で、投網(とあみ)をしていますが、『甲州石班澤』は今の山梨県、今回の『信州八ヶ嶽の不二』は長野県です。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

富士と同じ三角形を形作るこのポーズは、北斎のお気に入りだったのかもしれません。

葛飾北斎「富嶽百景 盃中の不二」

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

作品の読み方は「はいちゅうのふじ」です。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

相好を崩して嬉しそうに笑う男。
男が指さす先、右手に持った盃の中に富士が見えています

偶然映った富士を見て喜んでいる、そんななんとも微笑ましい場面を描いた一枚ですが、じつはそれだけではありません。

男の後ろ、木に立てかけた籠から羽衣がはみ出しています。
これは能の演目『羽衣』の一場面を表しています。

三保の松原が舞台となっていますので、盃の中に富士が映るのも納得できます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

この後には天女が現れて、「羽衣を返して欲しい」と舞を見せるのです。

一見すると、どこか面白い絵のように見えますが、伝統的な能楽をテーマにしている点から、北斎の教養の深さが伺えます。

今回の記事はここまでになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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