全解説:『鳥獣戯画』丙巻
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
さて『鳥獣戯画』丙巻にはまず、碁を打つ人々が登場します。
甲巻、乙巻には人間は一切登場しませんでしたので、これが人間初登場の場面になります。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
次の場面ではすごろく遊びをしています。
男の一人はなぜか裸です。
もしかすると、着ている服を賭けて勝負に挑んで、負けてしまったのかもしれません。
後ろの女性と赤ん坊は男性の家族でしょうか?
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
その隣では将棋を指しています。
小さな子供がおじいさんのアドバイスを受けているようです。
その周りも豊かな表情で、和やかな雰囲気が伝わってくるようです。
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こちらでは当時流行”耳引き”という遊びが行われています。
えーなんか、すごい痛そう!
よく見ると、紐の結び目までしっかりと描かれています。
周りの子供たちも興味深々で、盛り上がっている様子が伝わってきます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
耳引きの次は今度は”首を使った綱引き”のシーン。
こちらも紐の結び目が描かれています。
右側の座っている男性は、左側の男性に比べると手足が細く、骨もごつごつしており、お年をめしているようにも見えます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
その隣では、にらめっこ対決です。
げらげらと爆笑している人もいます。
登場人物の中にはやせ細った人や衣服を着ていない人もおり、それほど裕福ではない印象が感じられますが、それでも「楽しく過ごそう」「笑って過ごそう」という気持ちが伝わってきます。
解説/土屋貴裕氏(東京国立博物館)
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ここまで人間同士の勝負事が続いてきましたが、ここからは動物の二番勝負です。
最初に描かれるのは「鶏合わせ」、当時行われていた鶏を戦わせる競技です。
観客の中には烏帽子を被った人も見えます。
庶民だけではなく、宮中でも人気の勝負事だったことが分かります。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
「鶏合わせ」の次は「犬合わせ」、いわゆる闘犬です。
この次のシーンから人間は登場しなくなり、動物だけの世界になります。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
ウサギやカエル、鹿に跨るサルが登場です。
絵のテイストは、甲巻や乙巻とは若干異なるようです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
すごい勢いで突進するかのような、男鹿が出てきました。
その先には慌てるサルの姿が、鹿から逃げているのでしょうか?
高下駄を履いた状態で、追ってくる鹿から逃げるのは絶望的な感じもしますが…
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
その先では、ウサギやカエルに笑われています。
クスクスした表情がすごく良いですね。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
続いて、随分と気合の入ったシーンが出てきました。
台車はかなり手の込んだ描写になっています。
よく見るとサルの手元には鼓が。お祭りか何かなのかもしれません。
頭には烏帽子を模した葉っぱが見えます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
かなり出来上がった雰囲気のキツネとサルの登場です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
その様子を「おいおい大丈夫か…」と言わんばかりに見つめています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
続いては蹴鞠のシーン。中央のカエルが鞠を高々と蹴り上げます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
次の場面ではサルチームとカエルチームに分かれて、”神通力(じんつうりき)”を競い合っています。
両チームの間で逆立ちするサルに向かって、神通力をかけあっているのです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
カエルチームの後ろには、応援に駆け付けたカエルの姿が。
杖をついているカエルは長老かなにかでしょうか?頭には被り物のようなものも見えます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
丙巻のラストは、カエルの天敵である蛇が登場して終わりです。
「まぁじつは、”こんな楽しい事ばっかりではないんだよ”という事を言っているのか、何かものすごくメッセージが込められているような」(片岡氏)
今回の記事ここまでになります。
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